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ABTOパソコンと企業
青山貞一 Teiichi Aoyama
掲載月日:2011年10月12日
独立系メディア E−wave


 日本にはたくさんのBTOがある。Google検索でざっと探しただけでも、以下のようにたくさんある。これらの企業の多くはガレージ企業か中小ベンチャー企業だが、デルやヒューレットパッカードのように大きな国際企業もある。ちなみに筆者はおもにパソコン工房のBTOを使っている。

●ガレージ企業・中小ベンチャーBTO通販
@ARK(秋葉原中心)
Aストーム(関西が拠点)
BVSPEC/ハーキュリーズ/A Charge(同じ系列店で関東が拠点)
Cドスパラ
Dフロンティア
EパソコンショップSEVEN(関東中心)
Fクレバリー

●全国展開BTOメーカー・通販
Gマウスコンピューター(東京中心だが仙台より西で全国展開)
HPC DEPOT (全国展開)
Iパソコン工房/TWO TOP/FAITH(ユニットコムのチェーン店)
Jツクモ(現在はヤマダ電機の傘下))

●国際的パソコンメーカー・BTO通販
Kデル(米国の巨大パソコン企業)
LHP(日本ヒューレットパッカード)
Mエーサー(台湾系企業、e-machinesを出している)
Nレノボ(中国系企業、IBMのThink Pad PCを引き継いでいる)

 この世界は、数名の中小、零細企業も結構多いようだ。

 他方、国際的なパソコンメーカーもあるなど多様である。さらに、秋葉のパソコン街を歩いているとパソコン好きパソコンオタクがガレージ企業をはじめたものも多い。それこそ個人商店がBTOをやっているケースも多い。

 ということは、パソコンの各種部品を買い集め、自作しているうちに、これくらいなら自分でも会社が出来ると、BTOをはじめた零細企業もあるわけだ。またパソコン通販をしていた中小企業の一部がBTOをはじめた例も多い。

 共通しているのは、店売りよりもマザーボード、電源、ケース、ハードディスクドライブ、メモリーなどの部品を通販している企業がBTOも手がけていることが多いということである。

 しかし、この世界の難しさは、大手の国際企業であれば、サービス、保守、維持管理が良いかと言えば、私の経験でもそうとはいかないことにある。グーグルで検索すれば、デル、エーサー、HPなど大手への膨大な批判があることからも分かる。さらに、大手の場合、仮にパソコン本体は廉価でも、メモリーを増設するとか、HDDを交換するとなどがバカみたいに高額であることが多い。

 他方、中小零細企業は、CPU、OS、マザーボードなどをメーカーや卸売り店から仕入れている関係で、ほぼ同じ商売の仕方をしている。すなわち、ハード、ソフトの部品を安く仕入れ、組み合わせて安く売ることである。


CPUパッケージの例(インテル PentiumG860)


CPU本体の例(インテル PentiumG860)


マザーボードの例(P8Z68-V PRO)

 パソコンの部品は、主なものとしてCPU(インテル、AMDなど)、マザーボード、主メモリー、ハードディスクドライブ、電源、ケース、OS(マイクロソフトなど)など、使う部品がほぼ決まっている。そのなかかからユーザーのニーズに沿ったパソコン、売れ筋のパソコンを特定の部品をかき集め組み立てて売るのがBTOメーカーである。

 したがって、同一CPUを使ったほぼ同一機能のパソコンをいかに安く売るかがポイントとなっている。そのため、肝腎は維持管理、保守などはどうしても二の次となる。また部品すべてが安心して使えるものとは限らない。よく言えば同一CPUを使っても、マザーボードなどでいかに安い部品を使うかも企業存立の大きなポイントとなる。

 逆説すれば、比較的見えにくいところに安いかわりに信頼性がない安物部品を使うこともあるだろう。この辺が、実際にBTO企業からパソコンを購入する上でのポイントとなる。

 BTOとつきあっていると、最終的に自分で部品を買い集め、組み立てた方が早いと思うようになる。事実、そのようなひとは結構いる。しかし、どうころんでも、自分で部品を買い集めると、多くの場合、その合計額だけでBTO企業の製品より高額になってしまうのである。

 これは当然である。BTO企業はCPU、OSなどのハード、ソフトの大量に部品を仕入れるから元値が通常、小売りされている額より遙かに低いからである。

 逆にあるBTOメーカーがあるCPUを大量に仕入れた場合、それを売り切るまで最新型のCPUが出ても、そのCPUに対応した製品を売り出さないという本末転倒な状況が出ている。

つづく