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ゼロウエイスト政策の
核心としての堆肥化
世界の実情(3)アジア・太平洋

青山貞一
22  July 2010
独立系メディア「今日のコラム」
無断転載禁


◆中華民国(台湾)台北市

 中華民国(台湾)の台北市が相当前(6年前)から調理済みの有機物は豚などのえさ(飼料)に、また未調理の有機物は堆肥化に、全市あげてして行っている。両者を分けて回収、処理しているのは塩分濃度の問題などがあるからである。調理済みだとどうしても塩分濃度が高くなる。

 台北からきていた大学院の留学生が、市役所作成の市民向けのCMビデオ・ファイルをくれた。


台北市の生ごみ堆肥化+飼料化のポスター

 以下は6年前に書いた「台北市、生ゴミの堆肥化開始!」と云うブログである。

<参考>
◆青山貞一、台北市、生ゴミの堆肥化開始!
 
 いずれにしても、一般ごみ(可燃ごみ)の約半分以上が水分を多く含む生ごみで、それを大部分800から1300℃で焼却、溶融している日本社会は異常である。

 8年前、一新塾塾生とゴミ弁連弁護士を連れ中華民国の廃棄物政策を現地調査した際にも、堆肥化、飼料化問題とは別に、過去台北市で有機物を埋め立てた処分場に、多数のパイプを打ち込み、メタンガスを集め、オーストラリア製のメタンガス発電機で電気に変え、1〜2万世帯に電気を供給している現場を皆で訪問した。


台北市のメタンガス発電施設を視察
撮影:青山貞一、Nikon CoolPix

 この設備は、台湾で一般化している「国際一般競争入札」方式によりオーストラリアから導入したそうだ。



台北市のメタンガス発電施設を視察2
撮影:青山貞一、Nikon CoolPix


台北市のメタンガス発電施設を視察3
撮影:青山貞一、Nikon CoolPix


◆お隣の韓国

 「生ごみ100%資源化を目指すプロジェクト」が主催し、「韓国でなぜ生ごみ90%資源かが可能だったか?」という講演学習会が2010年7月7日に開催された。 以下は主催者のひとり青木泰さんからのご報告である。

 梅雨明けが宣言され、うだるような暑さの17日、地方自治総合研究所の鄭智允氏の講演学習会が行われました。暑さをものともせず駆けつけて下さった50余人の参加者の熱いまなざしに、鄭氏は、姿勢を崩すことなく、1時間15分の講演を水も飲まずに一気に行い、続いて参加者からの要点をつく質問に、一つ一つ丁寧に答え、講演会が終わった時には、韓国でなぜ90%資源化が行われたかの実態が、参加者に伝わると言う充実した講演会になりました。


鄭智允氏
撮影:鷹取敦

 当日鄭智允氏がお話された内容を要約すると、

1) 韓国では、生ごみ92%再活用(資源化)が進み、ソウルでは2006年から3年連続100%再活用が進んでいる。
2) ソウルでの再活用は、2008年ベースで飼料化が約57%、堆肥化が42%となっている。
3) その他の家庭から出るごみも再活用率約6割である。
4) 再活用率が上がった大きな要因は、韓国では廃棄物の処理の8割以上を占めていた埋め立てを2005年に禁止した事(生ごみ埋立て禁止法)が上げられる。そしてその禁止法施行に当たって、1987年の時点から法施行の8年前に通知・準備を行っていた。
5) さらに遡って1995年に従量制(有料化)を実施し、各自治体で分別収集を行うと共に、罰則制度(条例通りに分別しない時に、課徴金。違反を繰り返すと罰則金が倍々に増える)も導入してきた。
6) 民主化運動による政権交代が、環境問題への取り組みを強化し、環境団体が生まれたことや子供の教育でも例えば、中学校で週1回環境の科目があると言うように徹底している。
7) ソウルは東京都と人口が変わらず、1000万人を越す人口が在り、人口密度は東京より高い大都市でそこで生ごみ資源化ができていると言うのは、注目に値する。


◆オーストラリア・キャンベラ市

 生ごみの堆肥化は、オーストラリアのキャンベル市でもゼロウエイスト政策の一環として行われている。
◆池田こみち:ゼロウエイスト政策の発祥地のその後を訪ねる オーストラリア・キャンベラ市

つづく