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福島原発事故で
本当に怖いのは魚介汚染
青山貞一
東京都市大学大学院
掲載月日:2011年11月17日
 独立系メディア E−wave 無断転載禁


 以下は昨年11月17日に執筆したものである!

 日本の気象庁の気象研究所が2011年11月16日に発表したシミュレーション結果によると、放射性物質のうち、とくに放射性セシウムは今年の4月までに70〜80%が海に落ち、陸地に降ったセシウムは30%程度と推測している。

 気象研究所の研究チームによれば、2011年3〜4月は偏西風で運ばれるために陸地に落ちる量は少なく、その分海洋が汚染されたとみている。ヨウ素131は放出量の約65%が海に落ちたとしている。

 ちなみに以下の放射性物質の3次元の移流、拡散シミュレーションは私たち環境総合研究所が2011年春に行ったものの一部である。通常、陸側が表示されるが当然のこととして、西風系の場合には放射性物質は太平洋側に落ちる。


福島第一原発事故による放射性物質に海側への拡散(大気汚染系)
出典:環境総合研究所(東京都品川区)
    

福島第一原発事故による放射性物質に海側への拡散(大気汚染系)
出典:環境総合研究所(東京都品川区)

 上記の気象研究所のシミュレーションは風に乗ったあとの放射性物質の話であるが、現実にはそれとは別に、周知のように、福島第一原発の敷地からは、大量の冷却水が放射性物質に汚染され、そのまま太平洋に垂れ流された。

 以下は、フランスの Institut de Radioprotection et de Surete Nucleaire及び米国のNOAA(米国国家海洋気象局)、US Navey(米国海軍)、GEBCOが行った福島第一原発による海洋汚染のシミュレーションの一部である。


福島第一原発事故による海洋汚染予測(海洋汚染系)
出典: Institut de Radioprotection et de Surete Nucleaire(France)


福島第一原発事故による海洋汚染予測(海洋汚染系)
出典: NOAA(米国国家海洋気象局)、US Navey(米国海軍)、GEBCO

 原発事故以来、官民を問わず膨大な量のモニタリングデータが公にされてきたが、なぜか魚介類に含まれる放射性物質汚染に関するデータは、きわめて限られている。

 理由はやはり太平洋側の海洋汚染が相当深刻なためだろう。

 以下は2011年4月〜5月に公表された魚類汚染調査結果である。魚種はみて分かるようにコウナゴであり、以下の表を見てもそれ以外の近海魚、大型魚などのデータは皆無である。国の暫定基準値は500Bq/kgである。

産地
都道府県
市町村 品目 採取日 厚生省 結果(Bq/kg)
(購入日) 公表日 ヨウ素-131 セシウム-134 セシウム-137
北海道 島牧村沖 コウナゴ(イカナゴ) H23.5.12 H23.5.12 ND ND ND
北海道 島牧村沖 コウナゴ(イカナゴ) H23.5.12 H23.6.24 ND ND ND
茨城県 北茨城市沖 コウナゴ(イカナゴ) H23.4.29 H23.4.30 420 1374
茨城県 高萩市沖 コウナゴ(イカナゴ) H23.4.29 H23.4.30 100 505
茨城県 ひたちなか市沖 コウナゴ(イカナゴ) H23.4.29 H23.4.30 53 51
茨城県 北茨城市沖 コウナゴ(イカナゴ) H23.4.28 H23.4.29 430 1129
茨城県 高萩市沖 コウナゴ(イカナゴ) H23.4.28 H23.4.29 330 404
福島県 いわき市 コウナゴ(イカナゴ) H23.4.26 H23.4.27 690 1300 1300
福島県 いわき市 コウナゴ(イカナゴ) H23.4.26 H23.4.27 890 1600 1600
茨城県 高萩市沖 コウナゴ(イカナゴ) H23.4.21 H23.4.22 670 254
茨城県 ひたちなか市沖 コウナゴ(イカナゴ) H23.4.21 H23.4.22 180 93
茨城県 大洗町沖 コウナゴ(イカナゴ) H23.4.21 H23.4.22 210 54
福島県 いわき市 コウナゴ(イカナゴ) H23.4.18 H23.4.19 3900 7100 7300
福島県 いわき市 コウナゴ(イカナゴ) H23.4.18 H23.4.19 120 160 160
福島県 いわき市 コウナゴ(イカナゴ) H23.4.13 H23.4.13 12000 6200 6300
福島県 いわき市 コウナゴ(イカナゴ) H23.4.13 H23.4.13 300 190 200
茨城県 北茨城市沖 コウナゴ(イカナゴ) H23.4.12 H23.4.13 1600 357
茨城県 ひたちなか市沖 コウナゴ(イカナゴ) H23.4.12 H23.4.13 397 66
茨城県 北茨城市沖 コウナゴ(イカナゴ) H23.4.11 H23.4.12 2300 420
茨城県 ひたちなか市沖 コウナゴ(イカナゴ) H23.4.8 H23.4.11 598 81
福島県 いわき市 コウナゴ(イカナゴ) H23.4.7 H23.4.9 1700 280 290
福島県 いわき市 コウナゴ(イカナゴ) H23.4.7 H23.4.9 1200 240 260
福島県 いわき市 コウナゴ(イカナゴ) H23.4.7 H23.4.9 1500 240 250
福島県 いわき市 コウナゴ(イカナゴ) H23.4.7 H23.4.9 1100 240 240
茨城県 ひたちなか市沖 コウナゴ(イカナゴ) H23.4.4 H23.4.5 600 83
茨城県 北茨城市沖 コウナゴ(イカナゴ) H23.4.4 H23.4.5 1700 526
茨城県 - コウナゴ(イカナゴ) H23.4.1 H23.4.4 4080 250 197
茨城県 大洗町沖 コウナゴ(イカナゴ) - H23.4.2 - 66

 そして事故から7月上旬には大型魚の放射能汚染が顕在化してきた。


◆ブリから放射性物質検出 大型魚が早期汚染してるのは不気味†

出典:女性セブン2011年7月28日号
http://news.www.infoseek.co.jp/society/story/postseven_25858/

 本誌・女性セブンは、7月上旬に海産物の放射性物質の検出調査を行ったが、実際に検出された海産物は、100品中28品にのぼり、3割という高確率で汚染が見つかった。

 そのうち最も濃度が高かった5品は、1位「かわはぎ干もの」、2位「ぶり」、3位「いか」、4位「あじ」、5位「かれい」となった。

 千葉・九十九里町内の商店で購入したかわはぎの干ものが217ベクレル/kgと突出しているが、これには理由があるという。

 「干物は乾燥させるため水分が減少し、重量に対して放射性物質の比率が高くなります。今回の高い数値もその影響と考えられます」(食環境科学が専門の美作大学教授・山口英昌さん)

 着目すべきは、2番目に放射能濃度が高い岩手産のぶり。ぶりは季節によって生息域を変える回遊魚で、春から夏にかけて沿岸を北上し、秋から冬にかけては沖合を南下する。

 「ぶりはいわしやあじなどの魚をエサとしています。今回のぶりは岩手産ですが、福島近海の沿岸を北上しているときに、放射能汚染されたエサを食べて体内濃縮された可能性が考えられます」(山口教授)

 海産物の放射能汚染は、プランクトンを小魚が食べ、その小魚を中型魚が食べ、それを大型魚が食べる…、この食物連鎖の過程で、より濃縮された放射性物質が魚の体内に蓄積されていく。

 「一般的に、魚類には海水の30〜100倍でセシウムが濃縮されます。ぶりのような大きな魚になるにつれ、だんだんセシウムの濃縮度が高くなります」(立命館大学名誉教授・安斎育郎さん)

 食物連鎖で中型以上の魚にセシウムが蓄積するにはある程度の時間がかかる。

 海洋生物環境研究所がチェルノブイリ事故を検証したデータでは、セシウムの濃度がピークになったのは中型魚のすずきが事故発生から5〜6か月後、同じく中型魚の真だらが9か月後だった。大型魚のまぐろでは、1年後とされる。

 今回、大型魚の一種であるぶりがすでに汚染されているのは実に不気味な現象だ。

 さらに事故から7ヶ月たった10月上旬、サンマをはじめヒラメ、カレイ、スズキなどのデータが公表されはじめた。


◆太平洋の魚はどこまで汚染されているのか

2011/10/11 日刊ゲンダイ 

「500ベクレル未満」の見直しが急務

サンマ操業禁止騒動

 サンマが大騒動を引き起こしている。原発事故から7カ月。魚の汚染対策で業界内はテンヤワンヤだ。

 流通・加工業者らでつくる「北海道サンマ産地流通協議会」は今月6日、福島第1原発の北100キロに当たる宮城県金華山より南の海域で取れたサンマを扱わないよう求める要望書を、根室市など道東の地元4港の市場に提出した。

 また、7日には「全国さんま棒受網漁業協同組合」が東京で理事会を開き、福島第1原発から半径100キロ以内の海域を「操業自粛区域」から「禁止区域」へ規制強化したのだ。今月に入りサンマの群れが岩手県沖まで南下してきたことが理由という。

 実際、魚の汚染の状況はどうなっているのか。水産庁は、福島沖と同じ太平洋側に接する北海道から神奈川県の9都道県に対し、検査数を増やすよう要請しているが、それより西の海域は含まれていない。また、今月5日には北海道から千葉県にかけた7道県を対象に、取った水域の表示も徹底するよう求める通知を出しているが、強制力はない。

 サンマをはじめ魚は群れをなして泳ぎ回っている。禁止区域からどれだけ離れていれば安全なのか。他の魚はどうなのか。

 「放射能を防ぐ知恵」の著者でNPO法人「食品と暮らしの安全基金」代表の小若順一氏がこう言う。

 「魚から放射性物質が検出されても、基準の1キロあたり500ベクレルを超えない限りは操業を自粛しません。事故前の魚の平均値は0・086ベクレルでしたから、放射能汚染魚が出回ります。基準を超えると、国は取ってはいけない海域を決めるが周辺海域での漁は続きます。すべての人と言いませんが、特にこれから子どもをつくる若い世代は要注意です」

 小若氏の解説をもとに、主な海産物の危険度を別表にした。

 「カツオの南洋での遠洋漁業は1年を通して行われ、日本では静岡県および鹿児島県が漁獲高の大半を占める。冷凍されて日本で水揚げされ、主にかつお節の原料になります。一方、近海物のカツオは、鹿児島県から静岡県遠州灘にかけては春、伊豆より北では初夏に漁期が来ます。

 これらの地域では『もどりカツオ』も漁獲でき、秋に漁期が来るが、このときの放射性物質に注意が必要です。太平洋沿岸を回遊するサバは、伊豆半島沖で春ごろ産卵し、餌を食べながら北上し、9〜10月ごろ南下を始める。

 ヒラメ、カレイ、スズキに関しては、福島周辺の各県で非常に高い値が検出されているにもかかわらず、岩手以北、神奈川県以西のデータがほとんどありません。基準の500ベクレルを見直さない限り、関東や東北の太平洋側で取れた魚を安心して食べることはできません」(小若氏)

 日本原子力研究開発機構は、海洋への放射能放出量について東電の推定していた3倍以上の試算を出している。検査海域の拡大、漁獲水域表示の強制はもちろん、汚染の実態解明を最優先すべきだ。

 それにしてもおかしいのは、これほど重要な魚介のしっかりとした汚染調査データが国(水産庁)、福島県、宮城県、岩手県などから国民に公表されていないことである。

 そんななか、11月10日やはり私たちの危惧を裏付ける記事が日刊ゲンダイに
掲載された。 それによると、

 10月初旬ころまでに公表されたセシウムの値は、国の規制値(1キロ当たり500ベクレル)に達しない魚介類がほとんどだったが、中旬ごろから、規制値をオーバーする検体が徐々に出始めた。例えば、19日公表の福島沖の「コモンカスベ」は、国の規制値の2倍を超える1280ベクレルを検出。26日公表の福島沖の「シロメバル」は、ナント、2400ベクレルだった。

 11月に入ると、福島沖の「クロソイ」で1420ベクレル、「コモンカスベ」で1260ベクレル、「イシガレイ」で1180ベクレル、「アイナメ」で1050ベクレルなどと、4ケタ台の汚染魚が続出。さらに前橋市の「ワカサギ」でも589ベクレル、「ウグイ」は685ベクレルが検出され、汚染地域がジワジワ拡大している実態がうかがえるのである。


と大型魚類に暫定基準を大幅に超す汚染が続出していることが分かった。恐れていたことが現実になってきたのである!


◆恐れていたことが現実に 魚介類のセシウム汚染 日に日に上昇

 2011年11月10日10時00分 ゲンダイネット

 東北地方の漁業関係者らに衝撃が走っている。

 10月中下旬以降、福島沖などで取れた魚介類の放射性セシウムの数値がハンパじゃなく高いためだ。

 福島原発事故後、魚介類のセシウム汚染は予想されていたとはいえ、値は月日を追うごとにどんどん上昇している。このまま汚染が進めば、食卓から魚が消える日がいよいよ現実味を帯びてくる。

 水産庁は原発事故後、福島や茨城などの各都道府県、業界団体と連携し、週1回程度、水産物のサンプリング調査を行っている。2日までで、計3475の検体を調べた。

 それによると、10月初旬ころまでに公表されたセシウムの値は、国の規制値(1キロ当たり500ベクレル)に達しない魚介類がほとんどだったが、中旬ごろから、規制値をオーバーする検体が徐々に出始めた。例えば、19日公表の福島沖の「コモンカスベ」は、国の規制値の2倍を超える1280ベクレルを検出。26日公表の福島沖の「シロメバル」は、ナント、2400ベクレルだった。

 11月に入ると、福島沖の「クロソイ」で1420ベクレル、「コモンカスベ」で1260ベクレル、「イシガレイ」で1180ベクレル、「アイナメ」で1050ベクレルなどと、4ケタ台の汚染魚が続出。さらに前橋市の「ワカサギ」でも589ベクレル、「ウグイ」は685ベクレルが検出され、汚染地域がジワジワ拡大している実態がうかがえるのである。

 国の規制値は国際的に見ても高く、「非常識」との批判が噴出しているが、それをはるかに上回る値が検出されているのだから驚愕だ。

 「放射能を防ぐ知恵」の著者でNPO法人「食品と暮らしの安全基金」代表の小若順一氏がこう言う。

 「事故前の魚の放射性セシウムの平均値は0.086ベクレルだから、今は事故前の約2万7000〜1万6000倍ということになります。米国がビキニ環礁で行った水爆実験では、魚介類に影響が出始めたのが半年後。福島原発で汚染水が流出、投棄されたのは3月下旬〜4月上旬だったから、だいたい当てはまります。高濃度汚染の魚介類はさらに増えるだろうし、汚染域は太平洋沖にさらに拡大していく。影響は5年ほど続くとみています」

 イタズラに危機をあおるつもりはないが、公表データのウオッチングは必要だ。

(日刊ゲンダイ2011年11月7日掲載)

 ここで思い出すのが、2011年4月時点でグリーンピース・インターナショナルの「虹の戦士号」なる調査船がヨーロッパから日本近海まで接近しながら、いつになっても日本政府から領海内に入る許可が出ず、結局、ヨーロッパに帰ってしまった事件である。

 グリーンピースは、福島県沖を中心に魚介類、藻類などの本格的な放射能汚染調査をするため、わざわざ欧州から「虹の戦士号」を原発事故でパニック状態となっている日本に送ったのだが、結局、調査することができなかったのである。

 以下はそれに関連したコラムである。


◆世界で2ヵ国しかない、グリーンピースの海洋調査を断った国・日本。政府は今すぐ独自に調査をやり直すべきだ 上杉隆
THURSDAY NOVEMBER 17TH 2011

 国際環境団体グリーンピースの海洋調査を断った国家は世界に2ヵ国しか存在しない。ひとつはインドネシア、もうひとつは日本である。

 4月20日、グリーンピースジャパンは福島沖の放射能汚染を調べるため、海洋生物のサンプリング調査の申請を日本政府に対して行なった。

 海洋調査はグリーンピースのお家芸ともいうべきものだ。過去数十年にもわたって、世界中の海の調査を行ってきた実績を持つ。

 近年ではフランスでの放射能漏れ事故や米国でのタンカー事故の際の水質調査も行なってきた。

 批判はあれど、国際的な信頼性は日本政府より上「グリーンピースの調査が必ずしも正しいわけではない。どちらかというと政府に対して厳しい数字になりがちだ」

 こうした批判があるのは事実だ。またそれは日本国内において顕著である。だが、仮にそうだとしても、日本政府の海洋調査とグリーンピースのそれでは、その信頼性において雲泥の差がある。

 もちろん、今回の福島第一原発の事故に限らず、当事国であり、海洋調査に関して国際的な実績の少ない日本のデータは、グリーンピースのそれよりも受け入れがたいものとなることは明白だ。少なくとも国際社会では間違いなくグリーンピースの信頼性の方が高いのである。

 「日本は魚の頭と内臓を取ってサンプリングを行なっています。放射性物質は身に溜りやすいからというのがその理由です。確かにそれはそうなのですが、内臓や頭に蓄積されるのもまた事実で、わざわざ除去する必要はないと思えます。たとえば、食物連鎖で考えても、大きい魚が小さい魚を食べるときに頭や内臓を外すことはありませんし――」

 グリーンピースジャパン事務局長の佐藤潤一氏はこう嘆く。

 このように世界に類をみないサンプリング方法の結果だからであろうか、日本では小魚のコウナゴだけに基準値を超える放射能汚染が見つかっている。

 しかし、それはコウナゴが頭と内臓を除去できるほど大きくないからであり、他の魚に同様の調査をすれば、結果も違ってくるというのは穿ちすぎだろうか。

放射能汚染の影響を受けやすい海藻類や貝類などこそ調査すべき今回、グリーンピースが海洋調査の採取サンプル予定として日本政府に提出していたリストは次の通りだ。

海水
底質
海棲生物
―貝類(アサリ、イガイ、マテガイ、ホタテガイ、ウニ)
―海藻類(ひじき、わかめ、こんぶ)
―魚類(コウナゴ、マイワシ、カタクチイワシ、アイナメ、ニシン、アナゴ、アンコウ、サンマ)

この書類提出から5日後の4月25日、突然日本政府は、初めてとなる海洋調査を行った。その結果が、前記のとおりである。

しかし、結局、グリーンピースの調査は認められず、調査船は福島海域から離れた。その結果、国際環境団体の調査を断ったということで、日本政府は海外政府から疑いの目で見られている。

 さらに、いわゆる食物連鎖(Food Chain)などを考慮すると、本当の魚介類の汚染はこれから深刻化する可能性が大きい。

 多くの放射性物質は時間の経過ともに、海に行くことになる。


出典:マリンブルー21資料もとに環境総合研究所

 人間の体内にはさまざまな経路を通じて入り込む!


出典:環境省資料をもとに環境総合研究所作成

 ※オンタリオ湖PCBの生物濃縮の事例は、「失われし未来」にあります。
   以下の図を参照してください。

 以下のオンタリオ湖のPCBの食物連鎖では、最高2500万倍もPCBが濃縮されていることが分かっている。


出典:「失われし未来」の図を元に環境総合研究所作成

 以下は、食物連鎖に言及した東京新聞の記事である。


◆魚は半年後の方が危険だった〜1954ビキニ環礁被ばく事件の調査者が語っていた魚類の放射能汚染
2011年04月09日 09:00 東京新聞

 放射能汚染水が流された海水に関連して、魚介類への被害が問題になっている。

 1954年3月から太平洋マーシャル諸島のビキニ環礁で米国によって繰り返された水爆実験では日本の漁民も深刻な被害を受けた。死の灰をかぶり死者1人を出した第五福竜丸が有名だが、高校生とともに漁民の被害の実態を長年にわたって調査してきた元教員で市民団体「高知県太平洋核実験被災支援センター」事務局長の山下正寿氏によると、実は約1000隻にものぼる日本のマグロ漁船などが被害を受け、そのことはあまり知られていないという。

 山下氏が昨年、都内で開かれた「アジア記者クラブ」の例会で語ったところでは「よく魚のはらわたを食べた人」が健康被害に苦しんだ。放射性物質は内臓に蓄積されやすいからだという。

 「食物連鎖で、プランクトンを小魚が食べて(その小魚をさらに大きな魚類が食べてという連鎖で)濃縮される。体内に入って蓄積が進むと内臓から肉の方へと変わっていくので、3月、4月に獲れた魚より、8月、9月、(10月)、11月、12月に獲れた魚の方が危なかった。だんだん、食べるところに放射能が回ってくる」

 マグロ漁船の船員は屈強な男ぞろい。そんな体力十分な船員の中から後になって、脱毛や鼻血、歯が抜けるといった健康被害が出てきた。原因は食物だけではないだろうが、それは「ただちに」発症したものではなかったという。
 被ばく当時、日本政府は“情報遮断”を行った。

 54年5月に政府調査船を派遣して報告書も出しながら、55年1月に米政府が補償金200万ドルを出すことを決めると“政治決着”。漁民や魚介類の被害調査をやめてしまったというのだ。

 「(放射能汚染の)検査を(54年)12月末に強引に打ち切ったのだから、何ということかと思う。実験したアメリカの責任はもっとあるけれど、日本政府の責任はかなり大きい」

 福島第1原発の事故で政府は、放射性物質の住民や動植物、食物への影響の継続的な調査を行わなければならない。

 この論考を書いていてわかったことは、関連記事の多くが週刊誌と日刊紙であることだ。このこと自体、国や福島県などの隠蔽体質を如実に表している!

 日本国民が世界有数の魚介を日常的に食べていることが、ここではなぜか隠されているのである!