日本原燃における使用済 核廃棄物処理の流れ(全体概要) 青山貞一・池田こみち・鷹取敦・斎藤真実 環境総合研究所(東京都目黒区) 掲載日:2014年5月25日 独立系メディア E-wave Tokyo 無断転載禁 |
|||||||||||||||||
文責・青山貞一 六カ所村には、イギリス、フランスなど世界に数カ所しかない核廃棄物再処理工場がある。六カ所村の超広大な土地に日本原燃が所有する核燃料の再処理工場が散在している。 1993年から約2兆1,900億円の費用をかけ、青森県上北郡六ヶ所村弥栄平地区に「濃縮」、「埋蔵」、「再処理」、「廃棄物管理」、「MOX燃料加工」の各事業とそのための施設建設が進められており、現在試運転中である。核廃棄物サイクル処理は、今回の現地調査の一つの目玉である。 2014年5月18日午後3時六カ所村にある日本原燃PRセンターを訪問した。この訪問はあからじめ原燃PRセンター側に所定の説明付きの訪問申し込みを行った上で実現したものである。 六カ所村原燃施設PRセンター入り口にて 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-5-18 六カ所村役場前にて 撮影:斎藤真実 六カ所村原燃施設PRセンターにて 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-5-18 以下は六カ所村の原燃PRセンターにおける展示(物)をもとに、六カ所村にある日本原燃の核廃棄物処理の流れの全体概要の説明である。 出典:六ヶ所村日本原燃 原子力発電所で使い終わったウラン燃料の中には、燃え残りのウランと新しく出来たプルトニウムがある。これらを再びMOX燃料(Mixed Oxied Fuel)の原料として使えるように化学的な処理をするのが再処理工場である。つまり、再処理工場はウラン燃料のリサイクル工場である。 出典:六ヶ所村日本原燃
出典:六ヶ所村日本原燃 原子力発電所から運ばれてきた使用済燃料は、使用済燃料輸送容器(キャスク)から取り出され、3基の燃料貯蔵プール(BWR専用、PWR専用、BWR/PWR共用)で4年以上冷却・貯蔵される。 冷却・貯蔵により放射能の量は数百分の1に減衰する。 冷却期間を終えた使用済燃料は、次のせん断工程に移送される。 出典:六ヶ所村日本原燃 せん断・溶解工程では、せん断機で使用済燃料を細かく切断した後、硝酸を入れた溶解槽で燃料部分を溶かし、燃料部分と被覆管部分とを分別する。燃料を溶かした硝酸溶液は、清澄機で不溶解残渣(燃料せん断片を溶解槽で溶解した際に溶解せずに残る粒子状のもの)を除去した後、分離工程へ送る。 なお、溶け残った被覆管などの金属片は、固体廃棄物として処理する。 出典:六ヶ所村日本原燃 分離工程では、パルスカラムという装置で、硝酸溶液を溶媒といわれる油性の溶液と接触させ、ウラン・プルトニウムと核分裂生成物を分離する。さらに、化学的性質の違いを利用してこのウランとプルトニウムも分離し、精製工程へ送る。 出典:六ヶ所村日本原燃 精製工程では、パルスカラムやミキサセトラという装置を用い、ウラン溶液及びプルトニウム溶液中に含まれている微量の核分裂生成物をさらに取り除いて純度を高めた後、脱硝工程へ送る。 出典:六ヶ所村日本原燃 脱硝工程では、脱硝塔を用いて、精製されたウラン溶液とウラン・プルトニウム混合溶液から硝酸を蒸発及び熱分解させて、ウラン酸化物粉末とウラン・プルトニウム混合酸化物粉末(MOX粉末)にする。それぞれの粉末は、燃料加工施設等に出荷されるまでの期間貯蔵する。 出典:六ヶ所村日本原燃 再処理工程で生じる核分裂生成物を高レベル放射性廃棄物といいます。これらは、溶融炉の中で溶かしたガラスと混ぜ合わせ、キャニスターに入れ冷やし固める(ガラス固化体)。 つづく |