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民度を計るひとつの重要な物差しに米国の社会学者シェリー・アーンシュタインの「参加の梯子」がある。
図1は、そのアーン・シュタインの「8段階の梯子」を私なりに少々手直しし、大学の講義(公共政策論など)で使っているものだ。 図1 「民度を計る」ための8段階の階段
原典:シェリー・アーンシュタイン(米国の社会学者)、青山修正版
日本の政治状況を永年みていると、「政」「官」「業」「学」「報」のペンタゴンが連携し、一方的な情報提供のもとで世論をつくりあげ、特定の方向にそれを誘導する現実を多く見る。 さらに政府・与党の情報操作による世論誘導に大マスコミが積極的に加担しているとしか思えない状況が続いていると思えてならない。 「政」「官」「業」「学」「報」のペンタゴンは、図2にあるように、現代社会では「政」「官」「業」癒着の利権配分のトライアングルから「政」「官」「業」「学」「報」のペンタゴンのへと日本社会は変貌している。 そこでは「政」「官」「業」に加え、御用学者と御用報道(メディア)が加わっている。 図2 「政」「官」「業」から「政」「官」「業」「学」「報」に 周知のようにわが国では表1と表2にあるように、新聞メディアが全国、地方ともに異常な大きさのシェアをもっている。したがって、国民は大メディアがくりだす記事によっていつのまにか「世論」が形成されることになる。これは日常的によくあることだ。 <参考> ◆青山貞一:日本のメディアの本質を考える@発行部数と世論誘導 ◆青山貞一:日本のメディアの本質を考えるA地方紙と発行部数 日本社会には大小、全国、地方で多くの新聞社がある。 問題は、全国紙を例にとると発行部数が米国より一桁大きいことだ。 米国は日本より人口規模で3倍弱であるが、新聞の発行部数は米国のニューヨークタイズムであっても読売新聞の発行部数の1/10程度、英国のガーディアンは読売新聞の発行部数の1/25程度と少ない。 表1のデータは古いが、たとえばニューヨークタイムズを例にとると現在の発行部数は110万部前後であるから、表1の発行部数とそれほど違わない。また英国のガーディアンの現在の発行部数は40万部前後であるから同様に大きく違わない。 表1 世界の主要新聞発行部数比較
外国紙は1996年・日本紙は1997年の調査 2)都道府県別新聞発行部数 2003年1−6月「社団法人ABC協会」「社団法人日本新聞協会」調べ 地方紙はどうだろうか? 中日新聞、西日本新聞などの地方紙の発行部数でも、ニューヨークタイムズより発行部数が多いものがある。 中日新聞は突出しているが、その他、北海道新聞、西日本新聞、静岡新聞、中国新聞、神戸新聞、河北新聞、京都新聞、新潟日報、信濃毎日新聞といった地方新聞でも英国を代表するガーディアンやフランスを代表するル・フィガロ、ル・モンドよりも発行部数が多い。 表2 主要地方新聞と世界主要紙の発行部数比較
1)『週刊金曜日』−1997年10月17日号・黒薮哲哉 外国紙は1996年・日本紙は1997年の調査 2)都道府県別新聞発行部数 2003年1−6月「社団法人ABC協会」「社団法人日本新聞協会」調べ かくも発行部数が多いということは、何を帰結するのであろうか? それは言うまでもなく、新聞記事の内容が間違ったり、新聞の論調が同じた場合、日本の津々浦々まで間違いや同一論調が行き渡り、国民の圧倒的多くがそれに影響を受けるということにある。 日本社会にあっては、「世論」の多くは、それら圧倒的多くの発行部数をもつ新聞や全国ネットのテレビ報道によって形成されることは間違いがないところである。 したがって、もし、誤報はもとより大部分の新聞の論調が同じだった場合、日本全体の「世論」はそれら大メディアの論調に大きな影響を受ける。 逆説すれば、これは政府や政権与党など為政者による「情報操作による世論誘導」がいとも簡単に行えることを意味するのである。 この傾向を一段と加速しているが、「記者クラブ」の存在である。この記者クラブは、いわば日本固有のものである。 記者クラブが存在することで、大メディアは足を使った取材を怠り、国から市町村まで行政による一方的な発表(記者レク)をもとに記者は、内容をろくに吟味することなく記事を書く。 こうして日本社会では、国、自治体など公的機関の「一方的な情報提供」によって世論が形成されたり誘導されることとなる。こうした傾向は近年一段と加速化している。 |