エントランスへはここをクリック      
メアリー・ステュアートの足跡を追って
スコットランド
2200km走破

セントアンドリューズ大学

青山貞一 Teiichi Aoyama  池田こみち Komichi Ikeda
2017年12月10日公開予定
独立系メディア E-Wave Tokyo 無断転載禁
スコットランド総目次へ

  セント・アンドリューズ  セント・アンドリューズ修道院
  セント・アンドリューズ城  セント・アンドリューズ博物館 
  セントアンドリューズ大学


 次にセント・アンドリューズ大学である。

◆セント・アンドリューズ大学(University of St Andrews)

 セント・アンドルーズ大学はスコットランドの東海岸セント・アンドルーズ市に所在する大学で、1413年創立です。スコットランド最初の大学であり、英語圏全体でも3番目に設立年代が古い大学です。その長い歴史からアンシャン・ユニヴァシティーの一校に数えられています。

 1413年創立は以下の大学の紋章の一部にも示されています。




Source: University of St Andrews on Youtube

 セント・アンドルーズがスコットランドにおけるキリスト教の巡礼地であったことから、中世にはジョン・ノックスをはじめとして多くの宗教指導者がセント・アンドルーズ大学で学びました。この伝統は自然神学講座ギフォード講義に引き継がれ、1888年以来、エドワード・ケアードなどの哲学者やヴェルナー・ハイゼンベルクなどの科学者による講演が行われています。

 名称のセント・アンドルーズ大学(University of St Andrews)は、スコットランド国旗にもなっている聖アンデレの名を冠した大学となっています。



セント・アンドルーズ大学の門
Source:Wikimedia Commons



撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8

セントアンドリュース大学の校風および特色

 スコットランドの大学ではあるが、3割近くがイングランド出身の学生で占められているため、Scotland's English university(スコットランドにあるイングランドの大学)と揶揄されることもあります。

 また、イギリス国外からの留学生が占める割合も3割に達し、100カ国を超える国々からの学生が集う国際色の強いキャンパスであることも特色です。

 1776年のアメリカ独立宣言の署名者のうち数名がセント・アンドルーズ大学卒業者であったことから、アメリカ合衆国との関係が特に強く、学部生の15%がアメリカ人留学生となっています。

 学部生の出身校については、公立学校以外(パブリックスクール等)の教育機関の出身者が4割と、高い比率になっているます。卒業生は産業界でも活躍しており、ウォーリック大学のThe Institute of Employment Researchの研究発表によると、大学の学生数の規模との対比で、イギリスを代表する企業群であるFTSE 100社に最も高い割合で取締役、役員を輩出しています。

 セント・アンドルーズには「ゴルフの聖地」と称され、5年に一度全英オープンが開催されるゴルフコースOld Courseがあります。多くのゴルフコースが大学キャンパスに隣接しており、学生は、格安な料金でゴルフのプレーを楽しむことができます。


セントアンドリュース大学
Source:Wikimedia Commons



セントアンドリュース大学の博物館
Source:Wikimedia Commons


セントアンドリュース大学
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8



セントアンドリュース大学の聖サルバドール礼拝堂
出典:グーグルマップ・ストリートビュー 



セント・アンドルーズ大学の中庭
Source:Wikimedia Commons


セント・アンドルーズ大学の建築学部棟
Source:Wikimedia Commons


セント・アンドルーズ大学の音楽学部棟
Source:Wikimedia Commons

 以下は、セント・アンドルーズ大学の組織です。

 美術史、生物学、医学、化学、古典学、コンピューター科学、神学、経済・金融、英語・英語教育、地理学、歴史学(古代史、中世史、近代史)、国際関係、経営学、数学・統計、言語学、哲学・人類学、物理・天文、心理学の各学部(スクール)があり、外国人留学生のための35週間の大学予備課程も併設しています。

 学部はユナイテッド・カレッジ、セント・メアリー・カレッジとセント・レオナルド・カレッジに分かれており、ユナイテッド・カレッジは文系と理系、セント・メアリー・カレッジは神学、セント・レオナルドカレッジは院生と分かれています。


 セント・アンドルーズ大学は卒業生・関係者・教員からノーベル賞受賞者5名を輩出しています。

 なお、19世紀後半になってもセントアンドリューの町はまだ荒廃していました。セント・アンドルーズ大学で教師たちは不満をこぼし、パースかダンフリーズへ移ったらどうかと熟考しました。1960年代に入り、町はセント・アンドリューズ大学の成長とゴルフ人気の高まりから生き返ったのです。

 以下はセント・アンドルーズ大学の関係者、卒業者です。最近では(ケンブリッジ公爵夫人でウィリアム王子の妃、キャサリン(いわゆるケイトさん)もセント・アンドルーズ大学を卒業しています。

・ベンジャミン・フランクリン:アメリカ独立宣言署名者
・ジェイムズ・ウィルソン:アメリカ独立宣言署名者
・ジョン・ウィザースプーン:アメリカ独立宣言署名者
・ジョン・ノックス:スコットランドの宗教改革指導者
・ウィリアム・ウォレス:哲学者
・ウォルター・ハース:ノーベル化学賞(1937年)
・アラン・マクダイアミッド:ノーベル化学賞 (2000年)
・フリチョフ・ナンセン:ノーベル平和賞(1922年)
・ラドヤード・キップリング:ノーベル文学賞 (1907年)
・ジェームス・ブラック:ノーベル生理学・医学賞(1988年)
・ジョン・プリングル:赤十字社の設立者の一人
・ジェームス・グラハム:清教徒革命期のスコットランド貴族
・ウィリアム (ケンブリッジ公):イギリス王太子チャールズの長男
・キャサリン (ケンブリッジ公爵夫人):ウィリアム王子の妃
・アレステア・レナルズ:SF作家
・イアン・マクダーミド:俳優
・アンドリュー・ベル:教育者
・ラッセル・カーク:政治理論家
・ジョン・キャンベル:カナダ総督
・ライアン・プレイフェア:化学者
・パトリック・ハミルトン:宗教改革者
・アンドリュー・メルヴィル:宗教改革者
・ジェームズ2世:スコットランド王
・ダグラス・ブラック:医師
・ジョン・ネイピア:数学者
・クリス・ホイ:自転車競技選手
・ウィリアム・ハミルトン:アメリカ合衆国の神学者


つづく    スコットランド総目次へ