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唖然・呆然、安倍首相の
トンデモ無責任、辞任劇

青山貞一
 
掲載日:2007.9.13


 2007年9月12日、午後1時から大学院入試の面接官をしていた。その最中、私のマナーモードの携帯電話に、池田こみちさんと妻からほぼ同時にメールが入った。

 面接終了後、メールを見ると、何と何と、安倍首相が辞意表明するという内容。驚き桃の木、山椒の木である。

 その後、全テレビ番組が安倍辞任のニュースでもちきりとなった。辞職は遅きに失したのが実感だ。またこれほど無責任な総理は歴史上初めてではないだろうか? 

 閣僚が次から次へと辞職、自殺するなどの醜態をさらし、リスク管理の甘さ、ガバナンスのなさを露呈した末での辞任劇であった。

 7月下旬、参院選挙の大敗後に辞任していればまだしも、その後一貫して続投を強弁してきたが、会見での安倍首相の言葉には重み以前に、まともなリテラシー、コミュニケーションがなかった。

 一国の首相の言葉がこれほどの軽さというのも大問題だが、一体何を言いたいのか、国民に何を伝えないのか、まるでさっぱり分からないことこそ、大問題だ。

 その安倍首相は、辞職どころか8月27日に内閣改造を公表した。しかし、その後も、遠藤農水大臣が「政治とカネ」で辞任、鴨下環境大臣も「政治とカネ」問題でマスコミに餌食になる始末。

 安倍内閣は、まさにボロボロ。「泥船内閣」となっていたのである。

 .....
 
 9月10日、臨時国会の本会議で安倍首相が所信演説をする。書かれた演説原稿をたどたどしく、また飛ばして読むなど、全く冴えない表情だった。ここでも、国民に情報を発信する上でのリテラシー、コミュニケーションはほとんどなかったといってよいだろう。

 その2日後、自民・公明の与党はもとより、民主など野党各党も代表質問でスタンバイしていた最中、辞任の一報が入ったのである。

 12日、午後2時過ぎにはじまった安倍首相の会見は最悪だった。

  ◆論戦放棄し退場 『職を賭す』空しく 東京新聞 -

 何が最悪かといって、これほど無責任きわまりないことをしておきながら、国民への謝罪はゼロなのだ。

 他方、シドニーで職を賭してでも「テロとの闘い」を継続すると強調していた安倍首相はここでも、国際公約としての「テロとの闘い」を身を賭してでも継続したいと何度となく繰り返したのだ。

 本来、安倍首相による謝罪のための記者会見であったはずなのに、安倍首相は、米国のブッシュ大統領と約束したという「テロとの闘いの継続」を連呼した。他方、国内課題、とくに国民生活に密着する課題については、まったく触れない始末だ。

 安倍首相は辞任会見に限らず、この一年間、テロ対策を連呼してきた。

 しかし、リスクアセスメント的に見れば、日本がブッシュ政権に隷属、追随すればするほど、安倍首相がいうところのリスクが高くなるはずである。この単純な連鎖が、安倍にはまったく分かっていない。

 同時に、アフガンやイラク問題は米国が関与すればするほど、問題がこじれ、深刻化している。その事実を直視し、理解しようとせず、ただ各国が参加している...では、今の日本国民はついてゆかないはずである。

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 逆に、安倍首相がこの一年間してきたことの多くこそ、国民にとって、まさに「テロ」であるとさえ思える。

 テロは何も物理的な暴力だけではないはずだ。17回に及ぶ国会での強行採決、格差社会の拡大放置、国民生活にとって最も重要なものとしての年金喪失、教育基本法の改悪、解釈改憲による集団的自衛権の発動など、どれをとっても多くの日本国民にとっては「テロ」である。

   そもそも、多くの国民は首相に「テロ」対策などさしてプライオリティーをおいていない。

 参院選挙で自民党が大敗した理由は、言うまでもなく、国民年金問題や格差社会化など生活に関連するものであり、決して「テロ特措法」問題ではなかったはずである。

 にもかかわらず、安倍首相の記者会見は「テロ特措法」の更新、「テロとの闘いの継続」の話しばかり、ひとことことたりとも国民年金問題や格差社会化には触れなかった。

 もとはといえば、安倍総理は、何ら国民の審判を受けないなかで、自民党内で参議院議員選挙で顔になるというさもしい理由で総理となっただ。

 その安倍首相とその仲間は、総理に選出された直後から祖父の岸信介(A級戦犯)ゆずりの国家主義的をことさら強調した立法、政策を国民の意向と離れ強行してきたのである。

 安倍首相はことあるたびに、国際的信用、外交上の信頼などを口にする。しかし、農水相が1年で4−5人辞職しそのうちひとりが自殺。防衛大臣も3人替わり、他の大臣、次官、幹部の辞職するようなことこそ、国際的信用を失う主因ではないのか?