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岡山市北区の火葬場建設問題
E異常な処分場跡地買収価格 

青山貞一 Teiichi Aoyama
掲載月日:2014年6月17日  
独立系メディア E−wave

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◆特集:住民無視で暴走する岡山市北区の火葬場建設問題
@高齢化社会と火葬場建設問題 D処分場跡地に石綿埋設の事実
A火葬と有害化学物質発生 E異常な処分場跡地買収価格
B最終処分場跡地に火葬場建設 F不透明で正当性なき立地選定
C処分場跡地の環境汚染 G産廃業者の許可取り消し処分

 先にも述べたが、岡山市はこともあろうか、アスベストまで埋まっている産廃業者の処分場跡地を何と宅地並みの高額で買収していた。

 以下は、いずれも自分の耳を疑うことばかりであるが、情報提供してくれた地域住民だけでなく、現地の会議に同席していた市議らも確認しているので、大きく間違うことは無いと思える。

 すなわち、岡山県北区の地元住民らへの青山による聞き取り調査では、岡山市が民間産廃業者(土建業者)から安定型最終処分場跡地を買い取った価格は、総面積61,079uで、なんと405,801,500円(約4億円)であるという。単純に1u当たりの価格に換算すると6,644円である。1坪当たりの価格に換算すると、21,925円となる


図7  岡山市が宅地並みの超高額で産廃業者から買った産廃処分場跡地
    出典 岡山市市民文教委員会の追加資料 No.2の主要部分

 以下が2014年版の最新のグーグルアースで上空から見た安定型最終処分場跡地である。ほぼ図7の買収位置が確認できる。中央を走る道路は、岡山空港に通ずる県道72号線である。


写真   2014年版の最新のグーグルアースで上空から見た安定型最終処分場跡地 

 もともと岡山市が買収した処分場跡地は、埋立地域を除けば約半分が法面(のりめん)で造成工事をしない限り、火葬場は建てられない。総面積61,079uあっても、半分は地盤沈下必須の廃棄物の埋立地、残り半分は傾斜がきつい法面である。

 私達がここ2年間関わっている埼玉県川越市の新斎場問題で川越市の火葬場用地は当初の「必要面積」が27,000 u、最終的にはその2/3となっているから、岡山市は使えない土地を高額で買っただけでなく、ことのはじめから同規模の火葬場用地の2倍の土地を高額で買っていたことになる。もっとも、面積が2倍だからといって、本来火葬場として使える面積は、現状でほとんどないことになる。

 日本全国広しといえど、民間産廃業者の最終処分場跡地を宅地並み価格で買う自治体などないだろう。 繰り返すが、買い取った面積の半分以上は、図5を見れば分かるように法面(のりめん)である。ちなみに、このあたりの地権者によれば、このあたりの山林は、固定資産税の内訳表から試算すると1u当たり信じられないほと安いとのことである。公共事業として本当に必要ならそれらを買って造成工事をした方がはるかにリーズナブルで環境面からも安全、安心なはずである。

 下の図5で火葬場建物と書かれている部分は、もともと処分場として廃棄物が埋められている場所であるから、土壌汚染、地下水汚染、アスベスト汚染などの汚染問題以外に地滑り、地盤沈下などの可能性もある。到底そのままでは火葬場建設には使えない土地である。


図5 廃止された安定型処分場跡地

 一方、この地域の本来の宅地価格についても調べて見た。処分場から600mほど離れた宅地を相続した際の価格が1u当たり7,082円、1坪当たり23,371円であった。

 したがって、市役所が業者から購入した上記の価格は、まさに宅地並の価格である。また岡山市市民文教委員会の追加資料 No.2に付属していた資料には、岡山市北区富原、今岡、芳賀、三和などにおける「取引事例の概要」が示されていた。確かにら市街化調整区域の本当の宅地なら1坪当たり2万円〜3万円なのであろう。

 しかし、岡山市は、本来使い物にならないこの種の土地、曰く付きの土地を、こともあろうか宅地並みの高額で税金で購入したのである。

 私は6月14日夜の講演で、「北軽井沢にある私達の別荘の土地は1坪当たり約2万円である。岡山市は汚染や地盤沈下がありうる処分場跡地を北軽井沢の別荘地並みの価格で買っていることになる」と話した。まったくもって信じられないことである。

 常識で考えるに、産廃業者が所有する最終処分場の跡地を間違っても自治体が買うことなどあり得ない。まして宅地並みの高額(総額約4億円)で購入することなどあり得ない。さらに言えば、廃棄物が埋め立てられた場所は、通常、地盤沈下や地滑りが置きやすく、その上に公共施設の建築物などを建てることはありえず、万一建てる場合には相当の地盤改良、造成工事を行わなければならない。さらにアスベストが安定型最終処分場に埋め立てられていれば、法的に問題になるだけでなく、アスベスト除去をする前に盛り切りを含め土地の造成工事などできなくなり、とてつもなく税金の無駄遣いとなるだろう。

 これだけでも、すべて耳を疑うはなしであるが、現地で調査を進めると、業者側は敷地内にある高木一本に付き20万円の伐採料をまた門扉の破壊・撤去費用として別途200万円超を請求しているという話しもでてきた。

 これらはよほど、市役所が産廃業者に足元を見透かされている場合か、何らかの理由で脅かされている場合以外、考えられないことである。

 一方、上記の事実が市民に広まるにつれ、岡山市は最終処分場内を7000万円の高額をかけてボーリング調査すると言い出したそうだ。もともと買ってはならない土地ではあるが、その土地を事前に何ら調査すること無く、しかも法外な高額で購入しておいて、批判が起きるやボーリング調査すると言い出したのである。 

 まともな弁護士や行政書士、オンブズマンが上記を知れば、まず地方自治法の住民訴訟を起こすべきと考えるだろう。

つづく