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しばし囂しい世俗を離れ

和文化の品性を初釜に求める


青山貞一


掲載月日:2010年1月10日, 1月14日拡充

初出:独立系メディア

その1  その2  その3

 環境総合研究所(東京都目黒区)や独立系メディアの同僚、池田こみちさんは、知る人ぞ知る表千家の茶道の達人、教授でもあります。

青山貞一:文化の日、茶会で心の落ち着きしばし見出す 

 茶道の名は池田宗蹊。


撮影:山形美智子 デジカメ ニコン CoolPix S8

 今回、昨年の11月の茶会につづき、平成22年1月の初釜にご自宅にお呼ばれしました。

 午前11時から夕方4時まで、途中席改めを含め都合5時間となりました。

 世は政治、社会、経済、環境、どれもこれも囂しいなか、世俗を離れ、和文化の品性に接することが出来きました。

 お呼びいただいた茶道ド素人の私に、アドバイスいただいた池田こみちさんはじめ社中の皆様方にこの場をお借りして深く感謝、深謝の意を表します。

深く感謝、深謝

 茶道は鎌倉時代から室町時代、安土桃山、江戸時代を経由して、近代、現代に至る日本文化そもののでしょう。元はと言えば大陸、朝鮮半島に源流が見出されるものです。

【茶道の歴史】

抹茶が中国より伝来したのは鎌倉時代と言われています。鎌倉時代の僧「栄西」が日本に伝え、僧侶の間で睡魔を取り除く薬として広まりました。

室町時代になると僧侶の村田珠光が内面的な心を追求したわび茶を始め、 その後、その心を受け継いだ武野紹鴎が禅の奥義にも徹し、 その弟子、利休がこれを推し進め、新しい茶のあり方を開きました。

珠光から紹鴎、さらに利休によって日本の伝統的な詩情を加えた 茶道が大成したと言えます。

利休の死後、後を受け継いだ宗旦の隠居とともに、その子供達がそれぞれの流派をたて、 現在の表千家(不審庵)、裏千家(今日庵)、武者小路千家(官休庵)の三千家に分かれました。

その後、遠州流・石州流を始めとした様々な流派も生まれ、今日に至っています。


出典:http://www15.ocn.ne.jp/~noo/japan/sadou.html


 日本では明治時代以前は、武士(男性)の文武の「文」の作法の一部だったそうですが、今では圧倒的に女性の方々が作法を茶道に求めることが多いようです。茶道は、非常に奥の深い文化であるとともに、おもてなしの心、作法を後生に伝える重要なものであると思います。

 大学、学術の分野でも、歴史、文化と関連が深い人文科学な知性が退潮して久しいのですが、自然と調和した持続可能な社会を構築するためにも、東洋的無為自然(もともと人間は自然の一部にすぎないということ)に立脚した、和文化の本質を私たちが学ばなければならないと思いました。

 <茶道>や<懐石>に間近に接すると、その作法が具体的にいかに和文化が自然と共生し資源循環に配慮したものであるかが分かります。

 今回は5時間近く、お姉様方とご一緒し少々緊張しましたが、作法を通じ、和文化の品性、品位に接することが出来ました。また懐石料理もすばらしく、ただただ感謝するばかりです。

 日曜と言え、なかなか時間がとりにくい私ですが、今後も初釜など要所で参加させていただければと期待しています。

 以下は当日撮影した写真で見る初釜の茶会と懐石料理の概要です。キャプションは池田こみちさんにご教授いただきました。


池田宅の玄関
撮影:青山貞一 デジカメ ニコン CoolPix S8


池田宅玄関内側
撮影:青山貞一 デジカメ ニコン CoolPix S8

【広間と小間】

 茶道の世界では和室は広間と小間の2種類に大別される。4畳半以上の広さが”広間”、4畳半以下の広さが”小間”となり、4畳半は両方に含まれる。

 座臥具であった畳を空間の全面に敷き詰めた座敷(広間)の誕生は室町時代。

 書院造の会所(客と会う場所)である広間で、床の間や違棚に様々な唐物を飾り賑やかに客をもてなす道具を中心とした茶が主流であった。

 ところが村田珠光により茶の精神性が高められ、「道」としての茶が始まる。京都大徳寺真珠庵で一休禅師について参禅し、”道具を中心とした茶”から”茶を行う人の心を大切にする茶”に変わっていく。

 そして、書院造の広間では心が落ち着かないとして、4畳半以下の小間が誕生する。やがて、武野紹鴎、千利休と続いて「侘び」を主とする草庵茶室(小間)が主流となっていった。身分の上下なく気持ちで客をもてなす茶である。

 現在、茶会といえば、広間が使われ、一度に大人数が入って薄茶のみを頂く(3客以下は水屋からの点て出し)のがほとんど、また茶の点前の最初の形は書院造の広間でのものだったが、侘び寂びを旨とする茶道の姿は小間を使って少ない人数で行う茶事(懐石から濃茶・薄茶まで)なのである。

 茶道では置き位置による畳の名称がある。踏込畳(茶道口から和室に入る際、足を踏込む畳)、客畳(客が座る畳)、貴人畳(ご貴人が座る畳)、点前畳(亭主が座る畳)など。また、四畳半の畳の敷き方は、風炉と炉で異なるので注意して見てみて下さい。

出典:http://blog.goo.ne.jp/m-tamago/e/2ecd9f37b63c3cc71bcebc6b80c7ef17

 下は小間。初釜は広間で行われました。


池田邸、小間「無極庵」
撮影:青山貞一 デジカメ ニコン CoolPix S8

 
玄関 正月飾り
撮影:青山貞一 デジカメ ニコン CoolPix S8

廊下
撮影:青山貞一 デジカメ ニコン CoolPix S8
寄付き 軸 短冊「旭日鮮」
(あさひかがやく)


つくばい
撮影:青山貞一 デジカメ ニコン CoolPix S8


撮影:青山貞一 デジカメ ニコン CoolPix S8


本席 軸 「千林春入 鶯」 
 花  :青竹に結び柳と椿(白は白鶴、ピンクは西王母)
撮影:青山貞一 デジカメ ニコン CoolPix S8


床飾り:桂盆(青漆爪紅)にコウネンキ
撮影:青山貞一 デジカメ ニコン CoolPix S8

  
本席 軸 「千林春入 鶯」 床飾り 朱杯 三番叟
撮影:青山貞一 デジカメ ニコン CoolPix S8


つづく