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日本政府と
ラムズフェルド元国防長官の
タミフル利権疑惑!?

青山貞一


2007年3月1日



 2007年2月27日、勤務している大学の用事で仙台に出かけた。宿泊したのは、仙台駅宮城野通り側にあるホテル。

 ホテルに着いてテレビをみると、何と宿泊先の近くにある仙台市宮城野区のマンションから中学2年生の男子が転落死亡、と言う大きなニュースが目に入った。地元のせいか、その後も、そのニュースをどのチャンネルも何度かやっていた。

 以下のスポニチの記事にあるように、何でもこの中学生は、前日の2月26日、病院でインフルエンザと診断され、治療薬タミフルを処方され、その後、午前9時半ごろと午後6時半ごろの2回にわたり、タミフルを1錠服用、一緒に処方された解熱剤2錠も併用した、ということだ。

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 厚生労働省によると、2001年2月のタミフル販売開始以降、2006年11月末まで、タミフル服用後に転落等で死亡した人は54人、うち16歳以下が16人に上ると言う。

中学生またタミフル服用転落死
スポニチ 200.2.28

 27日午前1時20分ごろ、仙台市宮城野区のマンションで、11階に住む市立中学2年の男子生徒(14)が転落、死亡した。外廊下にある高さ1・26メートルの壁を乗り越え、マンション中庭の駐車場に転落したとみられる。

 仙台東署などによると、生徒は26日朝、病院でインフルエンザと診断され、治療薬タミフルを処方された。午前9時半ごろと午後6時半ごろの2回、タミフルを1錠服用。一緒に処方された解熱剤2錠も併用したという。遺書などは見つかっておらず、家族らは「自殺の理由は見当たらない」と話している。

 今月16日にも、愛知県蒲郡市で、中2の女子生徒(14)がマンション駐車場で死亡しているのが見つかった。タミフルを服用した形跡があり、転落死とみられている。

 厚生労働省によると、タミフルを承認した00年12月以降、今年1月末までに服用後の死亡例が54件報告されている。タミフルの副作用による異常行動が多数報告されていにもかかわらず、現時点で厚生労働省は因果関係を否定。特別な注意喚起などは実施しない考えだ。専門家からは「国は医師に対し、厳重な警戒の元で処方することなどの指導をすべきだ」との声も上がっている。

 
さらに、207年2月16日にも、愛知県蒲郡市で、中学2年生の女子生徒(14歳)がマンション駐車場で死亡しているのが見つかり、タミフルを服用した形跡があり、転落死とみられている、という。

 以下はそれを報ずる北海道新聞の記事。

タミフル異常行動で要望書 愛知の転落死受け
北海道新聞 2007/02/23 22:02

 愛知県蒲郡市で16日、マンションから転落死した中2少女が、死亡前にインフルエンザ治療薬「タミフル」を服用したとみられることを受け「薬害タミフル脳症被害者の会」(軒端晴彦代表)などが23日、厚生労働省を訪れ、同薬と異常行動による事故死との因果関係を認め、医療関係者や国民に広く警告するよう文書で要請した。

 文部科学省に対しても、教育現場で注意喚起するよう申し入れた。

 要望書は「タミフルは神経系の副作用を起こす薬剤で、異常行動の結果、事故死した例について因果関係は疑いない」などと主張している。

 厚労省は「安全性に重大な懸念があるとは考えていない」としており、明確な回答はしなかったという。

 服用後の異常行動で長男=当時(17)=が交通事故死した軒端代表は「厚労省は何もしてくれない。タミフルを処方されたら、子供のそばを離れないでほしい」と訴えた。

<写真:厚労省に要望書を提出後、記者会見する「薬害タミフル脳症被害者の会」の会員ら=23日午後>


 にもかかわらず、厚生労働省はタミフルの服用と転落とは因果関係が見あたらないと逃げ回った。

 相次ぐ、子供の転落死への疑義もあり、マスコミが厚生省や政府に取材したこともあってか、2月28日になって、やっとタミフル使用「情報収集に努める」、さらに「子供を2日間1人にしない」タミフル転落死で注意喚起などととぼけたことをいっている。そして、依然として因果関係は認めていない。

....

 このタミフルについては、トンデモない副作用問題とともに、もうひとつ大きな疑惑が以前からあった。

 それは国が都道府県に膨大な量のタミフルの備蓄を指示していたことだ。

 昨年(2006年)1月当時、私は長野県の政策アドバイザーをしていたが、タミフルの件が気になっていたので、タミフル備蓄の実態を当時の衛生部長に電話で聞いたことがある。

 電話のメモ以上に詳しい内容が長野県の新インフルエンザ対策指針(V.1.1)にあったので、それをもとに概要を報告しよう。

 長野県新インフルエンザ対策指針(V.1.1)によると、タミフルの備蓄は、2005年11月時点の国の行動計画で1日2カプセル5日間投与で2500万人分、2億5千万カプセルを国、都道府県、流通市場で備蓄又は確保することとなっている。

 内訳は、国内備蓄目標が1050万人分、都道府県備蓄目標が1050万人分、流通市場分が400万人分とある。そして、長野県には18万2千人分の備蓄が求められている、と言う。

 さらに、この長野県の新インフルエンザ対策指針では、県内の医療機関を受診する新型インフルエンザ患者数は約30万人と推定され、治療のために国と県の備蓄分を併せて300万カプセル以上を確保する必要がある、とも言っている。

 
長野県新型インフルエンザ対策指針(V.1.1)の関連部分

 上記の備蓄の数はとてつもなく巨大なものだ。

 同時に、このタミフルは国、自治体が税金を使ってまでこれほどまで備蓄しなければならない、そしてすべきものなのかについても、大いに疑問を感じる。
 何と世界で備蓄されているタミフルのうち米国以外では日本が8割近くを購入しており、50万人分以上のタミフルを途上国にも供与していると言うのだ。

 きわめつけは、2005年10月31日のCNNのニュースに信じられないタミフルに関連する記事であった。この記事は、タミフル問題を考える上できわめて重要な視点を与えてくれる。

 CNNニュースの原題は、Rumsfeld's growing stake in Tamiflu(CNN)Defense Secretary, ex-chairman of flu treatment rights holder, sees portfolio value growing.October 31, 2005である。

 以下に同ニュースの要約を再掲載する。

CNN

 鳥インフルエンザ大流行の予測は世界の人々をパニックに陥れているが、ギリアド・サイエンシズ社の株を所有するラムズフェルド国防長官やその他政界関係者にとっては朗報だ。

 カリフォルニア州に本拠を構えるバイオテック企業ギリアド社は、インフルエンザ治療薬として現在世界中から注目されている『タミフル』の特許を所有している。

 1997年からブッシュ政権入閣までの2001年の間、ラムズフェルド国防長官はギリアド社の会長を務めており、現在でも同社の株を保有しているが、その評価額は500万ドルから2,500万ドルの間であることが、ラムズフェルド氏自身による連邦資産公開申告書で明らかになった。

 申告書ではラムズフェルド氏が所有する株数の詳細は明らかになっていないが、過去6ヶ月間における鳥インフルエンザ大流行の懸念とタミフル争奪戦の予測により、ギリアド社の株価は35ドルから47ドルに急騰。これにより、すでにブッシュ政権内で最高額の資産を持つ国防長官は、少なくとも100万ドル以上資産を増やしたことになる。

 スイスの医薬品大手ロシェ社が製造販売しているタミフル(ギリアド社は販売額の10%のロイヤリティーを受け取っている)で利益を得た政界有力者はラムズフェルドだけではない。

 ジョージ・シュルツ元国務長官はギリアド社役員として、2005年度に入ってから同社の株700万ドル分を売却している。

 他にも、前カリフォルニア州知事の妻ピート・ウィルソンがギリアド社の役員に就任している。

 「政界とこれほど繋がりの深いバイオ企業は他に類を見ない」サンフランシスコのシンク・イクイティ・パートナーズ社アナリストのアンドリュー・マクドナルド氏は評している。

 さらに重要なことは、合衆国政府が世界最大のタミフル購入者であるという事実だ。今年7月には、米国防総省は兵士への配給用に、5,800万ドル分のタミフルを注文しており、議会も数十億ドル分の購入を検討中である。2005年度におけるロシェ社のタミフル売り上げ予測額はおよそ10億ドルで、前年度は2億5,800万ドルであった。

以下略

 以下は、昨年(2006年)1月にCNNの記事を素材として書いたブログである。

※青山貞一:ラムズフェルド米国防長官のタミフル利権疑惑!?
2006年1月8日執筆


 何かと、いわくつきのタミフルだが、最大の疑惑は、なぜ日本だけがかくも膨大な量のタミフルを購入しているかである。

 もし、CNNの記事にあるラムズフェルド元国防長官と日本政府との間に、何らかの利権があったとしたらどうなるか?

(1)日本は国が膨大な数のタミフルを備蓄していること

(2)国のみでなく国の知事で都道府県がやはり膨大な数を備蓄していること

(3)日本政府がことあるたびに途上国援助にかこつけてタミフルを供与していること

そして

(4)これだけ国、自治体が備蓄し使っているタミフルの副作用について厚生労働省はさしたる情報をもっていないこと、

(5)さらに2月16日、2月27日に起きた中学生らの転落死亡について厚生労働省がはなから因果関係が明確でないといってきたこと、

 CNNの記事そして上記(1)〜(5)を総合すると、以下の仮説、推論が成り立つ可能性が高いのではないか。

(6)日本政府はブッシュ政権からタミフルの備蓄を要請されたこと、

(7)その背景に鳥インフルエンザなど、新型インフルエンザの恐怖をことさら米国や日本政府が煽ったこと、

(8)それらを背景に政府主要の指示を受け厚生労働省がタミフル備蓄の先兵となって税金を使い巨額のタミフル備蓄に走ったこと、

である。

今後、私の上記の仮説を検証することになる。

 いずれにしても、結果的に日本政府(厚生労働省)は米国からの要請にそって備蓄は行ったが、タミフルが有する各種副作用、とりわけ服用後の異常行動についてまともな情報を有していないという、信じられないお粗末な実態が明らかになった。

 上記のように、巨大な備蓄をしている国(厚生労働省)が、50数件に及ぶタミフル服用による死亡の原因、とくに異常行動との関連性について知らぬ存ぜぬはありえない。

 そんな中、2007年2月28日発売の日刊ゲンダイに以下の記事が掲載された。私の上記の問題意識とほぼ同じものである。

 それにしても、タミフル備蓄が日本政府の米国追随の一環だとしたら、50名以上の尊い命がインフルエンザではなく、タミフル服用で亡くなった責任を日本政府はどうとるのか?

疑惑のトライアングル:タミフル・米国・厚生労働省
日刊ゲンダイ 2007年3月1日
 
 インフルエンザ薬「タミフル」を服用した事の転落死が続発している。仙台市の中2男子(14)は27日、タミフルを飲んだ直後にマンション11階から転落死。今月16日にも愛知で中2女子(14)の転落死が報告された。

 タミフル服用後に死亡したケースは、昨年10月までに54件に上る。

 医事ジャーナリストの志村岳氏は「異常行動が見られるのは思春期の少年ばかり。脳機能が多感な時期で、ホルモンバランスを崩してしまう。危険性は高い」という。

 ところが、厚労省は何も動こうとしない。「(タミフル)と異常死の因果関係がハッキリしない」と逃げ回っている。

 そこで、ささやかれているのが「米国の圧力説」だ。

 タミフルはスイスのロシュ社が製造・販売しているが、開発したのは米ギリアド・サイエンシズ社で、多額の特許料を得ている。そしてCNNテレビが05年10月、こう報じているだ。「ラムズフェルド(前)国防長官はギリアド社の元会長で大株主。インフルエンザ流行によるタミフル争奪戦で同社の株価が上昇し、少なくとも100万ドル以上の資産を増やしたことになる」

 タミフルが日本で承認されたのは2000年。ラムズフェルド前長官がギリアド社の会長をやめていたのは1997年から2001年。時期もピタリと符合する。

 元外務官僚の原田武夫氏はこういう。

 「それでなくても、米、奥は毎年日本に突きつけてくる『年次改革要望省』で、医療市場の開放を迫り続けてきました。米国の製薬業界と共和党は深く結びついてきたのです」

  日本政府はタミフル備蓄のために多額の税金を投入。日本のシェアは8割だ。タミフルと米国、厚生労働省の間で一体何があったのか。