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希有で秀逸、社会正義の

塊りのような

日隅一雄さんをしのぶ

青山貞一
 

June 3 2012
独立系メディア「今日のコラム」



みなさま

青山貞一です。

日隅一雄さんと会ったのはこの1月30日岩波セミナールームで行いました日隅×青山対談が最後です。そのときすでにご自身が宣言された日数近くになっておりましたが、日隅さんは私の問題提起をしっかりと聞いていただきました。


最後にお会いしたときの日隅一雄弁護士(右)
出典:YouTube

 そのとき隣にいらした日隅さんが私に「青山さんは日本のラルフ・ネーダーでありノーム・チョムスキーだ!」と過分お言葉をいただいたことを覚えています。本当にありがたいお言葉です。

 それから約5ヶ月、やはり医者が日隅さんに宣告された胆嚢ガンによる余命期限は大きくは間違っていなかったことになります。それでも各種抗ガン剤などで毎日毎日、ガンと闘いながらブログを書かれていました。
 
 以下は、逝去されました故日隅一雄弁護士について青山貞一が過去執筆したブログなどです。

◆青山貞一:
「社会正義」が死語の日本で体を張る弁護士 海渡雄一・日隅一雄  
 http://eritokyo.jp/independent/aoyama-col8058..html

 私が最初に日隅さんと知り合ったのは、ある行政訴訟の準備会合で新宿にある東京共同法律事務所にしょっちゅうでかけていたときのことです。実はその前に、日隅さんが書かれた「なぜマスコミはマズゴミとよばれるのか?」という著書を送ってくれていました。

 実はその著書のなかで私が独立系メディア E-wave Tokyoの論考で相当前に英国のセラフィールドにおけるプルトニウム大流出事件について、日本の大マスコミが全く報道しなかったことなどを転載で紹介されており、その関係で著書を謹呈してくれていたのです。

 日隅さんと最初にあったのは、上記の行政訴訟関連会合で海渡弁護士、只野弁護士等と青山が議論しているときでした。以来、いろいろな場面でご一緒することになりました。

 実は、私と日隅さんは、ある共通項を持っています。それは、ともにフジサンケイグループに勤務していたことです。日隅さんは産経新聞社の記者として、青山そして同僚の池田こみちは、ローマクラブ日本事務局退職後、一時期、フジテレビのシンクタンクに在職していました。産経新聞社やフジテレビというとおよそ社会正義とはほど遠いと想われますが、おそらく日隅さんと私の大きな接点はそこにあったと思っています。

 その後、日隅さんが翻訳された「審議会革命」の著書について青山が監修者を依頼されました。「審議会革命」は、英国の制度をベースに日本の審議会、委員会、検討会、審査会などがいかに正当性がないものであるかをテーマにしたものです。官僚等の裁量により委員が選ばれ、役人の手のひらでコントロールされているか、それは原発再稼働のストレステストでも原子力委員会でも同じで構造があります。

◆日隅一雄訳・青山貞一監「審議会革命」 現代書館刊
 http://eritokyo.jp/independent/commisionmer1.pdf



 日隅さんはその著書をもとに立教大学で日隅さんが司会者、問題提起者となり同名のパネル討議を立教大学の服部教授、東京大学大学院の醍醐教授、三井マリ子さんらと一緒に行いたいと連絡してこられました。このパネル討議は、白石草さんが日隅さんと仕掛けたものです。



◆青山貞一:みんなのメディア作戦会議第2弾 参加記
 http://eritokyo.jp/independent/aoyama-infocol002.htm

 なんと、立教大学で開催されたこのシンポは、インターネットライブ生中継の日本のハシリで、遠隔地の視聴者から私達にリアルタイムで質問が出され、それに答えるという画期的なものでなかなかエキサイティングなものでした。
 
 これについては、私が大学の紀要に書いた論文でも触れています。

◆青山貞一:マスメディアの劣化とソーシャルメディアの興隆
 初出:東京都市大学横浜キャンパス紀要 
 2011年度版、環境行政改革フォーラム論文集 Vol.4 No.1へ転載

 そして、今年1月20日、日隅さんのお誕生日の日に、岩波セミナールームで超満員のなかで、日隅さんと青山の対談を行いました。日隅さんが病床からメールで自分の命は幾ばくもないが、自分で10人の対談者を選び、岩波セミナールームで対談したいので青山さんぜひよろしく、という趣旨のメールでした。

 一人目は朝日新聞編集委員を退任された方で、何と二人目に青山を選んでくれたのです。当然、okの返事をしました。

 以下はそれに関連しブログや動画です。

◆青山貞一vs日隅一雄討論レジメ:
 審議会が本来の機能を取り戻すために
 http://eritokyo.jp/independent/taidan2_aoyamanote.pdf

◆日隅一雄×青山貞一 対談参加記
 http://eritokyo.jp/independent/aoyama-his003...html

◆青山貞一・立法府が本来の機能を取り戻すために  YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=zWxmFSg1mMk&feature=youtu.be

 その後、私がこの春、東京都市大学を定年退職することもあり最終講義をUSTREAMのハイビジョンで大学から生中継したとき日隅さんはそれをご覧になられ、いろいろコメントをいただきました。病床で1時間余の最終講義をご覧になられたこと自体大変なことだと察します。

 残念ながら私は出席できなかったのですが、2月9日、東京の竹橋会館で日隅弁護士と海渡弁護士の出版記念パーテティーがあり、池田と鷹取が参加したときに撮影した写真を以下に掲げます。


出版記念パーティーにて 左が日隅弁護士、右が海渡弁護士
写真撮影:鷹取敦 (独立系メディアE-wave Tokyo)


挨拶される日隅一雄弁護士である。
写真撮影:鷹取敦 (独立系メディアE-wave Tokyo)

 一方、春から私は日隅さんのブログを拝読していました。 途中から新しいデザインのブログに変わった後も拝読していました。半分は福島原発事故、東電に関するもの、残りはご自身の闘病記でした。

 それにしても日隅さんは希有で秀逸な弁護士であるとともに、ミッション、パンション、アクションをもったジャーナリストでした。若くして逝去され、大変至極です。

 ご冥福をお祈りいたします。 

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Teiichi Aoyama (青山貞一)
東京都市大学名誉教授・環境総合研究所顧問
aoyama@tcu.ac.jp  aoyama@eritokyo.jp 
http://eritokyo.jp/independent/aoyama-column1.htm