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 <初秋の信州街道と秘湯の旅B>
「信州街道」と「万騎峠」

青山貞一

 
2008年9月17日

転載禁

■秋の信州街道と秘湯の旅
 @田代湖と鹿沢高原
 A鹿沢温泉と新鹿沢温泉
 B信州街道と万騎峠
 Cかやぶきの郷、薬師温泉・旅籠

 9月13日、わたくしたちは、以前から気になっていた群馬県の薬師温泉に出かけた。

 正式な地番は、群馬県吾妻郡東吾妻町本宿である。私たちの別荘も群馬県吾妻郡にある。しかし、薬師温泉までは同じ吾妻郡でも最も遠く、そして距離があるようだ。

 まずは地図で行き方を検討する。

 ※参考 「上州の街道」  ※ 参考「信州街道」

 比較的簡単な方法は、国道146号線で長野原町に行き、その後国道145号線でよく行く八ツ場ダムの建設現場まで行く。その後、国道406号線に入り、山道を上がる方法だ。おそらくこの方法が北軽井沢から薬師温泉への道として、最もオーソドックスの方法だろう。

 しかし、地図をよく見ると、国道146号線で北上し、応桑という地域で東に向かう小さな道路があった。この道路は、おそらく林道だ。この林道をどんどん東に行くと国道406号線に出会う。そこから少し東に行けば、目当ての秘境、薬師温泉に出会うはずである。

 あとで調べたら、この道路は、江戸時代、信州街道と言われた由緒ある街道であることが分かった。中仙道の超小さなバイパスとでもいうべき道路で、草津や鳩の湯、川原湯などへの利用客や、北信濃の大名の参勤交代などに利用され、街道沿いは構栄えた栄えたという。 また万騎峠のところで述べるが、信州の米や木材を江戸に運ぶための運搬にも利用された街道とのことだ。

 群馬県内の信州街道沿いには、草津、鳩ノ湯、川原湯、薬師など日本を代表する温泉の名が連なっている。まさに信州街道は上州の温泉街道でもあるわけだ!

 この信州街道の主な通過点を見てみると次のようになる。すなわち (高崎)−神山−室田−烏川−三ノ倉−大戸−大戸関所−本宿−須賀尾−万騎峠−狩宿−狩宿関所−鎌原−大笹−大笹関所−鳥居峠−菅平−仁礼−井上−(福島) である。

 主要通過点との関連で私たちの別荘を見ると、<鎌原>となる。

 ところで、この信州街道を車で行くと、途中から道幅は一車線がいいところのところがある。しかも、草ぼうぼうのジャングルとなっている。さらに行くと、車のナビゲーション上に何の道も地名もなく、まるで空を走っているようになった。

 本当にこの道で406号線まで行けるのか何度となく不安にある。何カ所か熊出没注意の標識もあった。途中、応桑水土保全機能強化総合モデル地域という看板が何カ所かある。とはいえ、ほとんど対向車に会わず、後ろからも車は来ない。

 不安になるが、方向は間違いない!

 応桑地区の植生だが、植林された部分も多々ある。しかし、よく見ればブナなど自然林も多い。ほとんど交通量はないものの、車幅は狭く、多くのカーブがある。またときおり勾配が厳しいところもある。


応桑水土保全機能強化総合モデル事業の説明板
撮影:青山貞一、Nikon Cool Pix S10

 細くくねった林道をかなり行くと、峠にでた。何でもこの峠は、万騎峠(まんきとうげ)という由緒ある峠だそうだ。標高は1281mだから、私たちの別荘がある北軽井沢とそれほど違わない。

群馬県内における応桑地区の位置{○の部分}

 下の案内板を読むと、江戸時代に信州の米などを江戸に運ぶルートであったと言う。またこの地で温泉といえば源頼朝が草津にも川原湯にも出てくるが、何とここでも源頼朝の名がでてきた。源頼朝が万騎の兵を引き連れ峠を越え浅間に狩に行く際この峠を越えたという伝えが残る。同時に万騎峠の名の由来もあるという。

 草津、川原湯などですでに何度も頼朝の名を知らされていたが、「頼朝」は別としても、江戸時代に、こんな辺鄙な山中を米、蕎麦、大豆、小豆などを江戸に運んだのかと思いを巡らした!

 
万騎峠の由来を書いた標識
撮影:青山貞一、Nikon Cool Pix S10


 ところで、この万騎峠で思わぬ物を発見した。ブナの古木である。おそらく500年以上の樹齢がありそうだ。これには皆、感激! 下はスケールとして池田さんに立ってもらって撮影した写真である。ロングの写真を見て欲しい!!


万騎峠にあったブナの古木。おそらく500年の樹齢がありそう。
撮影:青山貞一、Nikon Cool Pix S10


万騎峠にあったブナの古木(ロング写真)。おそらく500年の樹齢がありそう。
撮影:青山貞一、Nikon Cool Pix S10

 ※ 信州街道・万騎峠

 このあたりはブナ林に象徴される自然植生が豊富な場所だ。下は、万騎峠より少し東で街道沿いで撮影した秋の植物。


万騎峠より少し東で撮影
撮影:青山貞一、Nikon Cool Pix S10

 万騎峠より下ったところにあった法人の森林。看板をよく見ると、万騎峠のカラマツ林を育てる会とあった。
 

撮影:青山貞一、Nikon Cool Pix S10

 さらに看板に寄ってみると、法人は大部分が土木工事の会社である???


撮影:青山貞一、Nikon Cool Pix S10

 しかも、近くには林野庁だか群馬県の掲示板がある。法人の森林が土木や森林土木工事の受け皿となっているのではないかと邪推したくなった。しかも、ここは総理を戦後だけでも4人出している土地柄である!? これについては調べてみることとした。


撮影:青山貞一、Nikon Cool Pix S10

 ところで、このあたり本当にクマが出てきてもおかしくない。

 林通にはモグラが横たわっていた!


路上に横たわるモグラくん
撮影:青山貞一、Nikon Cool Pix S10

 下は熊出没注意の標識。あちこちでクマ出没の標識に出会ったが、結果的に肝心なクマさんには一度も出会うことはなかった。よかったのか残念なのか、悩むところ!


熊出没の標識
撮影:青山貞一、Nikon Cool Pix S10

 もう少し東に向かうと、下の写真のように植林された杉林を間伐している現場に出くわした。ただ、間伐はしているものの間伐材の処理がまったくされていない。放置されている。おそらく間伐された木材を引き出し、運ぶと経費がかかり、経済的にまったく引き合わないからと推察する。


間伐材が放置されたままの森林
撮影:青山貞一、Nikon Cool Pix S10


間伐材が放置されたままの森林
撮影:青山貞一、Nikon Cool Pix S10

 万騎峠から車でさらに相当行く。 さらに進むと、以下の写真にあるように、信州街道は、1.5車線程度の舗装された林道となった。 これより前は、大部分は道幅も狭く、崖崩れが起きそうな山中であった。これには皆、感激!!


撮影:青山貞一、Nikon Cool Pix S10

 そうこうしていると、やっとのことで国道406号線にぶつかった。ここから薬師温泉は近いはずだ。
 
 薬師温泉に到着する。


撮影:青山貞一、Nikon Cool Pix S10


つづく

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