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日本のメディアの
本質を現場から考えるM

情報操作による世論誘導
〜省庁によるWikipedia改竄〜

青山貞一
 
掲載日:2007年9月1日

◆青山貞一:日本のメディアの本質を現場から考える 
  バックナンバー

L行政と近すぎる報道の危うさ
K欽ちゃん70kmマラソンの非常識
J巨大公共事業推進の先兵
I政権政党ともちつもたれつ
H政治番組による世論誘導
G民主主義を壊す大メディア
F意見の部分選択
E原発事故と報道自粛
D戦争報道と独立系メディア
C環境庁記者クラブ事件
B記者クラブと世論誘導
A地方紙と世論誘導
@発行部数と世論誘導

 この4日間、休養で北軽井沢にある環境総合研究所の保養施設に友人を連れてでかけていた。帰宅したら独立系メディアの常連、佐藤清文さんからWikipedia関連の重要記事の連絡があった。 

 
Wikipediaは、筆者も頻繁に使っているWeb版の百科事典。そのWikipediaは項目、内容を誰でも書き加えたり、修正できるようになっている。

 Wikipediaとは

 とはいえ、Wikipediaでは「自画自賛」になったり、公的機関や政治家、宗教団体などの「情報操作による世論誘導」を避けるため、ガイドラインで「自分のことについては他の利用者に執筆を任せるのが望ましい」としている。これは、当然のこととしてユーザー自身が関わる記事についての編集を避けるためだ。

 しかし、実際には誰が加筆、修正はては改竄しているか分からないのが実情だった。

 今回、日本の省庁による「情報操作による世論誘導」が明るみに出たのは、「WikiScanner」というWikipediaに誰が書き込んだか、そのIPアドレスを含め表示するソフトの日本語版が発売され、それを使って第三者が調べた結果、分かったからだ。

 Wikipediaに掲載された内容をWikiScannerを使うことで、総務省、文科省、宮内庁など、霞ヶ関の省庁の官僚らが自分たち(省庁)に都合の良いように、書き換えたり、不都合な部分を削除するなど、改竄していたことが分かった。たとえば、長妻昭議員の社会保険庁関連の執筆内容を厚生労働省が書き換えていた。

 以下はそれを伝えるITメディアの記事である。

 筆者からすると、「やっぱり」だが、おそらく今後は、個人アドレスを使い、同じようなことをする可能性も高い。一市民に名を借りた省庁による世論誘導が行われる可能性は大である。

 すくなくとも加筆・修正は、執筆者のプロフィール、連絡先住所、勤務先、生年月日などを登録させるようにしないといけないのではないか?

 もちろん、それらは個人情報であるが。

 個人の自画自賛や企業の宣伝まがいの解説も問題だが、こと省庁など公的機関による修正、加筆、削除を監視しなければ、「情報操作による世論誘導」そのものが世界中を跋扈することになるだろう。


総務省や文科省もWikipediaを編集していた

ITメディア 2007年08月29日

「WikiScanner」日本語版で判明省庁の内部からもWikipediaを編集――総務省や文部科学省、宮内庁などのIPアドレスから、行政に関わる内容からエンターテインメント関連までさまざまな項目が編集されていたことが、「WikiScanner」日本語版を使った調査で分かった。

 Wikipediaを編集した組織や企業が分かるツール「WikiScanner」の日本語版がこのほど登場した。これを利用して行政機関からの編集について調べてみると、総務省や文部科学省、宮内庁などから、行政に関わる内容からエンターテインメント関連まで、さまざまな内容について編集があったことが判明。行政に批判的な内容を削除する編集も見つかった。

 WikiScanner日本語版 WikiScannerは、IPアドレスを入力すれば、そのIPから編集された内容を一覧表示できるツール。IPアドレスと組織名を対応させる仕組みも備えており、特定の組織が編集した記事や内容を確認できる。英語版はすでに公開されていたが、今回新たに、日本のWikipedia内を検索できる日本語版が登場した。

 省庁のIPアドレスで調べてみると多くの編集が見つかる。例えば総務省からは、「電子投票」の項目が10回以上編集され、電子投票のセキュリティーに関する内容が書き換えられているほか、「水曜どうでしょうの企画」を詳細に説明する書き込みや、シミュレーションゲーム「蒼き狼と白き牝鹿」に関する書き込みもあった。

 文科省のIPからは、本間正明・元政府税制調査会会長に関するスキャンダルが削除されていたり、「コミュニティ・スクール」の項目で、文科省自身が作成したWebサイトについて「かなり充実している」と自画自賛も。

 厚生労働省からは「薬物」などの項目で編集があったほか、アダルトゲーム「ななついろ★ドロップス」の項目で解説も書き加えられていた。

 宮内庁は、天皇陵や歴史関連の書き込みを編集しており、宮内庁に関連する疑惑の指摘を削除した跡も見つかった。農林水産省からは、ガンダム関連で大量の書き込みがあった。

 「コミュニティ・スクール」の項目では、文科省自身が作成したWebサイトについて「かなり充実している」と自画自賛宮内庁に関連する疑惑について、宮内庁IPから削除も農林水産省からはガンダム関連で大量の書き込みが。

 WikiScanner日本語版トップページには、ソニー、ライブドア、東京大学などからの書き込みをワンクリックで確認できるリンクを掲載しているほか、プルダウンメニューには、ローマ字表記で企業・団体名一覧を表示。さまざまな企業や団体の内部から、いつ、どのような書き込みがあったかを確認できる。

 ちなみにWikipediaはガイドラインで「自分のことについては他の利用者に執筆を任せるのが望ましい」としており、ユーザー自身が関わる記事についての編集を避けるよう呼びかけている。

黄で強調は青山。

  Wikipediaの改ざんは、日本だけでなく、各国の政府機関が行っていたことが明らかとなっている。米国では、CIAや政治団体も自分たちにとって都合の良いように内容を改ざんしたり、オーストラリアでも政府職員がWikipediaの内容を改ざんしていた事実が明らかになっている。


CIAや米政治団体もウィキペディアに
書き込み、内容を都合よく変更

http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/it/2269119/2030557
2007年08月19日 03:12 発信地:サンフランシスコ/米国

2007年3月8日、東京の日本外国特派員協会(Foreign Correspondents’ Club ofJapan)に出席する、利用者参加型オンライン百科事典ウィキペディア(Wikipedia)の共同創設者ジミー・ウェールズ(Jimmy Wales)氏。(c)AFP/Toru YAMANAKA

【8月19日 AFP】ある米国人ハッカー開発のプログラムが、米中央情報局(CIA)や政治関連団体による利用者参加型オンライン百科事典ウィキペディア(Wikipedia)への書き込みを明らかにした。

 ウィキペディアは、ウェブサイト上の文書をユーザーが自由に書き換えられるオンライン百科事典。誰でも自由に書き込みや編集をすることが可能だが、事実誤認については、より深い知識を持ったユーザーが訂正していくという原則がある。

 大学院生で自称ハッカーのバージル・グリフィス(Virgil Griffith)さんは、自身が開発したプログラム、「ウィキスキャナー(Wikiscanner)」を用いて約300件の書き込みの発信源をCIAのコンピューターだと特定した。変更が行われたトピックスには、「イラン大統領」、「アルゼンチン海軍」、「中国の核兵器」などが含まれているという。

 CIA報道官はAFPの問い合わせに対し、「CIAが保有するコンピューターから書き込みが行われたかどうかは確認できないが、当局は常に責任あるコンピューターの使い方を求めている」と述べた。

 ウィキペディアへの書き込みの発信源は、固有のIPアドレスを使って特定される。この方法によりウィキスキャナーが発見した変更点の多くは単語のつづりを直すなどの些細な訂正だったが、その一方で望ましくない情報の削除や、悪口の書き込みなども行われていた。

 米民主党関係者は、保守派で知られるラジオのトークショーの司会者の肩書きに「石頭」と書き込み、さらに同番組の視聴者を「能無し」とばかにした。一方で、イラクのバース党(Baath)についての項目では、米軍によるイラク侵攻を推し進めた「占領軍」と書かれた言葉が「解放軍」と訂正されており、その発信源が米共和党のコンピューターだと判明。また、ロイター通信(Reuters)が所持するコンピューターからは、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領のプロフィールに「大量殺人者」と書き込まれていた。

 グリフィスさんによると、政治家が都合の悪い情報を取り繕ったり、企業が競合相手の情報に批判的な情報を足すことはよくあることだという。また、どちらも重要な情報を削除する傾向が見られた。

「このような技術を使うことによって『荒らし』や『デマ』に対抗できれば、ウィキペディア上の議論を呼ぶ話題はさらに信頼性を増すだろう」とグリフィスさんは期待を寄せる。(c)AFP/Glenn Chapman


豪州でも政府職員によるウィキペディア書き換えが発覚

2007年08月24日 21:40 発信地:シドニー/オーストラリア
関連写真 1枚
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/it/2271726/2041650

オーストラリアの首都キャンベラ(Canberra)の議事堂で記者会見するピーター・コステロ(Peter Costello)財務相(2007年5月8日撮影)。(c)AFP/Torsten BLACKWOOD

【8月24日 AFP】オーストラリアのジョン・ハワード(John Howard)首相の官邸職員が、ユーザーが参加・編集するオンライン百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」の同首相に関する不都合な記述を書き換えていた事実が発覚した。

24日付けシドニー・モーニング・ヘラルド(Sydney Morning Herald)紙が報じた。首相報道官はハワード首相が職員に書き換えを指示した事実はないと説明している。

■豪政府による書き換えの例

 報道によると、ウィキペディアの記事が首相府のパソコンから書き換えられたのは、全部で126か所。ハワード政権が発表した不法入国者の収容センターへの送致案に関する記述では、「不法移民らは非人道的な状況下に置かれている」との記載に「と言われている」の一言が追加されたもよう。また、ピーター・コステロ(PeterCostello)財務相を中傷する記述などにも書き換えられた形跡があるという。

 ただ、これら126か所の書き換えの多くは、「フリーメーソンは悪魔の仕業」、
「イエスは神なり」など、ハワード政権とはまったく無関係なものだという。

 ウィキペディアのデータは、大学院生で自称ハッカーのバージル・グリフィス
(Virgil Griffith)さんが開発したプログラム「ウィキスキャナー(Wikiscanner)」を用いて、書き込みが行われたパソコンの特定が可能。

 このほかにも、国防省のパソコンから5000か所にわたって記述が書き換えられていたことも発覚している。

 書き換えられた記述には、豪軍に関する情報やハワード首相が党首を務める自由党(Liberal Part)への否定的なコメントなどが含まれていたという。

■豪国防省はウィキペディアの書き換えを禁止

 こうした報道を受け国防省は24日、省内のパソコンからウィキペディア編集機能へのアクセスをブロックする措置を実施。一方、職員が情報収集の手段としてウィキペディアを閲覧することは引き続き許可した。

 前週には米国でも、中央情報局(CIA)による数百件のウィキペディア書き換えの事実が、ウィキスキャナーにより特定されている。(c)AFP