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@ 序論 ドナウ川とは |
●ドナウ川とは ドナウ川は欧州でヴォルガ川に次いで2番目に長い大河である。 ドイツ南部バーデン=ヴュルテンベルク州の森林地帯「シュヴァルツヴァルト(黒い森)」に端を発し、概ね東から南東方向に流れ、東欧各国を含む10ヶ国を通って黒海に注ぐ重要な国際河川である。河口にはドナウ・デルタが広がる。全長は2,850 kmに及んでいる。北海道から沖縄までと言ったらよいだろうか。 「ドナウ」(Donau)はドイツ語である。ローマ時代にはダヌウィウスとよばれ、英語ではダニューブ川、セルビア・クロアチア語とブルガリア語ではドゥナフ川、ルーマニア語ではドゥナリヤ川という。 このドナウ川には300を超す支流がある。このうちレヒ川・イーザル川・イン川・モラバ川・バーハ川・ラーバ川・ドラバ川・ティサ川・サバ川・プルート川などおよそ60の河川は航行が可能である。 ドナウ川の流域面積はおよそ78万km2に及ぶ。その流域には、ドイツ、オーストリア、スロバキア、ハンガリー、セルビア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ウクライナなどの国や地域の一部が含まれている。 ●ドナウ川を巡るヨーロッパの歴史 ドナウ川は、西ヨーロッパと黒海をむすぶ重要な航路として、古くから利用されていた。ローマ時代には帝国領域の北限となった。中世初期になると、ゴート族、フン族、アバール人、スラブ人、マジャール人などがドナウ川をこえて、ローマ帝国へ、そして後にはビザンティン帝国へと侵入した。 14世紀末にはじまるオスマン帝国の中央ヨーロッパと西部ヨーロッパへの進出にも利用された。 クリミア戦争の終結にともなう1956年のパリ条約によって、ドナウ川デルタ地域を管理するヨーロッパ・ドナウ委員会が設立され、船舶の航行を容易にするために、デルタ地域と下流で改良工事がおこなわれた。 第1次世界大戦後のベルサイユ条約では、ヨーロッパ・ドナウ委員会が承認され、さらに国際ドナウ委員会が発足した。 ドナウ川の諸元概要
以下では、「美しき青きドナウ」演奏の背景イメージ映像として流されたドナウ川を中心に、ドイツのドナウ川の源流からルーマニアのドナウデルタまで2840kmに及ぶ自然、文化、歴史、景観を紹介する。存分に風景を堪能して欲しい! ドナウ川はこれだけの大河であるにもかかわらず、スロバキア、セルビアなどの一部を除き大部分が自然護岸となっていることも注目に値する。 |