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国民必見
フランスのテレビ番組
「終わらない悪夢」
青山貞一 Teiichi Aoyama
東京都市大学大学院環境情報学研究科教授
環境総合研究所所長
掲載月日:2011年7月26日
 独立系メディア E−wave
無断転載禁


 先に私の感想を送りましたフランス・テレビ局の原子力関連施設から大気、水、土壌などに漏洩する放射性物質についての徹底した調査報道番組、「終わらない悪夢」(邦題、NHKBSで放映)のフルテキストのトランススクリプトを池田こみちさんと鷹取敦さんが行ってくれました。膨大な作業ですが、そのテキストの要所に、動画を静止画にしたものを入れてあります。

   原題:Waste: The Nuclear Nightmare
   制作:Arte France/Bonne Pioche (フランス 2009年)

 私のコメントのなかで触れましたが、この番組は社会の木鐸であるべき大メディアが本来行う調査報道のあるべき姿を如実に示していると思います。

 世界一の原発大国、核廃棄物再処理大国であるフランスのテレビ局が核保有国、関連巨大企業相手に徹底して行った調査報道です。

 福島原発事故後、突然、フランスから女性CEOがサルコジ大統領を引き連れ??汚染除去装置の売り込みにきましたが、そのCEOが所属するのが、世界一の原子力、原発、核廃棄物関連の巨大企業、フランスのアレバ社です。


アレバ社があるフランス北西部ラ・アーグの位置
Source:Google Map


アレバ社の核燃料再処理工場があるコタンタン半島のラ・アーグ
Source: Google Map

 日本では電力会社から巨額の広告収入を得ることとで腰砕けとなっている民報はもとより、国民から高額な視聴料を取っていながら政府や議員に気をうNHKでもあり得ないことですが、巨大な自国原子力関連企業に国際環境NGOであるグリーンピースそして非営利第三者研究所、CRIIRADとの有機的連携のもと地球規模での調査報道を敢行します。

 世界各国に支部を持つグリーンピースがテレビ局取材班の水先案内人となり、要所、要所で汚染状況を測定分析するためCRIIRADが大気、水、土壌、農作物などをサンプリングし、本国に試料を送り詳細分析する。これをフランス本国はもとより、米国、ロシアで繰り返します。しかもその都度、アレバや政府、自治体の担当者、議員らに取材を行い、関連施設の内部、外部を視察し関係者に取材を行い、そのすべてを公開しています。

 私が設立以来代表を務める環境総合研究所は、過去26年にわたり調査報道の「調査」部分を担当し、民間テレビ局と連携しながら国内外で類似のことをしてきたこともあり、本フランス・テレビ局の積極果敢な調査報道がいかに秀逸で希有なものかが分かります。

 本番組は2009年に当初フランスで放映されたものですが、福島第一原発事故後の現在、私たち日本人に多くの示唆を与えてくれます。

 その意味でぜひ、皆様にフルテキストをごらん頂きたいと思います。本番組は報道機関が何を取材し何を報道するべきか、民間研究機関は第三者として報道機関の調査報道をどうサポートすべきか、またGOでもPOでもないNPO・NGOは本来何をなすべきかがこれほど良く分かる番組は見たことがありません。

 
特集:秀逸なフランス・テレビドキュメント「終わらない悪夢」

◆池田こみち:フランスのテレビ番組、「終わらない悪夢」(前編テキスト)
 http://eritokyo.jp/independent/aoyama-fnp123..html

◆鷹取 敦 :フランスのテレビ番組、「終わらない悪夢」(後編テキスト)
 http://eritokyo.jp/independent/aoyama-fnp124..html

◆青山貞一:フランスのテレビ番組、「終わらない悪夢」を見て
 http://eritokyo.jp/independent/aoyama-fnp121..html