図1 フライトレコーダー・データをグラフ化(可視化)
出典:インドネシア、ライオンエアのB-737MAX墜落事故の原因
Tokyo Press
図2 エチオピア機飛行がもつ不安定な鉛直速度
2機の墜落事故ですが、どちらも、離陸後すぐに同じプロセスモデルで墜落しました。ライオン航空のフライトはジャカルタを出発してから11分後。
エチオピアはアジスアベバを離陸してから6分後に墜落しています。
Questions raised over ‘anti-stall’ system on Boeing 737 Max 8s after
two crashes in six months, National Post
図3 航空機の失速とその対策
失速とは
失速とは、航空機の迎角が臨界値を超えたときのことを意味します。航空機の失速速度は、航空機がその重量を相殺するのに十分な揚力を発生させることができなくなる速度です。
より大きな揚力を発生させると、やがて臨界角に到達して失速します。失速は翼の上の空気のフラップ(薄板)の分離によって引き起こされます。これは揚力の減少を引き起こします。
航空機は、揚力が航空機の重量を打ち消すだけでなく、求心力をも与えなければならないため、より多くの揚力が必要とされるので、流体の土手を飛行中(banking)に失速する可能性もあります。
航空機の失速時には、エルロンやエレベーターの上を流れる空気が少なくなるため、航空機の制御が弱まります。
対策
航空機が失速速度に近づくと失速警報が鳴り、パイロットに警告を発します。
場合によっては、操縦操桿(そうじゅうかん)が揺れパイロットがより多くのエンジン出力を供給したり、機首を上げ下げしたりすることができます。
航空機の後部(テール)が失速しているときは航空機の制御に大きな影響を与えます。テールを失速させている最中にテールを見つけるのに最適な場所はほとんどありません。
したがって、航空機が失速している間も飛行機がより安全となるように設計することができます。
上図:失速前 下図:失速後
「失速防止装置(anti-stall flight- control system)」
出典:グーグル
図4 最後の1分におけるライオン航空機の
@高度(濃紺色)、A鉛直速度(黄色)、B巡航速度(赤色)の推移
New Boeing 737 Max 8 crash mystery. Why did Lion Air flight 610 crash,
killing 189 people, only 13 minutes after take-off
出典:EDI
図5 ライオン航空機の前便(前回フライト)のメンテナンス記録には、2018年10月29日に飛行開始13分でBoeing
737 Max 8に問題が発生したことが示されている。
Maintenance rcords for the previous flight indicated issues with the Boeing
737 Max 8 that crashed 13 minutes into flight on October 29, 2018. Source:
AirTrafficVisualised.
Source: AirTrafficVisualised.
出典:EDI
図7 国別に見たボーイング737MAX8型機
◆資料1 ボーイング737 MAXの概要 Wikipedia
現行のボーイング737NGを置き換える目的で737NGをベースに開発した旅客機である。737NGで搭載されているCFM56エンジンを、燃費の良いLEAP-1Bエンジンに換装するほか、機体のデザインにも手を加える。飛行試験機の初号機は、2015年12月8日にロールアウトし、2016年1月29日に初飛行した。初号機の納入は2017年5月である。737-100の初飛行から実に50年を経ての登場となる。
経緯
ボーイング社内ではかねて787 ドリームライナーの次に着手する旅客機として、737の後継となる白紙設計の単通路機を開発する計画があった。2006年に持ち上がったイエローストーン計画ではボーイングY1と呼ばれていた。ただし、開発時期は未定とされ、最終決定は2011年に持ち越された[7]。
2010年12月、ライバルのエアバス社がA320の機体により燃費の良い新エンジンを搭載したA320neoをローンチした。各航空会社からは高評価で迎えられ、特にエアアジア、IndiGoから大量の受注があった。
A320neoの好調な滑り出しを受け、2011年8月30日、ボーイング取締役会では対抗馬としてボーイング737
MAX計画の立ち上げを決議した。 対エアバスA320従来型(A320ceo)で16%、同A320neoに対しては4%の燃費向上を狙う。航続距離はA320neoと同等かそれを上回る計画[12]。初号機は2017年の予定。
ラインナップは、737NGシリーズでも人気の高い-700, -800, -900型をリプレースする737
MAX 7, MAX 8, MAX 9、および、機体長をさらに延長したMAX 10の4型式を予定している。機体長とドアの配置は現行の737NGシリーズと揃える。
当初、アメリカン航空以外の発注会社は公表されていなかったが、2011年11月17日現在ライオンエアおよびエヴィエイション・キャピトル・グループからも受注中であることが公表され、発表時には既に航空会社9社から計700機の受注があった。
2011年12月13日にはサウスウェスト航空からの大量発注を受け、737 MAXを生産ラインに乗せることが明らかになった。サウスウェスト航空は150機を発注している他、オプション契約でさらに150機の注文がある。2011年12月現在13社から948機の発注がある。
ノルウェー・エアシャトル社は737 MAXを100機、737-800型を22機、A320neoを100機発注している(総額114億ドル)。737
MAXシリーズとしては初のヨーロッパ系航空会社からの受注となる。
日本の航空会社では、2013年にスカイマークが2018年以降に737-800の後継機として737
MAXを導入する方針を明らかにしていた。その後は同社の経営破綻もあり具体的な動きは見られなかったが、2018年4月に現在の737-800よりも座席数の多い200席クラスの機体も検討をしていることを明らかにした。
737MAXとA320neoのどちらかで検討を進めている。 また、日本航空の子会社である日本トランスオーシャン航空(JTA)が737-400の後継機として737-800を2016年から導入しているが、JTAとボーイングとの契約にはボーイング737-800からボーイング737 MAX 8に調達機材を一部変更することが可能な条項が含まれていた。
調達機材の変更が可能だったのは導入予定の12機のうち後半の6機が対象となっていたが、2019年3月までに12機全てがボーイング737-800で引き渡される見込み。
一方で、全日本空輸(ANA)は次期主力小型機種として、エアバス社製A321neoやA320neoを相当数発注しているが、MRJ引き渡しの遅れの影響もあり、A320neo・A321neoの導入途上においても737-800の追加発注およびリース導入が進められていた。
2019年1月29日、同社はボーイング737 MAX 8を発注することを決定した。ボーイング737-700/800の置き換えを目的とした発注であり、日本国内の航空会社で初めてANAが737
MAXを採用することになった。ANAには2021年以降に導入される予定となっている。
事故・不具合
2018年10月29日、スカルノ・ハッタ国際空港を離陸直後のライオン・エア610便(B737MAX 8、機体記号PK-LQP)が、ジャワ島沖合いに墜落。機体の残骸も発見されており、乗員乗客189人は全員死亡したとみられている。
この事故を受けて2018年11月7日(日本時間)にアメリカ連邦航空局は飛行機の空中姿勢の制御に必要な「AOAセンサー」から入力される情報に誤りがあった可能性があると指摘し、運用されている約250機に対して緊急改善通報を出した。
2019年3月10日、アディスアベバを離陸したエチオピア航空302便(B737MAX 8、機体記号ET-
AVJ)が、6分後にレーダーから消失した。乗員乗客157人全員が死亡した。
ニューヨーク・タイムズは、失速を防ぐシステムの不具合がライオン・エアとエチオピア航空の事故原因の可能性があると指摘している。記事で当該機材を使用している便の検索方法などが紹介されており、自己防衛のためにも当該機種を避けるべきともとれる内容である。
中国民用航空局は、エチオピア航空の事故を受けて、中国南方航空、中国東方航空などをはじめとした全ての中国国内の航空会社に、ボーイング737MAX8型機での運航を緊急で停止させた。また、欧州連合(EU)の欧州航空安全局(EASA)も、欧州空域での同型機の運航を禁止すると発表した。他にも運用を禁止している国がある。
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