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第9回 ニセコ町原子力防災計画

策定委員会

退避・避難編素案の最終確認

青山貞一
東京都市大学名誉教授

掲載日:2014年2月20日
独立系メディア E-wave Tokyo
無断転載禁


 関東で2回目の大雪後の2月18日の午後、青山貞一、斎藤真実は羽田から新千歳(札幌)に飛び、空港からニセコ町まで約3時間かけ車で行きました。

 通常2時間〜2時間半で到着しますが、やはりこの時期は降雪、残雪が多く3時間となりました。 到着時はとっぷりと日が暮れ真っ暗でした。

 ニセコ町は世界有数のスキー場が多数あり、この時期、海外からも多くのスキー、スノーボード客が来ておりました。下の写真はニセコ駅前で撮影したものです。


ニセコ駅前にて 左、斎藤真実、右、青山貞一 2014-2-19


撮影:斎藤真実 2014-2-19


ニセコ駅近くの景観
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-2-19

 到着後すぐに、ニセコ町の片山町長、原子力防災担当幹部の千葉敬貴参事、総務課で計画担当の稲見唯睦主事と一緒に会食をとりました。

 町長の片山さんは環境行政改革フォーラム(Eforum)の会員です。今回同行されました斎藤真実さんもフォーラムメンバー(国際担当幹事)であり、会食した5人のうち3名が環境行政改革フォーラムメンバーとなりました。

 片山町長は昨年秋、町長選挙で再選されたばかり、環境政策、再生可能エネルギー政策、農業政策、それに世界有数の「パウダースノー」の質をもった雪という地域資源を最大限活用したまちづくりを積極的に進めてきました。

 ちなみに今回首都圏に降った雪は、1立方m当たり250−300kgあるべちゃべちゃの雪質のようですが、ニセコのパウダースノーの重さは25−35kg程度とのことで、以下に雪質が違うかが分かります。

 ニセコ町のまちづくりの背景には、日本の基礎自治体で最初に制定した情報公開条例、またまちづくり基本条例の存在、さらに基礎自治体で最も公文書管理に力を入れている実態があります。情報公開条例は逢坂元町長らが全国に先陣を切って制定したものです。

参考 ◆青山貞一:ニセコ町長への新年メール 

 食事会では、町長や千葉参事らから基礎自治体が抱えるさまざまな課題そして将来展望を町長から伺うことができました。

 会食終了後、ニセコ町のホテルに宿泊しました。私は今回でニセコは10回になりますが、ニセコのホテルはどこも本格的な源泉掛け流しの温泉がついております。今回宿泊したホテルは、世界中からニセコのパウダースノーをもとめて来られたスキー客やスノボー客でいっぱい、深夜に温泉に入っていると米国アイダホ州から来たという若者から声を掛けられ、まさに裸のつきあいでいろいろ議論をしました(笑い)。


第9回 ニセコ町原子力防災計画 退避・避難編素案
 
 翌2月19日は、午前9時30分から原子力防災計画の退避・避難編の最終委員会があり、委員として出席し、各議題についてそれぞれ意見を申し上げ、議論しました。

 ニセコ町の原子力防災計画は135あるUPZ(原発から30km圏内の基礎自治体)でおそらく唯一、全面的に情報公開と町民参加を基に策定している計画です。

 以下は過去の委員会議論の議事録などです。
 http://www.town.niseko.lg.jp/kurashi/bousai/cat299/post_89.html

 第9回委員会の出席委員は、委 員 林知己委員長、青山貞一委員、小松弘幸委員、斉藤海三郎委員、矢野正裕委員、 福田房三委員、牧野雅之委員、横山俊幸委員、高瀬達矢委員、女性の市民委員です。一方、事務局は 総務課 千葉敬貴参事、稲見唯睦主事です。

 すでに計画の基礎編は昨年3月に素案策定し、町民からの意見をもとに修正し地域防災協議会や北海道などに提出しています。19日の第9回の委員会では、事故時の避難・退避についてこの間、徹底的に議論してきた内容を計画書案としてまとめ、町民からの意見をもらった素案をもとに委員会で議論しました。

 2時間30分の審議後、素案がさまざまな修正を前提に了承されました。


ニセコ町原子力計画策定委員会  2014-2-19
撮影:斎藤真実


委員長 ニセコ町林知己副町長  2014-2-19
撮影:斎藤真実


左、稲見唯睦主事、右、千葉敬貴参事  2014-2-19
撮影:斎藤真実


青山貞一委員   2014-2-19
撮影:斎藤真実

 一連の計画策定では、環境総合研究所の3次元流体シミュレーションが随所で活用され、公募で参加している町民委員からも私に多くの専門的な質問がだされて、それに委員会の席上またメールなどで私からコメントしてます。

 SPEEDIが不透明なものとなっている現在、地形を詳細に考慮した3次元流体シミュレーション(定常・非正規モデル、有限差分法)を存分に計画策定に生かしているのは、間違いなくUPZ135自治体でニセコだけだと思います。


北海道電力泊原子力発電所事故時、
北風系の場合の3次元流体シミュレーション結果


ニセコ町周辺の地形  Aはニセコ町役場の位置
東に羊蹄山、北にニセコアンヌプリ、南に昆布岳が位置している
出典:グーグルマップ、地形モード

 以下は修正前の素案の目次です。委員会での議論では、以下に用語解説、とくに専門用語、略語(EAL, OIL, PAZ、UPZなど)をつけること、避難・退避編の全体構成が分かる説明図を入れることなどが承認されました。

 さらに、この計画は事故後数日までの間を対象としており、その後の中長期的リスクそして費用負担(賠償)などに触れていないので、今後、それらについて委員会で審議し、町民用の手引きなどに入れて行くよう青山が提案し、了承されました。

 なお、中長期的リスクについては、環境総合研究所(東京都目黒区)の鷹取敦氏がブログ及び動画で問題提起しており、過去の委員会でも青山がそれらをもとに計画に反映するよう提案していました。

 おそらくニセコ町以外では、福島並みの事故が起きても避難すればそれで終わりということになっていると思います。現在の福島で起きている様々な困難なことが見えていないはずです。

◆鷹取敦 青山貞一:福島原発事故の長期災害リスク You Tube
◆鷹取敦:原発事故の長期的な影響と放射能リスク以外の側面


◆ニセコ町地域防災計画(原子力防災計画編)退避等措置計画(素案)

目 次

第1章 総 則・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

第1節 計画の位置付け・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
第2節 計画の性格・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

第2章 退避等措置計画の基本的事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
第1節 退避等の目的及び基本的な考え方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
1 退避等の目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
2 防護措置等の基本的な考え方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
第2節 緊急事態区分及び判断基準・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
1 警戒事態・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
2 施設敷地緊急事態・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
3 全面緊急事態・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
4 具体的な基準・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
第3節 緊急事態における防護措置等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
1 泊発電所の状態に応じた防護措置等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
2 放射性物質が環境へ放出された場合の防護措置等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
第4節 防護措置決定の流れ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
第5節 防護対策区域の状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
第6節 防護措置の事前準備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8

第3章 緊急事態における配備体制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
第1節 事故発生通報の流れ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
1 緊急時(警戒事象発生以降)における通報連絡体制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
2 通報連絡手段・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
第2節 各事態における応急活動の内容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10

第4章 広報及び指示伝達・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
第1節 伝達手段・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
第2節 伝達経路・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
第3節 伝達内容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11

第5章 屋内退避・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
第1節 屋内退避の指示基準・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
第2節 屋内退避の指示等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
1 屋内退避の指示等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
2 屋内退避に関する住民等への指示事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
3 屋内退避の解除がなされたときの措置・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
第3節 コンクリート屋内退避の指示等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
1 コンクリート屋内退避の指示等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
2 コンクリート屋内退避に関する住民等への指示事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
3 退避誘導責任者がとるべき措置・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
4 退避所責任者がとるべき措置・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
5 住民等の留意事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
6 コンクリート屋内退避の解除がなされたときの措置・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15

第6章 避難等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
第1節 避難等の指示基準・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
第2節 避難先等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
1 避難等の準備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
2 避難等の指示等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
3 避難等に関する住民等への指示事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
4 避難誘導責任者のとるべき措置・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19
5 避難場所責任者のとるべき措置・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19
6 住民等の留意事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
7 避難等の解除がなされたときの措置・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
第3節 災害時要援護者等及び生徒等への対応・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
1 学校や幼児センターの生徒等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
2 診療所の入院患者、社会福祉施設の入所者・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
3 在宅介護高齢者、障がい者・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
4 外国人・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
第4節 一時滞在者への対応・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21

第7章 安定ヨウ素剤の服用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22

第8章 飲食物の摂取制限・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22

第9章 救急医療体制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22

第10章 地域特性の考慮・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23

別添1「緊急事態区分を判断するEALの枠組みについて」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24
別添2「OILと防護対策について」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27
表4−1 コンクリート屋内退避及び避難に関する資料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28
表4−2 退避所(避難場所)責任者及び避難誘導責任者・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30



泊原発とPAZ,UPZの地理的範囲


ニセコ町 原子力防災計画 避難・退避編の全体構成(素案)


以下は「第10章の地域特性の考慮」のヘッドラインである。

第 10 章 地域特性の考慮

 この退避等措置計画には、原子力災害時における屋内退避や避難について、全国すべてに共通する事項に関し基本的な考え方や対応・対策を記述している。

 この計画を実践的で実効性あるものにするためには、本計画に記述した共通の基本事項を踏まえつつ、地域のおかれた環境など特有な状況を考慮し、より具体的な内容を反映させる必要があることから、この計画を策定するにあたって調査検討してきた、次の項目の視点を含めた内容を整理して活用することとし、更に継続した検討を行いながら計画の充実を目指していくこととする。

1 住民等の生命と身体を守るため、被ばくゼロを目標として目指すこと。

2 地域の地理的・地形的な特徴、気象、交通・道路事情、住民の住居分布・居住形態、村落・コミュニティの生活実態などの特徴及び実情を反映させること。

3 災害時の対応は、通信回線の故障、情報が適宜に入らない、悪天候により避難が困難な場合なども想定し、町独自に事故の状況を判断し、住民等が安全に屋内退避や避難ができる体制を整えること。

4 次の項目について事前に準備するなど、災害時の対応に万全を期すこと。

(1)災害時の情報の収集と通信手段の確保、周辺町村等との連絡体制の確立を図り、情報を基にした環境モニタリング実施と住民に対する迅速な情報提供活動。

(2)災害時の対策本部の配置計画、気象や道路状況の判断基準、避難方向や避難路の選択、交通手段、避難状況の把握方法等の確立。

(3)日常的な住民のコミュニケーション活性化による地域活動の促進。

(4)原子力災害、放射線の危険性、被ばく回避方法などについて、理解を深めるための学習会・講演会・研修会などの実施及び住民向け冊子の発行。

(5)住民参加による地域ぐるみの避難訓練の実施。

(6)災害時要援護者等(傷病者、入院患者、高齢者、障がい者、外国人、乳幼児、妊産婦)、児童生徒、病院、介護施設など、援助を必要とする住民に対する特別の配慮。

(7)住民の要望、宿泊や観光など一時滞在施設の意見などの反映。

5  町独自の避難等の判断は、町長の決断によることから、町職員向けマニュアルと共に町長向けマニュアルを別途作成し、1年に1回以上の学習会などを通じて、退避等措置計画の内容を理解し、実践できるように徹底すること。

6  町独自の避難等の判断基準の詳細は別途定めること。

7  この章の内容については、必要に応じて本編計画とともに見直すとともに、新たな知見や最新の情報を反映できるよう継続的に改善に努める。

◆北海道新聞及川記者の青山貞一インタビュー(ニセコ町)

 委員会終了後、北海道新聞の及川支局長からこの間のニセコ町が策定してきた計画についてのさまざまな課題、今後の課題などについて20分ほどインタビュ−を受けました。

 何と言っても、他のUPZ自治体は委員会も設置せず、従ってメディア、市民などの傍聴もなく、情報公開もほとんど形式的にしないこともあり、メディア側にその気があっても計画策定過程について書きようもない現実と実態があったことは否めないでしょう。

 一方、再稼働を急ぐ国側は、UPZにおける原子力防災計画の策定が不可欠、当初は2012年3月末を策定期日とするなど、非常に非現実的な状況設定がありました。

 従来まったく蚊帳の外に置かれてきたUPZ(PAZではなく)の基礎自治体にしてみれば、突如、用語、概念ひとつをとっても非常に難解なこの手の計画を実質一自治体、2名ほどの職員が兼務で対応するなど、きわめてお寒い実態があったことも事実です。さらに計画調査、策定に関する予算は雀の涙しかなく、大部分の基礎自治体は国(原子力規制庁、原子力規制委員会など)、北海道庁から送られてくるテンプレート(下案)をなぞるだけというが精一杯であったと思います。


右は北海道新聞 及川支局長  2014-2-19
撮影:斎藤真実

◆北海道新聞大西編集委員による青山インタビュー(札幌市)

 その後、雪一面のニセコ町のレストランで昼食後、市職員が運転する車でニセコから札幌に向かいました。途中、中山峠では雪がありましたが、約3時間で札幌市内駅前の北海道新聞に到着しました。

 ここでは大西編集委員から約1時間のインタビューを受けました。各地で策定されてきた計画がもつ法的課題、実際の退避・避難にでの実効性などにおける実効性などについてお話ししました。。このインタビューにも斎藤真実さん、また札幌の北海学園大学教授の本田宏さんにも同席してもらいました。

 大西編集員は2012年5月、青山が北大正門前のクリスチャンセンターで泊原発事故時シミュレーションについて講演したときも会場に来られていた非常に熱心なジャーナリストで、根掘り葉掘り質問をされました。

 及川記者、大西編集委員関連の記事がでた時点で公開します。

 終了後、青山、斎藤は地下道を通り札幌駅まで歩き、新千歳まで列車で移動し午後7時過ぎに新千歳から羽田に向かい、青山、斎藤とも無事帰宅いたしました。

 全国でおそらく唯一、全面情報公開、町民参加で原子力防災に当たられているニセコ町に敬意を表します。

 また大雪で厳寒の北海道行きに同行していただきました斎藤真実さんに深く感謝申し上げます。斎藤さんは、当初からご自身の研究の一部としてニセコ町の原子力防災計画の策定過程に着目され、事例研究されております。

 なお、今年4月以降も原子力防災の専門委員会を継続し、町民への計画策定内容の周知、対話、さらに各種防災訓練との連動を行うことが決まりましたので、今後とも青山はニセコ町の当該政策に関与することになりました。