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与野党逆転ではじまる
日本の民主政治の夜明けE
〜解釈改憲の芽をつぶせ〜


青山貞一
 
掲載日:2007.8.17


 日本の新聞やテレビなどの一般メディアは、ノー天気に連日、死に体安倍総理の組閣人事で連日、馬鹿騒ぎしている。実はその裏で、大メディアが報じていないきわめて重要なことが行っている。

 野党が大勝した参議院選挙だが、その参議院選挙で自民党の比例である人物が当選している。その人物は元サマワ派遣隊長、佐藤正久である。この元隊長は民放のニュースのインタビューにこたえトンデモない発言をしていた。

 問題となったとんでも発言は、2007年8月10日のTBSのニュースである。

 佐藤元サマワ派遣隊長は「イラク自衛隊は「関東軍」だった! 「あえて巻き込まれ」戦争状態を作り出すつもりだった」と発言していたのだ。

 これを問題視し記事にした日刊ベリタ、大野和興氏は次のように記事のリードで述べている。

 「戦前、中国東北部に派遣された関東軍が当時の日本政府の意図を無視して勝手に軍を動かして戦争状態を作り出して戦線を拡大、それがアジア太平洋戦争にまでつながったのは歴史的事実だが、今回の参議院選挙で選出されたばかりの元サマワ先遣隊長の佐藤正久参議院議員がTBSの報道のなかで、イラクに派兵されていた時に、自衛隊を現地で戦争状態に突入させるつもりであったと語った

 ※日刊ベリタの記事は以下。

イラク自衛隊は「関東軍」だった!
「あえて巻き込まれ」戦争状態を作り出すつもりだったと佐藤氏


 まさに佐藤正久議員の発言意図は、ベリタの記事のタイトルにあるように、イラクに派遣された自衛隊は、「関東軍」であったことになる。

 そもそも集団的自衛権に関する政府の有識者会合は、まさに安倍首相と思想、イデオロギーをともにするまさにお友達を集め、結論先にありきでデキレースで設置したものだ。メンバーはいずれも、解釈改憲として集団的自衛権を容認、首肯している者ばかりである。

 ところで、弁護士等有志が、佐藤参議院議員に以下の公開質問状を出すことにしたそうだ。


 佐藤正久議員への公開質問状(案)PDF

 同じ弁護士グループは、安倍自民党総裁に以下のような要望書を提出している。

 安倍自民党総裁への要望書(案)PDF

 この段階になって、やっと以下のような記事が掲載された。

「駆け付け警護は違憲」 ひげの隊長に公開質問状
2007年8月16日(共同)

 元陸上自衛隊1等陸佐の佐藤正久参院議員が、イラク復興支援の現場でオランダ軍が攻撃を受けた際、駆け付けてあえて巻き込まれて警護を行う考えだったことを民放ニュースで明らかにしたのは、意図的に緊急状態をつくりだした上での攻撃で自衛隊法や憲法に違反するとして、弁護士ら有志が16日、佐藤議員に公開質問状を送付した。

 「ひげの隊長」として知られた佐藤議員は復興支援現場で指揮官を務め、7月の参院選で自民党比例代表で初当選した。

 集団的自衛権に関する政府の有識者懇談会の内容を伝える10日の民放ニュースで、佐藤議員は「オランダ軍が攻撃を受ければ、情報収集名目で駆け付け、あえて巻き込まれ(警護に)行ったと思う」との発言をした。

 公開質問状では「実質的に正当防衛・緊急避難の要件を満たさず、自衛隊法に違反するばかりか、憲法9条をないがしろにし、自衛隊派遣の国会決定を超えた行動」と批判、真意を問い掛けた。


 もし、今回の参議院議員選挙での野党の歴史的大勝がなければ、安倍首相は、「戦後レジームからの脱却」などといって、この種の解釈改憲として集団的自衛権の行使を現状拳法下でやっていたに違いない。

 イラク特措法に関連し、私がもっとも危惧したのは、なし崩し的な自衛隊の海外派兵である。それも集団的自衛権の実質行使を前提とした自衛隊のイラク派兵の隊長みずからが、文民統制を確信犯的に破り、集団的自衛権の既成事実をつくることを意図していたことを物語るものである。

 野党は一致団結し、このような関東軍紛いの自衛隊の行状や安倍首相の思想、イデオロギーを受け行動する一部のひとびとによる勝手な改憲解釈を徹底的に潰さなければならない。秋の臨時国会で自民党を徹底追求すべきだ!

つづく