かつて1918年から1919年にかけ4000万人〜5000万人が死亡したスペイン風の再来と、マスコミにより大喧伝されている鳥インフルエンザだが、東南アジア、メキシコ、トルコなどで合わせて10数名が亡くなったと言う報告はあるが、先進国では若干の感染例はあるものの、死亡例はほとんどない。
たとえば、東京都総務局福祉保健局は、平成17年10月20日に鳥インフルエンザについて、次のように警告を出している。
「新型インフルエンザは、出現した場合、世界規模での大流行が不可避と言われており、都においてもあらかじめ対策を講じておく必要があります。
東京都では、東京都新興感染症対策会議(※)を設置し、新型インフルエンザ対策について検討を進めてまいりましたが、このたび報告を取りまとめましたのでお知らせします。
なお、この「報告」をもとに、平成17年11月を目途に「東京都新型インフルエンザ対策行動計画」(仮称)を策定する予定です。」
さらに東京都は、都民の約30%が罹患するとして、都内流行期までの予測として、外来受診者数:約380万人、入院患者数:約29万人、死亡者数:約1万4千人と予測している。
このように、私たちは、この半年、鳥インフルエンザの猛威、恐怖をさんざんすりこまれてきた。そして鳥インフルエンザを予防するには、人混みになるべく行かない、専用マスクを常備するにはじまり、果ては、インフルエンザ治療としてタミフルという薬をあらかじめ摂取すること、と教えられてきた。
そのタミフルだが、世界中で過去この薬を大量に購入し使ってきたのは米国と日本である。日本では周知のように、鳥インフルエンザ以前に、このタミフルが原因と思われる数名の幼児の死亡が確認されている。しかし、鳥インフルエンザ問題が喧伝されて以来、各都道府県はタミフルの備蓄に精を出している。
だが調べるとタミフルは“発症”でなく“感染”し、48時間以内に飲まないと効果がないそうなので、冒頭に述べた先進国で死亡例がほとんどない理由が、タミフルをあらかじめ摂取していたからでないことは間違いないのだ。
この半年、日本全体でタミフルの備蓄は数千万に達している。が、それにとどまらず、日本政府は、以下の共同通信の記事にあるように、タミフルをアジア諸国に供与する国際支援にも精を出している。
....アジア各国への支援として、新型インフルエンザ発生を防ぐため、鳥インフルエンザ患者に接触する可能性のある医療従事者にワクチン接種などを実施する経費52億6000万円を計上。さらに、東南アジア諸国連合(ASEAN)統合を支援するため、日本が拠出する75億円のうち約50億円をタミフル50万人分の備蓄など新型インフルエンザ対策に充てる。(共同) |
たとえばに、小泉首相がASEAN諸国に30万人分を供与すると表明するなど、タミフルの大量消費に一役買っているのだ。
首相、ASEANに鳥インフルエンザ薬
30万人分供与表明へ
【クアラルンプール=石沢将門】
小泉純一郎首相は日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)が13日に開く首脳会議で、鳥インフルエンザ治療に効果がある抗ウイルス剤「タミフル」を30万人分以上、ASEANに供与する方針を表明する。感染対策として備蓄を急いでいるASEAN各国の取り組みを支援する。
ASEANの地域統合やテロ対策、感染症対策など国境を超えた取り組みを支援するために新設する「ASEAN統合支援基金」(仮称)を通じて提供する。首脳会議でASEAN側の要望を聞いたうえで供与量を決め、共同で署名する首脳宣言に盛り込む。日経新聞 2005.12.20 |
そんな中、米国の全国テレビネットワーク、CNNが次のようなニュースをながしていることが分かった。
ニュースの原題は、Rumsfeld's growing stake in Tamiflu(CNN)Defense Secretary, ex-chairman of flu treatment rights holder, sees portfolio
value growing.である。
以下に同ニュースの要約を掲載する。
CNN
鳥インフルエンザ大流行の予測は世界の人々をパニックに陥れているが、ギリアド・サイエンシズ社の株を所有するラムズフェルド国防長官やその他政界関係者にとっては朗報だ。
カリフォルニア州に本拠を構えるバイオテック企業ギリアド社は、インフルエンザ治療薬として現在世界中から注目されている『タミフル』の特許を所有している。
1997年からブッシュ政権入閣までの2001年の間、ラムズフェルド国防長官はギリアド社の会長を務めており、現在でも同社の株を保有しているが、その評価額は500万ドルから2,500万ドルの間であることが、ラムズフェルド氏自身による連邦資産公開申告書で明らかになった。
申告書ではラムズフェルド氏が所有する株数の詳細は明らかになっていないが、過去6ヶ月間における鳥インフルエンザ大流行の懸念とタミフル争奪戦の予測により、ギリアド社の株価は35ドルから47ドルに急騰。これにより、すでにブッシュ政権内で最高額の資産を持つ国防長官は、少なくとも100万ドル以上資産を増やしたことになる。
スイスの医薬品大手ロシェ社が製造販売しているタミフル(ギリアド社は販売額の10%のロイヤリティーを受け取っている)で利益を得た政界有力者はラムズフェルドだけではない。
ジョージ・シュルツ元国務長官はギリアド社役員として、2005年度に入ってから同社の株700万ドル分を売却している。
他にも、前カリフォルニア州知事の妻ピート・ウィルソンがギリアド社の役員に就任している。
「政界とこれほど繋がりの深いバイオ企業は他に類を見ない」サンフランシスコのシンク・イクイティ・パートナーズ社アナリストのアンドリュー・マクドナルド氏は評している。
さらに重要なことは、合衆国政府が世界最大のタミフル購入者であるという事実だ。今年7月には、米国防総省は兵士への配給用に、5,800万ドル分のタミフルを注文しており、議会も数十億ドル分の購入を検討中である。2005年度におけるロシェ社のタミフル売り上げ予測額はおよそ10億ドルで、前年度は2億5,800万ドルであった。
以下略
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米国政府では、ブッシュ(大統領)一族が石油エネルギー企業を設立、経営するだけでなく、アフガン戦争、イラク戦争のひとつの重要な動機として、エネルギー権益が指摘されてきた。
副大統領のチェイニーも、軍事産業との癒着など、ブッシュ政権は自分に密接に関係する企業、産業とのズブズブな関係が指摘されている。
青山貞一:エネルギー権益から見たアフガン戦争、
世界、岩波書店、2002年9月号
そんななか、今回のタミフルを製造する医薬品メーカーとラムズフェルド国防長官とのCNN報道を見るにつけ、ここでも米利権政権のマッチ・ポンプの片鱗が見えてくる気がする。 同時に、鳥インフルエンザの猛威、脅威を煽った情報経路を徹底的に調査する必要があるだろう。
それにつけても、このところ日本政府の御用広報機関に成り下がっている日本の大マスコミだが、米国のCNNが大きく報道しているラムズフェルドとタミフル関連企業との利権疑惑を、まったく報道せず、後追いもしないのは、いかがなものだろうか。
これでは米ブッシュに追随するポチ、小泉政権の御用広報機関といわれても仕方がない。連日、ポスト小泉などばかり報道せず、足と頭を使った調査報道をしてほしいものだ。
<関連HP・ブログ>
タミフルの国家備蓄も米ブッシュの意向!?
死の商人 ラムズフェルド
暗いニュースリンク:
ラムズフェルド、鳥インフルエンザで大儲け
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