津軽の名所旧跡短訪 A太宰治記念館「斜陽館」 青山貞一・池田こみち・斎藤真実 環境総合研究所(東京都目黒区) 掲載日:2014年6月1日 独立系メディア E-wave Tokyo 無断転載禁 |
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文責・青山貞一 2014年5月19日、五所川原市の風力発電ファームそして十三湖を視察した後、私達は、五所川原市にある太宰治記念館「斜陽館」に向かった。太宰治記念館は津軽半島に行くなら必ず寄ってみたかった場所である。 五所川原市にある太宰治記念館「斜陽館」 出典:グーグルマップ 五所川原市にある太宰治記念館「斜陽館」 出典:グーグルマップ 太宰治記念館 「斜陽館」は、青森県五所川原市にある小説家太宰治の生家である。 現在は、五所川原市太宰治記念館「斜陽館」として、五所川原市立の施設となっている。また、「斜陽館」は近代和風住宅の代表例として2004年(平成16年)、国の重要文化財に指定されている。 入場は大人一人500円、5月〜10月は8:30〜18:00まで開館している。ちなみに11月〜4月は9:00〜17:00までである。 なお、記念館では研究室が撮影禁止となっていたが,その他は撮影が許可されていた。 ■太宰治記念館「斜陽館」 〒037-0202 青森県五所川原市金木町朝日山412ー1 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-5-19 五所川原市 太宰治「斜陽館」 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-5-19 太宰 治は、本名を津島 修治と言い1936年(昭和11年)に最初の作品集『晩年』を刊行し、1948年(昭和23年)に山崎富栄と共に玉川上水で入水自殺を完遂させていることで知られる。 1909年(明治42年)6月19日 〜 1948年(昭和23年)6月13日)とわずか39歳の若さで他界している。 下は国指定重要文化財、太宰治記念館「斜陽館」の入り口。 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-5-19 ◆太宰治 出典:文章は主にWikipedia 太宰治は北津軽郡金木村(現在の五所川原市)に、県下有数の大地主である父津島源右衛門と母たねの六男として生まれた。父は木造村の豪農松木家からの婿養子で県会議員、衆議院議員、多額納税による貴族院議員等をつとめた地元の名士。津島家は「金木の殿様」とも呼ばれていた。父は仕事で多忙な日々を送り、母は病弱だったので、太宰自身は乳母らによって育てられた。 太宰はこの自分の家柄に死ぬまで悩み続けることになる。 入館時にいただいた資料より 青森県公選知事一覧
1916年(大正5年)、金木小学校入学。1923年、青森中学校入学直前、父源右衛門が死去。 17歳の頃、習作「最後の太閤」を書き初めて作家を志望する。弘前高校時代、泉鏡花や芥川龍之介の作品に傾倒すると共に左翼運動に傾倒。戦旗を愛読した。1929年(昭和4年)、プロレタリア文学の影響で同人誌『細胞文芸』を発行すると辻島衆二名義で作品を発表。 この頃、自らの階級に悩み12月に自殺を図る。 1930年(昭和5年)、弘前高校卒業。フランス文学に憧れ東京帝大仏文学科に入学。だが講義について行けず実家からの仕送りで豪奢な生活を送る自己嫌悪もあいまって共産主義活動に没頭、講義には殆ど出席しなかった。 また、小説家になるために井伏鱒二に弟子入りする。この頃から本名津島修治に変わって太宰治を名乗るようになる。東大は留年を繰り返し授業料未納で除籍される。在学中、カフェの女給の田部シメ子と出会い鎌倉・腰越の海にて入水自殺を図る。シメ子だけが死亡、太宰は生き残る。 このころ芥川龍之介を敬愛しつつ1933年、短編「列車」を発表。同人誌『海豹』に参加、「魚服記」を発表。1935年、「逆行」を『文藝』に発表。初めて同人誌以外の雑誌に発表したこの作品は第1回芥川賞候補となった。だが落選。 選考委員である川端康成から「作者、目下の生活に厭な雲あり」と私生活を評され、「小鳥を飼い、舞踏を見るのがそんなに立派な生活なのか」と文芸雑誌上で反撃した。 その後、都新聞社(現・東京新聞)に入社できず、またも自殺未遂。この年、佐藤春夫を知り師事する。佐藤も選考委員であり、第1回の選考時には太宰を高く評価していた。第2回を太宰は期待し佐藤も太鼓判を押すが、「受賞該当者なし」となる。第3回では仇敵川端康成にまでも選考懇願の手紙を送ったが、過去に候補作となった作家は選考対象から外すという規定が設けられ候補にすらならなかった。 1936年、前年よりのパビナール中毒が進行し治療に専念するも、処女短編集『晩年』を刊行。翌1937年、内縁の妻小山初代と自殺未遂、一年間筆を絶つ。1938年、井伏鱒二の招きで山梨県御坂峠にある天下茶屋を訪れ3か月逗留。また、井伏の仲人で甲府市出身の地質学者石原初太郎の娘である石原美知子と結婚した。 この時、太宰は井伏に対し「結婚誓約書」を提出。その中で、「再び破婚を繰り返した時には私を完全の狂人として棄てて下さい」と書き、過去何度も失敗した自殺未遂から立ち直り、美知子を一生かけて守っていくとする決意を語っていた。甲府市御崎町に住み精神的にも安定し、「富嶽百景」「駆け込み訴へ」「走れメロス」などの優れた短編を発表した。戦時下も『津軽』、『お伽草紙』など創作活動を継続。1945年の甲府空襲も体験している。 太宰治 1946年撮影 1947年(昭和22年)、没落華族を描いた長編小説『斜陽』が評判を呼ぶ。流行作家となる。『斜陽』の完成と前後して登場人物のモデルとなった歌人太田静子との間に娘の太田治子が生まれ、太宰は認知した。 その語、『人間失格』、『桜桃』などを書きあげたのちの1948年、玉川上水で愛人山崎富栄と入水自殺した。2人の遺体は奇しくも太宰の誕生日に発見され、この日は彼が死の直前に書いた短編「桜桃」にちなみ、太宰と同郷で生前交流のあった今官一により桜桃忌と名付けられた。 太宰 治の主な作品としては、『走れメロス』、『津軽』、『お伽草紙』、『斜陽』そして『人間失格』があり、その作風から坂口安吾、織田作之助、石川淳らとともに新戯作派、無頼派と称されている。 ◆太宰治作品リスト ざっと300ある! 主な作品 斜陽 走れメロス 津軽 人間失格 桜桃 太宰 治の主な作品のひとつ『津軽』 五所川原市 太宰治「斜陽館」 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-5-19 太宰治を一生悩ませた豪邸は後に太宰治記念館「斜陽館」と名付けられたが、それは太宰の名作『斜陽』からとられている。巨大な木造建築は、明治の大地主であり父親の津島源右衛門の手で建設された。 下は玄関(写真では中央の先)から入った後にある大きな土間。右側が座敷、茶の間、常居となっている。 玄関(写真では中央の先)から入った後にある大きな土間 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-5-19 出典:グーグルインドアビュー 入母屋作りのこの建築物は、明治40年、米蔵にいたるまで日本三大美林のヒバを使い、当時のお金で工事費約4万円をかけて造られている。当時の10円は現在の約7万円に相当することからすると、工事費は2億8千万円となる。実際にはもっとかかったのではないかと思える。他方、当地の地代が低かったことを考えると建物の建築費で2億8千万円は相当なものと推察される。 建築物は、1階が11室278坪、2階が8室116坪、付属建物や泉水を配した庭園など合わせて宅地は約680坪の超がつく豪邸である。 太宰治記念館「斜陽館」の1階、2階間取 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-5-19 入館時にいただいた資料より 父親は金融業をしており建物の一部は往事の金融業を彷彿とさせるものもあった。 店「金融業店舗」 撮影:池田こみち Nikon Coolpix S6400 2014-5-19 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-5-19 下は洋間近くにあった洋式階段。 撮影:池田こみち Nikon Coolpix S6400 2014-5-19 数少ないが洋間もあった。 洋間 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-5-19 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-5-19 下は母の居室そして太宰治の書斎として使われた部屋。 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-5-19 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-5-19 下は金箔を貼った襖の日本間。 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-5-19 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-5-19 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-5-19 ところで太宰治はこの家を「苦悩の年鑑」の中で「この父はひどく大きい家を建てたものだ。風情も何もないただ大きいのである」と書いている。 この豪邸は戦後になって津島家が手放し、昭和25年から旅館「斜陽館」として旧金木町の観光名所となり、全国から多くのファンが訪れていた。その後、平成8年3月に旧金木町が買い取り、旅館「斜陽館」は46年の歴史に幕を降ろした。 五所川原市 太宰治「斜陽館」にて 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-5-19 下は「斜陽館」の日本庭園。 「斜陽館」の日本庭園 撮影:池田こみち Nikon Coolpix S6400 2014-5-19 撮影:池田こみち Nikon Coolpix S6400 2014-5-19 この後、私達は岩木山を見ながら夕暮れの弘前城に向かう。 つづく |