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東京都市大学情報メディア学科
2013年12月24日授業
「情報化と市民参加」

住民参加の

恵比寿ガーデンプレイス

環境アセスメント(4)

青山貞一
東京都市大学名誉教授・環境総合研究所顧問

掲載月日:2013年12月25日
独立系メディア E−wave Tokyo

無断転載禁
住民参加の恵比寿ガーデンプレイス 環境アセスメント 
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 上田さんらは弁護士を何人も雇い、サッポロビール、東京都との間で公害調停を行います。そのなかで、サッポロビールは、上田明さんの科学に裏打ちされた事業計画の批判と問題解決のための諸提案の前に、自分たちの活動を外部から徹底監視してくれる上田さんグループを評価するようになったのです。この間、長い年月が経過しましたが、やっとのことで事業者や行政は、市民団体の真摯な活動を理解しだしたのです。

 私たちが上田さんグループにしてあげた最初の住民環境アセスは通常業務なら1000万円以上する内容でしたが、採算を度外視、私は下手すると研究所がつぶれることも覚悟で、この調査を請け負うとを決めました。それとき、上田さんはすかさず「手付金の100万円です」と渡されました。

 サッポロビールやその顧問弁護士が上田さんたちの活動を認めだしたある日の朝、上田さんから青山に電話がありました。サッポロビールが3500万円を基金として上田さんグループに寄付するので、それで私たちを今後とも監視してほしいと言われた、というのです。
 
 上田さんからは、その大部分を研究所に提供するので、今後毎年、事後調査する資金として使ってくださいと言われました。 

 これには、私も少々驚きました。もう17年ほぼ前のことです。

 私たちは、上田さんらの希望通り、その後何年も事後調査を行い報告書にまとめ恵比寿で報告会を毎年開催し、同時に公表し続けました。


出典:青山貞一 環境総合研究所(東京都目黒区)

 毎年開催した事後環境調査報告会。モノクロで戦前の写真のように見えます!


出典:青山貞一 環境総合研究所(東京都目黒区)

 以下は毎年行った事後環境調査結果の報告書です。おそらくこれだけ継続的に事後調査を行った例は多くないはずです。


出典:青山貞一 環境総合研究所(東京都目黒区)


出典:青山貞一 環境総合研究所(東京都目黒区)


出典:青山貞一 環境総合研究所(東京都目黒区)

 この恵比寿ガーデンプレイス問題について、青山貞一は今まで何10回と講演、講義してきました。その主なものは、以下の通りです。

 京都大学、東京工業大学社会工学科、同大学院総合理工学研究科、早稲田大学教育学部、早稲田大学理工学部、中央大学理工学部土木工学科、慶應義塾大学環境情報学部(湘南藤沢)、同大学院、法政大学工学部、岩手大学教育学部(当時)、福島大学行政社会学部(当時)、東洋大学朝霞キャンパス、東京農工大学農学部、武蔵工業大学環境情報学部(横浜キャンパス)、東京都市大学環境学部、政策学校一新塾、明治学院大学(環境社会学会)、環境行政改革フォーラム、環境庁環境研修センターなどなど(いずれも講義、講演時の学部学科名)です。



 今回は情報設備が行き届いた都市大学の教室だったので、今まで使っていなかった動画をふんだんに使い講義できました! そのうち全容を動画で公開したいと思います。


OHPを使っているのが懐かしい


東京都渋谷区の恵比寿ガーデンプレイス


東京都渋谷区の恵比寿ガーデンプレイス
出典:青山貞一 環境総合研究所(東京都目黒区) 2013-12-25撮影

 私たちは、今でもことあるたびに上田明さんのことを思う浮かべます。上田さんは、ミッション、パッション、アクションをもったまさに主体的市民です!


<参考文献、関連文献リスト>

・環境総合研究所(東京都品川区、当時)、サッポロビール恵比寿工場跡地再開発事業による周辺地域への環境影響調査報告書、平成2年9月

・環境総合研究所(東京都港区、当時)、サッポロビール恵比寿工場跡地再開発事業による周辺地域への環境事後調査報告書(pp70)、平成6年3月

・環境総合研究所、恵比寿ガーデンプレイス環境事後調査報告書、平成7年4月

・環境総合研究所、恵比寿ガーデンプレイス環境事後調査報告書、平成8年4月

・環境総合研究所、恵比寿ガーデンプレイス環境事後調査報告書、平成9年5月

・青山貞一、地域環境計画の策定支援技術の現状、季刊環境研究、第98号、1995年

・青山貞一、住民の依頼による環境アセスメントの実施事例(国際影響評価学会ニューズレターNo.3)

・青山貞一、環境と住民参加、恵比寿ガーデンプレイスにおける代替アセスの事例、法律時報、1997年

・Teiichi Aoyama、The Environmento and Citizen Participation in Japan: The Case of The Alternative Assessment of YEBISU Garden Place、Alternatice Media E-wave Tokyo, http://eritokyo.jp/eri-english/ygp/ygp-english1.htm

・青山 貞一、恵比寿ガーデンプレイス−住民参加型アセスメント 、環境アセスメントここが変わる、環境技術学会編、 1998年12月21日発行

・青山貞一、今、なぜ環境政策支援ソフトか! 〜21世紀は「環境と情報」の時代〜、環境技術、Vol 29、2000年2月号 http://eritokyo.jp/envsoft/env-soft1.html

・青山貞一、「2003年問題」環境負荷の観点から〜恵比寿ガーデンプレイスを事例として〜 日本、不動産学会誌、 No.65 Vol.17 No.2 PP68-731

・青山貞一、低炭素型都市・地域づくりにむけての政策的課題〜東京都心部再開発を事例として〜Policy Issues toward Low Carbon City Building ?Case Study of Urban Renewal Project in Down Town Tokyo-、日本不動産学会誌、100号

・鷹取 敦、青山 貞一 、牛島 聡美、 東京大気汚染公害裁判における大気汚染シミュレーション調査(提出証拠)の概要について、環境行政改革フォーラム、2000年研究発表会予稿集

・青山貞一、SEAの予測技術の課題と実際、環境アセスメントと不動産開発、不動産学会誌、104号掲載論説、2013年6月

・青山貞一、環境調査と環境アドボカシーで歩いた世界、青山貞一東京都市大学最終講義、http://www.youtube.com/watch?v=eruE9AkoScg、独立系メディア E-wave Tokyo、YouTube 2011年4月

・住民独自のアセス調査、毎日新聞 1990年10月4日

・二つの報告書に大きなズレ、都政新報、1990年10月5日

・環境アセスに疑問、一石投ずる住民報告書、毎日新聞、1990年10月17日

・気軽さ受け静かな人気、パソコン通信で環境情報知ろう、朝日新聞、

・顔、池田こみちさん、読売新聞

・167メートルに伸ばします、朝日新聞、 1991年8月7日

・空気の汚れ工事並み、毎日新聞、1994年11月26日