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普天間飛行場代替施設がキャンプシュワブ海上案に決まった際の政治家利権、ゼネコン利権については、すでに私が三鷹公会堂でこの2月に行った基調講演で日刊ゲンダイの記事をもとに述べた。記事を含めた詳細は以下にある。
講演では敢えて政治家とゼネコンのキャンプシュワブ海上案利権について話したが、ひとつ抜けている重要な[利権]がある。 それは「地元」の住民なり自治会の利権である。これについては、以前、青山研究室の大学院生が沖縄の基地と公共事業問題をテーマとして研究していたとき、何度か名護市の辺野古に現地調査した。そのとき、地元の女性作家からまさにその「利権」について聞いたことがある。 論考(巻末)では敢えて利権問題に直接触れていないが、話の中では住民、自治会の利権の話がでた。 ところで日刊ゲンダイの2010年3月31日号に、まさにその地元住民利権とでも呼べる記事があった。 以下に全文を掲載する。 この住民や住民グループたちは、キャンプシュワブの陸上案には猛烈に反対しているが、海上案には大賛成というのだから???である。 理由は簡単、海上案だと総事業費が5000〜7000億円にもなり、地元にさまざまな利権が落ちる。それらを大手ゼネコンなどから下請けし、恩恵、すなわち経済的権益をむさぼろうとしているのである。 彼らはキャンプシュワブ海上案に賛成するが、利権がすくない陸上案には大反対となる。 かくして、キャンプシュワブ海上案は、外交、軍事などという高邁な議論、政策ではなく、政治家、ゼネコン、地元住民団体の経済的な利権を確保するという観点で決まったことが良く分かる。 残念ながら日本では、あらゆる公共事業や開発行為は、すべて高邁な議論、政策ではなく、政治家、ゼネコン、地元住民団体の経済的な利権によって決まってきたが、名護市でもご多分に漏れなかったことになる。 日刊ゲンダイ 2010年3月31日号 以下は上記の記事のテキスト。
<参考>浦島悦子さんへの青山インタビュー概要 辺野古は元々、貧しい地域であり、過疎が進む地域である。基地問題が最初に起こった時、住民はあまり乗り気ではなかった。 沖縄県の南北問題は、南の那覇市を中心に豊かであり、北は貧しいという面があり、東西では西側はリゾート地であるが、東側はそのような観光地はない。辺野古地域は、南北格差と東西格差のすべてを背負っているために経済差別がある。嫌なものが全て押し付けられている。住民はそれに対する怒りを持っていた。 名護市との合併後、名護市全体の廃棄物の最終処分場が建設された。さらに基地までもが押し付けられようとしている。辺野古ではなぜ、名護市と合併したのかという意見すらある。(1970年、名護町・羽地村・久志村・屋部村・屋我地村の5町村が合併し、名護市になる)名護市との合併で、軍用地料が名護市にも入り、西側の人々のために使われていた。基地を抱える地域への恩恵が少ないと不満がある。 部落の有力者、発言力のある人は基地移転の賛成派に多かった。1人1人の声を聞くと基地移転に反対であるが、その声が反映されることはない。 沖縄の米軍基地は、戦時中に日本軍が使っていた飛行場や基地を米軍が接収したものや暴力的に土地を取り上げた所もあるが、キャンプ・シュワブは戦後、約10年経ってできたもので、「唯一、住民が受け入れた基地」と言われている。 |