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日本語翻訳版 【中国を読み解く】  J・people.cn
張維為・オーリンズ対談


中国を抑え込むのが不可能な理由
人民網 2021年6月30日

動画からのトランススクリプト及び翻訳:
池田こみち (環境総合研究所顧問)
 独立系メディア E-wave Tokyo 2021年7月7日
 
第一部 中国を抑え込むのが不可能な理由 
 Part1 Through the Lens of 'Mutually Assured Prosperity'
第二部 中国共産党は、なぜ唯一無二なのか
 Part2 Why is the socialist system so successful?
第三部 中国共産党は人民の「全方位的利益党」である
 Part3 The CPC is the ‘holistic interest party’of the people

以下の写真をクリックすると動画になります

左がオーリンズ氏、右が張維為氏

中国を読み解く(第1部)】

◆対談者プロフィール 

スティーブン・A・オーリンズ Steven A Orlins
オーリンズ氏は1979年1月の米中国交樹立を最も早くから見守ってきたひとり。1979年1月の米中国交樹立時には、米国務省法律顧問室に所属し、米側の法律チームの一員として両国の国交樹立をサポートした。米中関係全国委員会(NCUSCR:米中関係に関する全米委員会会長)会長
  
張維為 Zhang Weiwei
中国の改革開放の立役者である鄧小平氏の上級英語通訳を務めていた。現在は復旦大学の中国研究所の所長。


対談

オーリンズ(米中関係全米委員会会長)
「あなたは中国の友人ですね」と言われたら、私はいつも「中国の友人です」と答えます。なぜなら、良好な米中関係はアメリカ国民の利益に利益につながるからです。

張維為(復旦大学中国研究院院長)
 中国を理解することは、欧米自身の利益になります。中国モデルがどのように機能しているのか、多くの中国人が自国についてどのように感じているのかを知るために、勇気を持って中国に来るべきだと思います。

ナレーション
 今回、最初にお話を伺ったのは、米中関係に関する全米委員会のスティーブン・A・オーリンズ会長です。オーリンズ氏は1979年1月の米中国交樹立を最も早くから見守ってきたひとりです。1979年1月の米中国交樹立時には、米国務省法律顧問室に所属し、米側の法律チームの一員として両国の国交樹立をサポートしました。

オーリンズ
 中国の発展は、私が予想していなかったものです。1979年に私が人々に昼食や夕食をごちそうしたとき、私は「我请客(ご馳走します)」と招待しましたが、これは彼らにとって最高の食事でした。なぜなら、食料や肉などがまだ配給されていたからです。肉を買うには配給券が必要だし、お米も配給券が必要でした。

 今では、中国で夕食に招待されると、想像を絶する素晴らしい料理が出てきます。欲しいものは何でも手に入る。この変化は非常に大きなものでした。中国の経済発展は、まさに驚異的です。中国の発展は、今も変わらず、改革開放によって何億人もの中国人が貧困から抜け出すことができるという鄧小平氏の考えに基づいており、実際にそうなっています。

つまり、多くの欧米人が魅力を感じない方法で起こったということをであり、何億人もの人々を貧困から救い出すことに成功したということに同意しない欧米人もいると思います。そして、貴方もご承知にご承知のように、それを目撃した証人の一人として、私はいつも驚かされています。中国が今日のようになるとは、1979年には予測できませんでした。これは、外国人が尊敬すべき点でもあるはずです。

ナレーション
 チャン・ウェイウェイ(張維為)さんは、中国の改革開放の立役者である鄧小平氏の上級英語通訳を務めていました。現在は復旦大学の中国研究所の所長を務めています。彼のオフィスでのインタビューでは、中国の台頭と、その後多くの西洋諸国で見られるようになった中国に対するイデオロギー的な偏見の理由について、彼の見解が語られました。

張維為
 スティーブン・オーリンズ氏のように、中国のことをよく理解している人たちがいつもかなりの数いますね。中米関係やその他のテーマについて、非常に合理的で洗練された会話が交わされます。問題は、米国を含む西欧諸国では、ポピュリズムが台頭し、政治が二極化していることです。その結果、何らかの理由で、このような合理的で洗練された声が以前ほど評価されなくなっていることが多く、これは非常に残念なことです。

 中国の話は、特に言語において、外国人が理解できるような形で外部にあまり語られてきませんでした。しかし、全体的に見て、これは主に西洋側の問題だと思います。なぜなら、中国の台頭は実に予想外だったからです。なぜなら、彼らはいわゆる「共産主義」の国、「社会主義」の国を信じることができなかったからです。だからこそ、中国も西洋も、対話の方法を改善し、相互理解を深めるべきだと思うのです。

オーリンズ
 中国、そして中国政府は、外部からの中国に対する認識にもっと耳を傾ける必要があると思います。中国の政策の中には、海外のシンクタンクが「脅威である」と結論づけているものもあります。私は「一帯一路」構想を支持していますが、これを中国の力の拡大(覇権)だとか、PLA(中国人民解放軍)が利用するための港の建設だと考える人も少なくありません。中国は自分の行動に対する反応に敏感になる必要があります。もう1980年ではなく、2021年なのですから、自分の活動に対する世界の反応に敏感になる必要があるのです。

張維為
 BRIはそれ自体、素晴らしい取り組みです。ご存知のように、国際社会全体を見渡すと、膨大な数の発展途上国があり、彼らのインフラは非常に切迫しています。中国は「共に議論し、共に建設し、共に利益を得る」という素晴らしいアイデアを提唱しています(共商建共享的大構想)。これは国際協力のための偉大な原則であり、黄金律でもあります。BRIに関する欧米のプロパガンダや偏見、歪曲がどうであれ、BRIは機能しており、100カ国以上が中国とあらゆる種類の協定に署名し、プロジェクトは活況を呈しています。

 過去2年間を見てみると、米中貿易は(2019年に)落ち込みましたが、中国とアフリカの貿易は活況を呈し、中国とASEAN諸国との貿易も盛んになっています。つまり、BRIが機能しており、それなりにうまくいっていることを示しています。欧米諸国は、中国について客観的に見る努力をすべきだと思います。BBCにもCNNにも言ったのですが、とにかく真実を伝えることです。例えば、Pew、Ipsos、Dalia Research、Harvard Kennedy School Ash Centerなどが行ったあらゆる種類の世論調査では、ほとんどの中国人が自国は正しい道を歩んでいると考えていることがわかっています。

ナレーション
 2国間の競争以外に、中国と米国はどのような二国間協力の主要分野に焦点を当てることができるでしょうか?両国はどのようにして互いの違いを管理し、絆を回復・強化することができるのでしょうか?

オーリンズ
たちは生存にかかわる脅威を抱えています。その脅威のひとつが気候変動です。米国と中国は、気候変動に対処するために絶対に協力しなければなりません。そうしなければ、将来皆さんの世代が享受できる世界はあまりないでしょうし、それはとても悲しいことです。それはとても悲しいことです。ですから、これは明らかに私たちが協力して取り組むべきことです。もひとつはパンデミック対策です。

 私たちはまだパンデミックに対処していません。朝起きて、パンデミック外交競争を目にすると、私はいつも不安になります。パンデミック外交では、協力し合うべきです。中国にはワクチンがあり、ロシアにはワクチンがあり、アメリカには3つの安全なワクチンがあります。私たちは中国やロシアと協力して、これらのワクチンを世界中に配布すべきなのです。将来的にまたパンデミックが起こることは明らかで、それに立ち向かうためには、私たち、中国、ロシアが協力する必要があります。この2つが重要なのです。

張維為
 オーリンズさんは、これらの脅威を「生存に係わる脅威」と呼んでいます。つまり 生存に関する脅威というのは非常に大きな言葉で、彼の言うとおりだと思います。気候変動にしても、パンデミックにどう対処するかにしても、少なくともこの2つの問題については、中国と米国は明らかに共通の関心事を持っています。少なくともこの2つの問題については、中国と米国には明らかに共通の関心事であり、我々はこれに取り組むべきだと思います。私たちには 競合する分野もありますが、協力できる分野もあります。これはオーリンズ氏の主張する点であり、私も100%共感しています。

オーリンズ
 私たちの経済、世界の経済、中国が順調に回復しているかどうかにかかわらず、米国は2021年の第3四半期には順調に回復し始めるでしょう。アメリカと中国が経済成長をリードすることになるでしょうが、経済成長を協調させるためのよりよいメカニズムを確立する必要があります。それは、米国の人々にも中国の人々にもメリットがあります。中国は経済政策の多くを改革する必要がありますが、私はその方向に進んでいると思います。

 新5ヵ年計画、さらなる改革開放、金融サービスの開放など、さまざまなことが行われており、米中関係にとって有益です。関税の引き下げ、教育の充実、米国政府における中国の専門家の増員など、米国民にとって有益なことが目白押しです。ですから、中国のメディアが、良好な米中関係がアメリカ国民の利益になることを理解し、それを正確に伝えることが重要だと思います。私がこれらの政策を提唱するのは、それがアメリカ国民や私の子供、孫の利益になると信じているからです。

張維為
 オーリンズさんは素晴らしい洞察力を持っていると思いますし、実際、アメリカと中国の関係を促進することがアメリカ国民の利益になるというのが彼の信念です。このような信念が、彼を中米関係の改善に向かわせているのだと思います。これは素晴らしいことであり、賞賛に値しますが、米国内で「冷戦」タカ派が台頭し、中米関係に大変不利な状況となっている今、特にそうです。ご存知のように、冷戦は「相互確証破壊原則」(M.A.D.)という概念に基づいています。

 中国とアメリカは、私が言うところの "Mutually assured prosperity-M.A.P.(相互保証繁栄) "を受け入れる理由があります。申し上げたように、中国はPPP(購買力平価)で最大の経済規模を誇り、最大の中間層を持ち、130カ国との最大の貿易国です。中国のような国を封じ込めることはできません。ですから、最善の方法は、ウィン・ウィンの協力関係を築くことであり、いわゆるM.A.D.に代わってこのM.A.P.を使っていくことであり、それが正しい道筋だと思います。そして、米中関係を促進することは、アメリカ国民と中国国民の両方の利益につながるものであり、中国側としても同じことをすべきです。