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民放テレビ各局
中間決算
全社大幅減益

青山貞一

初出:独立系メディア
掲載月日:2009年11月7日
無断転載禁


 独立系メディアでは、下に示すように、昨年12月から自壊の道をひた走る大メディアと題する連作を行い、大メディア(テレビ、新聞)が抱える課題を経営面、現場から論じてきた。

◆自壊の道をひた走る大メディア 連載:2008.12〜
青山貞一:自壊の道をひた走る大メディア @朝日新聞が大赤字転落
青山貞一:自壊の道をひた走る大メディア A米大手トリビューン経営破綻
青山貞一:自壊の道をひた走る大メディア Bテレビ朝日が大赤字転落
青山貞一:自壊の道をひた走る大メディア C貧すれば鈍するテレ朝
青山貞一:自壊の道をひた走る大メディア D異常高給のテレビ業界
青山貞一:自壊の道をひた走る大メディア E時代錯誤の地デジ利権
青山貞一:自壊の道をひた走る大メディア F戦争報道と独立系メディア
青山貞一:自壊の道をひた走る大メディア G限界を超えたテレビの劣化
青山貞一:自壊の道をひた走る大メディア H草なぎバカ報道の愚
 
 筆者は、昨年12月段階で大手企業からの広告費に全面依存する大手メディアは、今後自壊の道をひた走る大メディア書き綴ったが、2009年11月5日に出そろった、大手民放キーテレビ局の中間決算を見ると、まさにそれを裏付けるものとなっている。

民放キー局5社:在京民放、全社が減収
TBS赤字 番組広告十数%減

毎日新聞 2009.11.6

 在京の民放キー局5社の09年9月中間連結決算が5日出そろった。景気低迷の影響で広告収入の落ち込みが続き、全社が減収になった。前年同期が赤字だった日本テレビとテレビ東京の2社を除く3社は最終損益も減益となり、うちTBSホールディングス(HD)は赤字に転落した。

 各社とも番組スポンサーの広告が十数%の大幅減。

 番組と番組の間に流すスポット広告も減少。ゴールデンタイムの視聴率上位3位のフジ・メディア・HD、日本テレビ放送網、テレビ朝日では回復傾向がみられるが、景気の二番底を懸念し「12月以降は見通せない」(フジ担当者)との声も聞かれる。

【望月麻紀】


民放5社、そろって減収=
テレビ広告の落ち込みで−9月中間決算

時事通信 2009.11.6

 民放キー局5社の2009年9月中間連結決算が5日出そろった。景気低迷の影響でテレビ広告の落ち込みに歯止めが掛からず、全社が減収。東京放送ホールディングス(TBSHD)は、00年に連結中間決算を開示して以来初の純損失に転落した。

 最大手のはテレビ広告収入が前年同期比11.2%減った上、カタログ通販など生活関連事業の不振が重なり、大幅減益となった。TBSHDとも本業の放送事業が振るわなかった。



出典:民放キー局は全5社減収 フジサンケイ ビジネスアイ

 大手民放キーテレビ局、すなわち日本テレビ、TBS、フジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京の5社の2009年9月の中間決算は、コマーシャル収入の大幅な落ち込みにより、キー局5社全部が減収となった。

 具体的には昨秋のリーマンブラザース倒産に端を発したトヨタ、ホンダ、パナソニック、ソニーなど大手、輸出企業の経営悪化、収益性の極度な悪化により、結果的に大手各社の広告費が大幅に削減したことによる。

 中間決算によれば、コマーシャル収入の減収は、5社で661億円に達している。

 各社毎に見ると、日本テレビとテレビ東京の2社は、番組制作費、下請けへの支払い、代理店手数料、その他の諸経費の削減などで何とか赤字を免れたものの、TBS系(正式にはTBSホールディングス)は2000年に連結中間決算を公開して以来最初の赤字となった。

 フジテレビ系(正式にはフジ・メディアホールディングス)はコマーシャル広告費が前年比で22%以上減るだけでなく、通販などの関連事業の不振により大幅の減益となった。

 さらにテレビ朝日系も、自壊の道をひた走る大メディアのBで詳述したように、テレビ放送事業そのものが振るわなかった。

 日本テレビ、テレビ東京が何とか黒字になったとは言え、本業のテレビの制作費を大幅に切りつめ、下請け製作会社に制作費を切りつめさせるなど、まさにコンテンツそのものの劣化につながることで赤字を免れただけである。

 テレビ各局は、自壊の道をひた走る大メディアのEで書いたように、JAL顔負けの高額な報酬体質(以下の表参照)にある。視聴者無視のアホバカ番組、情報操作紛いの報道など、大メディア、とくに日本のテレビ業界への批判は根強く、日本のテレビ局には多くの難関が待ち受けている。

メディア名  平均給与
TBS  1549万9000円
フジテレビ  1534万3000円
日本テレビ  1405万円
テレビ朝日  1322万円
朝日放送  1556万7000円
朝日新聞 1358万円
出典:青山貞一:自壊の道をひた走る大メディア D異常高給のテレビ業界

 いずれにせよ、テレビ各局は限られた日本企業の広告費を奪い合う展開となり、ますますトヨタ、電事連はじめ大手製造業には、報道などでものが言えぬことになりそうだ。

 独立系メディアはしっかり監視してゆきたい。