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国際ダイオキシン会議(東京)
での論文発表

青山貞一
 
掲載日:2007.7.26


 この9月上旬、日本で国際ダイオキシン会議(正式にはInternational Symposium on Halogenated Environmental Organic Pollutants and POPs )が東京のホテルで開催されます。今回は、登録料がなぜか9万円と超高額で参加者が少なくなっているようです。これについては、以下の論考を参照してください。

青山貞一:学術の世界にも「格差社会」〜国際ダイオキシン会議 in 東京〜
 
 青山、池田、鷹取ら環境総合研究所のメンバーは、2001年の韓国慶州大会から継続してこの会議に参加し、多くの研究論文を発表してきました。

 慶州、バルセロナ、ベルリン、ボストン、トロント大会での発表英論文及び写真は、以下の環境総合研究所の英文Webで読め(見れ)ます。

Dioxin Related Research Papers in International Conference
International Symposium on Halogenated Environmental Organic
Pollutants and POPs by Environmental Research Institute, Tokyo Japan

 
 今年9月の東京大会にも環境総合研究所は2本の英論文を春の段階で出しており、すでに審査を通過しています。以下がその発表論文名と発表者です。

PBDEs LEVELS IN PINE NEEDLES AFFECTED
  BY MUNICIPAL SOLID  WASTE
  MELTING FURNACES IN JAPAN


 Ikeda K 1, Saito M 1,Takatori A1, Aoyama T 2
 1 Environmental Research Institute, Inc.(ERI), Shinagawa,
   141-0021 Japan;
 2 Musashi Institute of Technology, Yokohama, 224-0015 Japan;


RELEVANCE OF PAHs EMITTED FROM AUTOMOBILES
 MONITORED BY PINE NEEDLES IN TOKYO, JAPAN


 Takatori A 1, Ikeda K 1, Saito M1, Aoyama T 2
 1 Environmental Research Institute, Inc.(ERI), Shinagawa,
 141-0021 Japan;
 2 Musashi Institute of Technology, Yokohama, 224-0015 Japan;

 一つ目の発表論文は、PBDE(固定発生源)に関する研究、 二つ目はPAH(多環芳香族炭化水素)の移動発生源に関する研究です。いずれも日本での対応は鈍いのですが、欧米ではいずれも盛んに研究されています。とくにPAHが発ガン性(イニシエーター、プロモーター)がすでに確認されています。そのひとつベンゾ(a)ピレンはタバコの煙にも含まれており、その発ガン性故に欧米では間接(受動)喫煙による害が特に重視されています。

 私がボストンで発表した日米5銘柄のタバコの煙に含まれるダイオキシンの研究論文は、17カ国の研究者から質問を受けました。一日一箱で最大で約1pg-TEQ/kg/dayのTDI相当値が体内に入ることが分かっています。

喫煙によるダイオキシン摂取のリスクアセスメント(東京新聞) 
 
 研究所の発表の多くは、池田さんが中心となって市民参加で行ってきました松葉に含まれるダイオキシンの研究論文ですが、韓国慶州の大会では、口頭発表後、英国環境省、米国環境保護局の関係者から日本ではこれほど大規模な環境大気中(Ambient Air)のダイオキシン調査を民間レベルで行っているのか、と驚嘆のコメントが出されました。

 日本からの圧倒的多くの研究論文が焼却炉メーカーや文部科学省系の研究補助を受けた企業、大学の研究者からのものであるのに対し、私たちの研究論文はいずれも自前あるいは市民からのカンパに基づく大気あるいは水系のダイオキシンの研究です。おそらく今年もそうでしょうが、2001年の韓国慶州大会では参加者の6−7割が日本、それも焼却炉、溶融炉、試薬メーカなどに関連する参加者だったはず
です。

 ここ6年継続して研究史、発表してきたこともあり、海外の多くの研究者、それも明確な目的をもった研究者と有益な交流ができていま
す。