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一新塾生各位(28−30期生、ただし30期生は まだメーリングリスト未登録) 青山貞一です。 昨日は夜遅くまで入塾、卒塾、助言指導会合大変ご苦労さまでした。 昨日申し上げましたが、私の基調講演は、当初用意しましたパワーポイントの約半分のところで約1時間の持ち時間がきたところで打ち切りました。 基調講演は、この1月20日に東京都市大学で行ったもの私の最終講義を一部削除また一部追加したものです。大学での最終講義では1時間でほぼ全部講演したので、昨日はそのつど横道にそれたのではないかと思います(笑い)。 なお、昨日基調講演の中でお見せしました私の環境総合研究所が開発しすでに公表している原発事故時の汚染シミュレーションシステムの部分は、最終講義にはなく、一新塾基調講演用に追加したものです。 以下に最終講義のすべて(逆に一部追加分は含まれません)を最終講義当日、同僚の藤井教授が高画質のハイビジョン(720p)で収録し、USTREAMで全国生中継してくれた動画のアーカイブを私がタイトルなどを加え YouTube にアップロードしたものです。 ◆青山貞一 最終講義 環境調査と環境アドボカシーで歩いた世界 http://www.youtube.com/watch?v=eruE9AkoScg なお、昨日の講演でお話しできなかった後半部分には、主に以下が含まれます。もしご関心がある塾生は、ぜひ、上記のYou Tube動画をご覧ください。映像、音声ともに鮮明です。 1)主体的市民の条件 これは基調講演でも話しましたが、以下に要点を示します。 私たちが今後、社会変革をしてゆく上での主体的条件について話そう! これは制作学校一新塾の入塾式などで必ず私が話すことでだ。 まず、社会変革を志す者は、ミッション、パッション、アクションの3つが不可欠だ! かといって闇雲に行動すれば良いわけではない。 も大切だ。とくに代替案は重要である。同じ目的を達成する場合でも、さまざまな方法、道筋があるからだ! 2003年から長野県知事になった田中康夫氏から依頼され、長野県の環境法全研究所に兼務で毎週行くことになった。合い言葉は、逃げず、恐れず、怯まずである。どんな良いことをしてもマスコミはまったく記事にせず、少しのエラーでも大々的に報道された! ここでこそ、逃げず、恐れず、怯まずだ。 さらに、当然のことだが、主体性、正義感、自立性と自律性、さらに精神力と責任感が必要となる。 さらに、主体的条件には利害にとらわれずに発言、行動すること、人がいやがることを率先して行うこと、リスクをとってでも事に当たる姿勢をもつことも重要だ。 2)湾岸戦争時の環境調査 湾岸戦争時に私が第一次調査(テレビ朝日と共同)、第二次調査(テレビ東京と共同)でククェート、サウジアラビア、ドバイに環境汚染について私の環境総合研究所がテレビ曲と一緒に現地調査し、帰国後、結果を第一次調査はテレビ朝日、朝日新聞、第二次調査はテレビ東京などで公表 3)北海道から沖縄まで10万人の市民が参加した松葉を生物指標としたダイオキシン調査 神奈川県厚木基地にあった劣悪な産業廃棄物焼却炉の煙突から排出されていたダイオキシン類に対し、米国政府(当時はコーエン国防大臣、オルブライト国務大臣)が日本政府に対策を要請したが、日本政府は対応する法律がないとして無視したため、米国政府が私の研究所に調査を依頼し、それをもとに友人の弁護士に産廃工場の操業差し止めを依頼しました。この裁判は横浜地裁で行われ、当然、証拠をだした私が証人に立ち、実質勝訴し、その産廃施設はすべて撤去されました。 その厚木基地調査で用いた松葉を生物指標とした空気中のダイオキシン調査の方法を用い、1999年から数年間、全国規模で市民参加による全国調査を行った内容。この調査は数年継続し、全国規模で約10万人が参加しまし、現在でも一部地域で継続しています。 この後、1999年後半から池田さんが中心となり、松葉を生物指標とし大気中のダイオキシン類を「市民参加」で分析する一大活動が展開された。今まで全国で10万人近くが参加している。環境や食の安全を考える生協が多数参加した! 松葉ダイオキシン調査は現在も続いており、池田が担当している! 米軍厚木基地に隣接する産廃業者の施設から排出されるダイオキシン汚染を米国政府の依頼で分析した。米国は産廃業者を民事で訴え、裁判実務を友人の梶山正三弁護士等に、また環境調査を環境総合研究所に依頼してきた! 当時、神奈川県内では相模原市にたくさんの産廃施設があった。松葉調査をもとに市民、市議、国会議員が動き、わずか1年で汚染は数分の1に削減された! 4)日本の累積赤字を生み出した公共事業調査 長崎県諫早湾で行われた巨大干拓事業にともなう水質悪化の現地調査結果、その後起きた水質悪化による漁業収穫の激減に伴う訴訟に対応し、水門をあけた場合、潮流、水質がどう改善するかのシミュレーション調査 また民主党がマニフェストを次々に反故にしてきましたがその目玉でもある群馬県の八ッ場ダム工事の現場にある環境総合研究所の北軽井沢別荘から過去20回にわたり現地調査した内容 官僚政治で突出する土木公共事業も深刻である! 八ッ場ダム現場は、北軽井沢にある別荘に近くある。20回も現地を調査、視察し、ダム立地域の住民らと議論を繰り返してきた。 群馬県八ッ場ダム工事現場の現状 出典:動画撮影 青山貞一、You Tube 5)内外へのまちづくり、国づくり現地調査 〜21世紀のまちづくりを求めて〜 環境調査や国際会議などで世界50カ国以上を歩いてきた青山だが、最後に歩いた現場から得たことを伝えたい! そのポイントはひとつは地方分権の地域社会づくりである。 またひとつは物質的成長にとらわれない経済社会つくりである。 さらに最後のひとつは小さくてもキラリと光る地域づくりである。 言ってはみたものの、3つめのあくせくしない生活は、なかなか難しい。ただ、この春からは、時間に縛られない生活が送れそうなので、あくせくしない生活を実現したい! カナダのノバスコシア州への環境調査、韓国ソウルへの新たな公共事業(清渓川・チョンゲチョン事業)など。 また北欧、バルト三国などひとつひとつは小さいがキラリと光る国づくり、まちづくりをしている地域への現地調査 本来、基礎自治体など行政は、住民のために存在しているはずだ。それがうまくいっている小さなまちをいくつか紹介しよう! ●徳島県上勝町 徳島県の上勝町。人口は2千人である。 わずか2000人の住民しかいない小さな過疎で高齢化したまちだが、この上勝町では、他のまちでは成功しないことがうまく行く。高齢者はいきいきしている。 環境系の弁護士100人でつくるゴミ弁連の総会が茨城県水戸であったとき、懇親会の冒頭挨拶で上勝町長の笠松氏は、挨拶の変わりに突然歌を歌い出した。これが上勝町流だ。 私が上勝町に行くと、いつものように夜は宿泊先の旅館(月ケ谷温泉)で笠松町長と延々と議論。これが何よりも宝だ!飲食費は各自もち(念のため) ●ドブロブニク、クロアチア アドリア海の真珠とよばれるクロアチアのドブロブニク 日本ではまだそれほど有名ではない。しかし、EU諸国のひとびとには、さまざまな観点で知らないひとがないほど著名である。 マイ・フェア・レディなどで有名な英国のかの劇作家バーナードショウは「ドブロブニクを見ずして天国を語ることなかれ」と言っている。 さらに旧市街に入る門に、「自由はお金では購えない」と書かれていることは、欧州であまりにも有名である。 今や世界のひとびとが行ってみたい場所のナンバーワンとなっているドブロブニク、専守防衛を守り、9世紀以来構築してきた城壁の高さは30mにも及んでいる。その城壁は、オスマントルコの進入だけでなく、津波の被害も防いできた。この町には、欧州の住民自治の原点が今なお息づいている。敬老の精神も。欧州で最初に薬局ができたのもドブロブニクである。民主政治の原型もここにある! 大理石で出来たプラッカ通りを行く、クロアチアの子供たち。 これがプラッカ通り。中世の町並みがそっくり残り、しかも今なお住民が住んでいる! クロアチアの国旗 ドブログニクの女性市長さんは大学教授からの転身だ。 「アドリア海の真珠」を背景に クロアチア・ドブロブニクにて 2007.3 ローマ、ウィーンなどからひとっ飛びでドブロブニク国際空港に行ける。ぜひ、皆さんも出かけて欲しい! ●ノバスコシア州、カナダ カナダ最東端のノバスコシア州 ●アマルフィ海岸、イタリア イタリアのアマルフィ海岸 アマルフィ海岸を教科書的に紹介すると次のようになる。世界遺産登録年は1997年。海沿いに断崖絶壁が続くこの一帯は海岸線が変化に富み素晴らしい美しさをみせる。中世初期から人々が定住を始め、中世の海洋共和国として栄えたアマルフィやラヴェッロなどの街では秀逸な建築物や芸術作品も創出した。 ソレント半島及びアマルフィ海岸の位置 険しい岩壁の続く地形を、人々はブドウやレモンの段々畑、果樹園、放牧地など様々に活用し、紺碧の海とあいまって、地中海的でドラマチックな独自の美しい自然景観がここに展開している。世界一美しい海岸。 夢にまで見たアマルフィに到着。ご満悦の青山貞一! 海洋都市国家、アマルフィの象徴、アマルフィ大聖堂 ●デンマーク、フィンランド、北欧諸国 自然エネルギー利用でトップを走り、幸福度調査で世界一となったデンマーク 北欧4国(デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、表では赤色)は、環境面から見た持続可能性(Environmental Sustainability Index)で絶えず世界のトップクラスにランキングされている。たとえば環境政策のランキングに米国のコロンビア大学とエール大学が第三者的に調査し、スイスのダボス会議で毎年発表しているものがある。日本やドイツは到底、およびじゃないのである! なぜおよびじゃないのか、が極めて重要である。 コペンハーゲン中央駅 デンマークは環境問題というより風力など自然エネルギーの利用で世界最先端を行っている。北欧諸国はいうまでもなくデンマークに限らず、米、英、仏、日、伊などG7経済大国と違った国づくりをしてきた。政治、経済、福祉、環境、教育はじめ男女格差問題でもG7とは違っている。 その総合的な指標として、たとえば、昨年、米国のミシガン大学が世界の「幸福度GDP」ランキングを出した。何とデンマークは堂々第一位に輝いた。これはネパールが一位となったランキングとは別物である。米国16、日本43位と日米などG7の多くはおよびじゃないのである。 小学生、中学生の世界教育ランキングでは、フィンランドがいつも1位〜3位にいる。これも大いに気になる。 世界ランキングでいつも環境政策や教育政策で上位を占めるフィンランド ヘルシンキ大聖堂 ●リトアニア、ラトビア、エストニア、バルト3国 最後はバルト3国だ。日本人には大相撲のバルトがエストニアの生まれというくらいしかなじみが薄い。 しかしバルト3国は、北欧同様、人口は少ないが、それぞれ歴史と文化を生かしたキラリと光る国づくりをしてきた。とりわけ中世の町並みをそのまま保存した旧市街は秀逸だ。 まさに小さいが歴史と文化を大切にしてきたキラリと光る国々である! しかし、戦前戦後は、ヒットラーのドイツ、スターリンのソ連に蹂躙、支配され、それぞれ悲惨な歴史を繰り返してきた。 古いものを次々と壊す日本人が大いに見習うべきことがたくさんある。もともとものと大切にしているから深刻な環境問題など存在しない。個性豊かな小さな国が3つ縦に並んでいる。 川崎市ほどの人口だが、歴史、文化を大切に新たな国づくりをすすめるバルト三国のエストニア ハンザ同盟の一大拠点、ラトヴィア・リーガ旧市街のブラックヘッド会館 ナチスドイツのラトヴィア攻撃時に炎上するリーガ大聖堂 出典:火薬塔にあるラトヴィア軍事博物館所蔵 ラトヴィアの首都リーガ旧市街にあるリーガ大聖堂。ヒットラー率いるナチス・ドイツ軍によって破壊されたが、市民の力で修復した!欧州ではあちこちで、戦争などで破壊された建築物や町並みを市民の力で復元している。 リトアニアの夜明けの門 数万の十字架、ロザリオがあるリトアニアとラトビアの中間地点にあるシャウレイの十字架の丘。何度となく侵略者により十字架の丘はブルドーザーで破壊されたが、それでもひとびとが十字架やロザリオをもちより丘をつくったという「シャウレイの十字架の丘」だ。その精神力の強さに驚くばかりである。 十字架の丘にて ●ワルシャワ、ポーランド 市民の手によってナチスドイツにより破壊された町を復元したといえば、ポーランドのワルシャワは、まさにその典型だ。 第二次世界大戦で破壊された聖十字架協会を市民と建築家の努力で寸分違わず復元している! 復旧された聖十字架教会 ライトアップされた聖十字架教会 ポーランドの小さいがきらりと光る5つの美しいまちを動画で紹介しよう! 学生諸君は、ぜひ欧州の小さいがキラリと光るオンリーワンのまちづくりをしている国や都市を訪れて欲しい。 6)世界の幸福度調査における日本のランキング ミシガン大学、OECDなどがここ数年行いWEF(ダボス会議)で発表している世界の幸福度ランキング調査で、日本が43位(ミシガン大学)、19位(OECE 、ただしこの調査は34カ国中19位)ときわめて低位にあるのはなぜかについて 3.11以降、日本を再生、蘇生するためには、何が必要か? もっとも大切なことは真面目に正直に働いている国民がバカを見ないことだ。また生活者が幸福な社会でなければならない。 これに関連し、経済至上主義で突き進んできた日本だが、気づいて見れば国民の幸福度は劣悪だ。ミシガン大学の調査で世界43位、OECDの調査でも34カ国中19位となっている。何とも悲しいことである。 ミシガン大学の幸福度調査を構成する指標は7つある。そこには、経済至上主義ではどうにもならない多くの指標が見える。家族関係、コミュニティと友人、健康、個人の自由、個人の価値観などだ。 以下参照
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