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シルクロードの今を征く

Now on the Silk Road


大唐西市博物館 視察48

西市における死傷事件

(Xi'an 中国)

青山貞一 Teiichi Aoyama  池田こみち Komichi Ikeda 共編
掲載月日:2015年1月22日 更新:2019年4月~6月 更新:2020年4月1日
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 本稿の解説文は、現地調査や現地入手資料、パンフなどに基づく解説に加え、百度百科中国版から日本への翻訳、Wikipedia 日本語版を使用しています。また写真は現地撮影以外に百度百科、Wikimedlia Commons、トリップアドバイザーさらに地図はグーグルマップ、グーグルストリートビュー、百度地図などを使用しています。その他の引用に際しては、その都度引用名を記しています

大唐西市博物館視察48



 西市における死傷事件

 この模型は、西市と思われる市街で人々が武器を持って闘う様子をリアルに描き出した模型です。

 標題やラベルがないため何の戦争・反乱なのかわかりませんが、商業都市であった唐の西市では、晩唐の頃になると、人口100万人の都を支えるための政治、経済の混乱がつづき、中でも人々の生活の基盤である食糧問題を抱えていたようです。

 また、唐中期に勃発した安史の乱の後に導入された塩に対する税制により人々は困窮し貧富の差も大きくなって至ったと伝えられています。

 おそらくこの戦乱のジオラマは、晩唐に政治腐敗によって民衆の生活が困窮の度を増し、塩の密売人であった黄巣が反乱を起こしたことに農民、民衆が次々に立ち上がって参加し大々的な民衆反乱(黄巣の乱)に発展したときの模様を描いたものと思われます。

 この反乱によって唐の支配は事実上崩壊し、各地の藩鎮が公然と自立・割拠するなかで、907年、唐は朱全忠によって滅ぼされ、中国は次の、五代十国の分裂時代へと突入して行くことになります。



撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900



撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900



撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900







三か国語解説
青铜人首刀

◆Bronze Sword with human head design
This sword is a one of a kind of weapon with slightly arced back and a stiff blade. The front end of the blade tilts upwards to make a round edge, the thick handle ends with a human head designed on it. The hollowed head has big ears accessorized with round earrings, vivid expression, leaf-like fringe hair, eyes, nose and a smiling mouth. There’s a small bell inside the head, two elliptical holes on the back side of the head and a small round ring on the neck for fastening or hanging. The handle is decorated with wave patterns, grid patterns andarc patterns. The sword is emblematic of a rare and magnificent design. Museum collection

◆青铜人首刀 
兵器。弧形刀柄,刃较直,其前端向上斜伸成圆峰,有下欄,柄末端作人首状,人首双耳较大,戴圆形耳珰,面部刻画逼真,叶状底发,眼、鼻、嘴均镂空,似微笑。头内装有小铃铛,后脑勺也饰两椭圆孔。颈部置一小圆环,可系挂。刀柄上饰有波浪纹、方格纹、弦纹。此刀造型生动,形之罕见。馆藏

◆<日本語訳> 人間の頭のデザインの青銅製剣
 この剣は、わずかに弧を描いた背中と硬い刃を持つ一種の武器です。刃の前端は上向きに傾斜して丸い刃先を形成し、太い握り部分(ハンドル)には人間の頭がデザインされています。中が空洞の頭の部分には大きな耳があり、丸いイヤリング、生き生きした表情、葉のような前髪、目、鼻、ほほえんだ口元をもっています。頭部には小さな鐘がつけてあり、頭の後ろ側には2つの楕円形の穴があり、首には固定または吊り下げ用の小さな丸い輪がつけてあります。持ち手(握り部分)には、波模様、格子模様、円弧模様などがほどこされ装飾されています。剣は希少で、壮大なデザインの象徴的な作品です。博物館収蔵




撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900



撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900



撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900


視察49へつづく