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女川町復旧復興雑感

土地造成・住宅編

青山貞一

掲載日:2015年7月6日
独立系メディア E-wave Tokyo
無断転載禁



 女川原発学習会に参加するため東京から仙台まで新幹線「はやぶさ」で行き、その後、仙台からこの5月に開通した仙石東北ライン快速で石巻に向かいました。

 仙台駅4番ホームから乗車した仙石東北ライン快速は、わずか四両編成、終着の石巻駅まで結構混んでいました。


仙石東北ラインの停車駅  出典:JR東日本

 下の写真は、仙石東北ライン快速の車窓から撮影した松島近くの防波堤です。このあたりは3.11の津波来襲時、東松島や七ヶ浜町に比べると影響、被害が少なかったからか、新たにつくられた堤防の高さは低く、また景勝地であることを配慮したのか、堤防のデザインはそれなりに、景観に配慮された様子が見て取れました。


仙石東北ライン快速の車窓から撮影した松島近くの防波堤
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2015-7-4

 快速の割には停車駅は多かったのですが、そうこうしているうちに、四両編成の仙石東北ライン快速は、終着駅の石巻駅に到着しました。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2015-7-4

 石巻駅から女川駅には石巻線が通っていますが、頻度が少ないので、石巻駅から講演先の女川町の総合体育館までは、車で迎えに来てくださったので、自動車で向かいました。

 下は概ね自動車で走ったルートです。女川原発は女川湾の南東側、約7kmの地点にあります。


出典:グーグルマップ 

 なお、学習会は女川町役場のすぐ近くにあります女川町総合体育館で行われました。


出典:グーグルマップ 

 下が学習会の会場となりました女川総合体育館の写真です。なかなか奇抜なデザインの体育館ですが、おそらくこの体育館の建設には東北電力女川原発立地に関連した補助金が使われていそうです。


女川町立総合体育館(女川町)
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2015-7-4

 というのも、昨年、青森県にある東北電力の東通原発を視察した際、東通村も視察したのですが、東通原子力発電所立地との関連でつくられた東通村の公共施設は、下の写真にあるようにたいそう奇抜なデザインだったのです。それを思い起こしました。


青森県東通村の公共施設   出典:Wikipeia

 下の写真にあります仮設住宅は、もともと野球グランドとしてあった野球場のなかに造られており、何とバックネットやスコアボードがありました。下の写真でも左側にスタンドが見えます。


野球場の中に造られた仮設住宅(女川町)
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2015-7-4

 開始の午後1時30分にはまだ余裕があったので、車で女川町をまわってもらいました。その後、女川町に住んでいる方の仮設住宅で弁当を食べながらいろいろお話を聞くことが出来ました。

 下はその仮設住宅です。


仮設住宅(女川町)
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2015-7-4

 ところで、女川町で今なお進められている高台移転の住宅地造成ですが、聞いたところ現在仮設にいる住民は最長であと2年弱しかいられないとのことでした。

 女川の被災住民の場合、この仮設住宅は現在も家賃は無料とのことですが、光熱費、ガス、水道などは自己負担とのことです。一方、仮設住民用の集会施設などは仮設の一部を無料で供用しているとのことでした。

 仮設住宅の中で昼食を兼ねながら住人と30分ほどお話をしましたが、2K程度で狭く安普請で隣の声などが聞こえてきます。

 ところで、将来の移転先となる造成地ですが、現在町内3カ所で鹿島建設による高台の土地で造成が行われていました。かなり進んでいるように見えましたが、まだまだとのことです。

 下の写真はその一部です。おそらく海水面から20m以上の高台を林地などを切り開き造成しているようです。


町内3カ所で進められている宅地造成の一部(女川町)
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2015-7-4

 ところで、住民の土地と家屋の費用負担について伺ったところ、震災前に所有していた土地とほぼ同じ広さの土地を造成地にもらえるとのことでしたが、家屋については一切考慮されないそうです。

 したがって震災以前に古い家をもっていた住民と新しく建てたばかりの住宅をもっていた住民のいずれもが行政からは一円も住宅資金がでないとのことです。住民が津波被害などについての特例が着いた保険に入っていれば、保険からそれなりの住宅建設資金がでるとのことです。
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 今後、海水面より20m以上の高台に出来る造成地に土地を確保できても、1500万円ほどかけないと普通の住宅はできないとおっしゃっていました。ただ、住宅だけがあっても、日用品の買い出しなどの商店などはこれからであり、当面は石巻側の商店などにまとめて買いに行くようです。
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 一方、女川町には立派な病院がありました。それは東北電力女川原発立地と関係があるそうです。その他、公共施設はいずれもかなり立派でしたが、それらもPAZ自治体への電源三法交付金などによるもののようです。

女川町内にあった立派な病院(女川町)
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2015-7-4


つづく