シンガポール短訪 オーチャード・ロード、ベイエリア 鷹取敦 掲載月日:2018年7月20日
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■オーチャード通りオーチャード・ロード(オーチャード通り)は、シンガポールの目抜き通りです。幅の広い車道、幅の広い歩道に大型の商業施設やホテル等が並んでいます。イギリスがシンガポールに入植した当初、シンガポール川河口を遡ったフォート・カニングの小高い丘に総督官邸を建てましたが、その後、内陸の開発が進み、オーチャード・ロードに移転されました。 オーチャードとは「果樹園」という意味で、植民地時代に作られたオリーブなどの果樹園とイギリス人の邸宅が点在するのどかな通りでしたが、1980年代に再開発が進み、シンガポールの目抜き通りとなりました。 オーチャード・ロードとスコッツ・ロードの交差点 撮影:鷹取敦 Nikon COOLPIX S9900 オーチャード・ロード(スコッツ・ロードから少し東寄り) 撮影:鷹取敦 Nikon COOLPIX S9900 下の写真の茶色いビルは高島屋の入っている義安城(ニーアン・シティ)というビルです。写真の右側にもう1つ塔が立っています。この場所にはかつて潮州系中国人の広大な墓地でした。外壁にきれいに研磨された赤花崗岩が使われているこのビルは墓石の形を模して建てられたそうです(参考)。 オーチャード・ロードの義安城(ニーアン・シティ) 高島屋 撮影:鷹取敦 Nikon COOLPIX S9900 下の写真はオーチャード・ロードに南側からグレンジ・ロードが、北側からケアンヒル・ロードが交わる交差点です。新たなビルが建設されているようです。 オーチャード・ロードとグレンジ・ロードの交差点 撮影:鷹取敦 Nikon COOLPIX S9900 商業ビルやホテルのビルばかりの大通りですが、どこの国にもあるような現代風のショッピングモールだけでなく、古い食堂や商店の入ったビルもあります。1日目の夕食を取った食堂はそういう店の1つでした。 ■ベイエリアホテルに戻って小休止した後、地下鉄でベイエリアに向かいました。下の2枚の写真はシンガポールで最も大きいセント・アンドリュース大聖堂です。1834〜1837年に創建され、1856〜1863年に再建されて現在の姿になりました。英国聖公会(イギリス国教会派)に属しています。ラッフルズの紋章がステンドグラスに描かれています。 英国聖公会はカトリックではないためプロテスタントと分類されることもありますが、他のプロテスタントと異なり教義上の理由ではなくヘンリー8世の離婚問題という政治的な理由カトリックからカトリックから分裂したものです。そのため典礼的にはカトリックとの共通点が多いです。 無料のガイドツアーがありますが、午後4時までなので間に合いませんでした。 セント・アンドリュース大聖堂 撮影:鷹取敦 Nikon COOLPIX S9900 セント・アンドリュース大聖堂 撮影:鷹取敦 Nikon COOLPIX S9900 下の写真はナショナル・ギャラリー・シンガポールです。1929年建設の旧市庁舎の建物(現スープリームコート・ウイング)と1939年建設の旧最高裁判所(現シティ・ホール・ウイング)をつないで2015年にオープンされたアートの殿堂です。総床64,000uもある大規模な美術館です。ちなみに大英博物館は展示面積56,600u、ルーブル美術館は60,600uなので、同程度の規模ということになります。 下はスープリームコート・ウイング(旧最高裁判所)の正面の写真です。歴史的な建築物が活かされています。 ナショナル・ギャラリー・シンガポール 撮影:鷹取敦 Nikon COOLPIX S9900 下の写真はアート・ハウスです。は1827年に建てられた最も古い政府関係の建物で、裁判所、その後、国会議事堂として1999年まで使われていました。2004年からギャラリー、ミニシアター、ミニシネマなどがあり、コンサートやパフォーマンスの場としても使われています。 アート・ハウス 撮影:鷹取敦 Nikon COOLPIX S9900 下は河口付近に面したラッフルズ上陸記念の地のスタンフォード・ラッフルズ像です。1819年にこの地に上陸したラッフルズは、マレー語、ジャワ語などに精通し、東南アジアの歴史にも精通しており、河口付近をイギリス東インド会社の領土とすることを認めさせました。 ラッフルズ上陸記念の地 撮影:鷹取敦 Nikon COOLPIX S9900 上の写真の対岸をみると、川沿いには歴史的な景観を残すオレンジ色の建物が並んでいます。ボート・キーと呼ばれています。その、背後には近年建てられた高層ビル群が並んでいます。ボート・キーは風情があり歩いて楽しいところですが、背後の異様なビル群は景観を破壊しています。それも含めて現代のシンガポールらしいとも言えますが。 ラッフルズ上陸記念の地の対岸のボート・キー 撮影:鷹取敦 Nikon COOLPIX S9900 下の写真は上の写真のすぐ左側(河口側)です。上の写真の左端のビルが下の写真の右端のビルです。息が詰まりそうになる密集したビルです。 ボート・キーの河口側の対岸のビル群 撮影:鷹取敦 Nikon COOLPIX S9900 下の写真はアジア文明博物館です。建物は19世紀後半に建てられ、裁判所や政府の建物として使われていたものです。14,000uに中国、東南アジア、南アジア、西アジアの工芸品等が展示され、シンガポールに定住した民族の歴史を学ぶことができます。 アジア文明博物館 撮影:鷹取敦 Nikon COOLPIX S9900 アジア文明博物館の前の川沿いには、ケ小平やジャワハルラール・ネルー(インド初代首相)など民族が輩出した歴史的人物の胸像が並んでいます。 ネルー・インド初代首相の胸像 撮影:鷹取敦 Nikon COOLPIX S9900 下の写真はビクトリア・シアターです。1862年に劇場併設の市庁舎として建てられました。1901年には1月に逝去したビクトリア女王を追悼するメモリアルホールが建築され、その間に高さ54mの時計台が建築されています。2014年に改築、最新の音響設備が整備されて再オープンされました。交響楽団、室内楽、現代劇、日本の能や狂言など様々な公演が行われています。 ビクトリア・シアター 撮影:鷹取敦 Nikon COOLPIX S9900 下はフラトン・ウォーターボート・ハウスです。1941年に完成したこの施設は、元々ウォータハウスとして知られ、真水をシンガポールに入港した船舶に供給する施設でした。現在はレストランやお土産屋が入っています。なお「フラトン」とは、海峡植民地の初代総督ロバート・フラトンに因んでおり、この建物はフラトンロードに面しています。 フラトン・ウォーターボート・ハウス 撮影:鷹取敦 Nikon COOLPIX S9900 近くにはザ・フラトン・ホテル・シンガポールもあります。1928年に建築され、中央郵便局や政府機関などが入っていました。ここは第二次世界大戦の日本軍侵攻時に降伏条件が話し合われた場所でもあります。建物の前のフラトン広場は英国植民地からの独立の舞台になりました。(参考1、参考2、参考3) フラトン広場で開かれた集会の写真(ザ・フラトン・ホテル・シンガポールに展示) 下の写真はザ・フラトン・ホテル・シンガポールの1階レストランのテラス席で夕食を取った時のシンガポール川の光景です。対岸にラッフルズ上陸記念の地やアジア文明博物館などがあります。橋がライトアップされ、川面には観光船が行き来しています。(時間的には下のマーライオンより後です。) ザ・フラトン・ホテル・シンガポールのレストランのテラス席からみた シンガポール川 撮影:鷹取敦 Nikon COOLPIX S9900 ザ・フラトン・ホテル・シンガポールのレストランのテラス席からみた シンガポール川の夜景 撮影:鷹取敦 Nikon COOLPIX S9900 そして河口から出たところに、「本家」マーライオンがあります。以前はもう少し陸側の河口にありましたが、海とマーライオンの間に橋が建設され、河口は埋立により陸地が拡げられ、観光の目玉としてのマーライオンのある景観が損なわれてしまったため、再度海側に移設されたようです。 マーライオンは1972年に政府観光局のシンボルとして造られたものです。マーライオンは頭がライオン、身体が魚の像です。ライオンは、11世紀にマレーシアの王族がシンガポールを再発見した際に見たという伝説から、魚の体は、同地にあった古代都市の名がテマセック(海の意)であったことにちなみます(出典)。 マーライオン 撮影:鷹取敦 Nikon COOLPIX S9900 なお、本家マーライオンと背中合わせに人の背丈よりもかなり小さなマーライオンがあります。これは移設前からこのような位置関係にあったもので、一緒に移設されたようです。 小マーライオン 撮影:鷹取敦 Nikon COOLPIX S9900 なお、マーライオンがよく見えるよう埋め立てられた場所(2つ上の写真を撮った場所)から左を向くと、下の写真のようにマリーナ・ベイ・サンズが見えます。この奇抜な形状のビルはいまやマーライオン以上に有名なランドマークかもしれませんが、マーライオンのような風情はありません。 マリーナ・ベイ・サンズ 撮影:鷹取敦 Nikon COOLPIX S9900 下はボート・キーです。ボート・キーは19世紀半ばに商業やビジネスの中心地で、商店や倉庫がシンガポール川の川沿いに多数建ち並んでいます。現在はバーやパブ、レストラン等が並び、仕事の後で訪れる地元の人や観光客で大変賑わっています。 ボート・キー 撮影:鷹取敦 Nikon COOLPIX S9900 ボート・キーから船着き場まで歩き下の写真のリバークルーズの船に乗りました。船は川を下って、マーライオン、マリーナ・ベイ・サンズ等を眺め、その後、川を遡って、クラーク・キーに向かいます。 リバークルーズ 撮影:鷹取敦 Nikon COOLPIX S9900 シンガポール川から見たザ・フラトン・ホテル・シンガポール 撮影:鷹取敦 Nikon COOLPIX S9900 シンガポール川から見たマーライオン 撮影:鷹取敦 Nikon COOLPIX S9900 船がマリーナ・ベイ・サンズの前をぐるっと回って折り返しましたが、ちょうどそのタイミングでマリーナ・ベイ・サンズで光と音楽と噴水のショーが行われていました。下の写真では一部しか分かりませんが、ビルの光がいろいろな色に変化し、屋上からはレーザー光線が、湾内ではライトアップされた噴水が大音響の音楽に合わせて演出されたショーです。ガーデンズ・バイ・ザ・ベイのショーと同じような趣向のもっとスケールの大きなもので、いかにもシンガポールらしい演出でした。 マリーナ・ベイ・サンズの光と音楽のショー 撮影:鷹取敦 Nikon COOLPIX S9900 マリーナ・ベイ・サンズの光と音楽のショーの湾内の噴水 撮影:鷹取敦 Nikon COOLPIX S9900 川を遡って行きます。下の2枚の写真のように橋はカラフルにライトアップされています。よくも悪くも観光のために作り上げられた街です。 シンガポール川のライトアップされた橋 撮影:鷹取敦 Nikon COOLPIX S9900 シンガポール川のライトアップされた橋 撮影:鷹取敦 Nikon COOLPIX S9900 下の写真はクラーク・キーです。シンガポールの一大観光スポットで、レストラン、バー、インドスタイルのライブスポットやクラブ等が一画に集まっているところです。リバークルーズの船はここで下船はできないので、川からの風景として眺めるだけでした。 クラーク・キー 撮影:鷹取敦 Nikon COOLPIX S9900 クラーク・キーのあたりで船は再度折り返し、船着き場に戻って下船し、ホテルに戻りました。 翌日は最終日です。市内中心部をバスでまわってから、チャイナタウン、リトルインディア、アラブストリートなど、主要民族の民族色の濃い地域に行きました。 つづく |