メディア別 内閣支持率調査結果 から見えるもの(1) 青山貞一 2006年12月24日 |
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青山貞一ブログ版 ここ1ヶ月、不祥事に次ぐ不祥事で安倍内閣の支持率が急落しているのはご承知の通りである。 12月24日午前10時からのテレビ朝日、サンデープロジェクトでテレビ朝日を中心としたANN(朝日ニュースネットワーク)による安倍内閣支持率は55.3%と報道された。 ところで、最近行われた主要メディアによるの安倍内閣支持率調査だが、結果は以下の通りである。 表1 最新の内閣支持率調査結果
表2 11月における内閣支持率調査結果
気になるのは読売新聞、日本テレビとANNの内閣支持率が異常に高いことだ。また新聞系の結果が、テレビ系よりも総じて低いこともある。そこで過去の経緯が入手できたANNと毎日新聞の支持率調査の経緯を見てみる。 まず、ANNだが、政権発足当初の73%が、10月末で66.7%、11月20日前後で58.8%となった。そして12月20日前後の55.3%である。 参考:JNNによる小泉内閣支持率調査結果概要 これを上の毎日新聞の世論調査結果と比べてみると、おおまか次のようになる。ただし、10月末時点での毎日新聞の支持率結果は、内挿法により求めている。 表3 毎日新聞とANNの内閣支持率推移比較 毎日新聞 ANN ================================= 発足当時 67% 73.0% 10月末 60%(内挿) 66.7% 11月中以降 53% 58.8% 12月中以降 46% 55.3% 両者の結果を見ると、発足当時からANNが毎日新聞より内閣支持率が6%と高く、10月下旬では6.7%、11月中旬以降では、ANNが5.3%と高い。さらに12月中旬以降の結果では、ANNが毎日新聞よりも実に9.3%高くなっている。 最新調査におけるANNと時事通信との差である13.4%には及ばないものの、ANNの調査結果が絶えず高いことが見て取れる。 とくに??と感じるのは、この11月から12月中旬における、@やらせタウンミーティング問題、A追い出した国会議員の復党問題、B道路財源問題、C本間税制会長の愛人との豪華官舎居住問題と、スキャンダルがつづいたこの1ヶ月を受けたの支持率調査で、12月24日放映のサンデープロジェクトで55.3%の数字を使っていたことだ。 私は独立系メディアにおいてこの半年、環境省やNHKのインチキ・アンケート調査結果を素材にとりあげ、過去、あるべき世論調査、アンケート調査の手法の在り方について詳しく述べてきた。 青山貞一:環境省の環境税導入に関する欠陥アンケート! 青山貞一:世論操作まがいのNHKの首相参拝欠陥アンケート 上記の2つのブログでは、内容は全く異なるが、社会調査やアンケート調査の手法と言う観点では同じ過ちを指摘した。これらには読者から多くの反響が寄せられた。 環境省のアンケートは、意図的に自分たちの政策(環境税)の支持率が高くなるようにしていたことが分かった。NHKのアンケートは、統計学を無視した安易な方法(携帯電話利用)を用いたことで、信頼性がないものとなっていたのである。 上記を執筆するに当たっては、大学の同僚で社会調査、統計調査の専門家にも示唆をもらっている。 .... 今回の内閣支持率調査では、ANNだけでなく読売新聞、日本テレビなどの内閣支持率調査方法、すなわち母集団の設定方法、サンプル抽出方法の詳細が分かっていない。 言えることは、もし各社が最低限、以下(参考(出典):無作為抽出の方法)にある手法を用い調査を実施していれば、上記のような大きな差は現れないはずであるということだ。 .... 以下は安倍内閣発足当時の内閣支持率調査結果である。 以下から直ちに分かることは、 (1)テレビ系の調査結果が新聞系より総じて高いこと、 (2)同じ新文系でも読売、日経の調査結果が高いこと、 である。 表4 安倍内閣発足当初の内閣支持率調査結果
もちろん、マトモに調査がなされていれば、ANNをはじめとしたテレビメディアや読売新聞が、新聞メディア及び通信メディアより著しく支持率が高いと言う結論には至らないはずである。 今後、この問題を明らかにするため、詳細調査をしてみたいと思っている。
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