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次に、私達が行った現地視察について紹介しよう。 ◆「さいたま緑の森博物館」 この辺一帯は「さいたま緑の森博物館」となっており、地域には以下の看板があちこちにたっていた。この辺一帯は狭山丘陵そしてトトロの森と呼ばれる地域そのもののである。 私達が現地調査したのは、写真中、現在地とあるところより右(東)側、所沢市三ヶ島二丁目一帯である。ここには看板にあるように早稲田大学所沢キャンパスがある。 なお、以下の地図の下端にある黒い林道より下(南)は東京都の所有、管理地であり東京都水道局のフェンスとゲートがあって、湖岸や湖面には物理的に近づけないようになっていた。 写真8 「さいたま緑の森博物館」案内図 写真9 「さいたま緑の森博物館」の案内板(これは湿地近くにあった) 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8
◆現地調査ルート 要所で車を降りて視察し、写真を撮影した。また赤○内の生き物湿地は徒歩でほ木道を含めほぼくまなく歩いた。 私達が現地調査したルートはほぼ以下の赤色線のルートである。 図4 現地調査ルート図 出典:グーグルマップから池田こみち、青山貞一作成 ※6月21日になって開発予定地の詳細が分かった。これについては(4)に詳述する。 ◆湿地及びその周辺の現地視察 以下はトトロの森20号地、21号地近くの900区画墓地近くに行く道の入り口。ここには、里山平地林再生事業の看板があった。 写真11 トトロの森(里山湿地)への入り口 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 以下は湿地に向かう道。 写真12 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 緑の森博物館(仮称)の看板。奥にある柵より背後は早稲田大学所沢キャンパスの敷地である。 下が湿地にある木道。木道は2箇所ある。木が生い茂り、昼なお暗いという感じである、 写真13 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 写真14 木道にて 撮影:池田こみち Nikon Coolpix S6400 随所に看板があり湿地、鳥、植物、水生植物、昆虫などの解説があるが、どの看板も色があせているので、設置してかなりの時間が経過しているものと思われる。看板には環境省、埼玉県とある。 写真15 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 下は植物を説明する掲示板。ここにも看板には環境省、埼玉県とある。 写真16 撮影:池田こみち Nikon Coolpix S6400 さいたま緑の森博物館地域の「自然環境」は以下の通りである。 さいたま緑の森博物館は、生産農地や雑木林のある、生きた野外博物館(フィールドミュージアム)である。博物館の大部分を占める樹林地は、代償植生としてのコナラ林であり、全域にわたって分布している。コナラ林は狭山丘陵の代表的な木本群落であり、丘陵の尾根筋から斜面、谷沿いに広がり、入間市域および所沢市域まで見られる。 また代表的な谷戸には休耕田に起因する湿地が広がっている。入間市域には大谷戸湿地、西久保湿地、小ケ谷戸湿地、所沢市域には八幡湿地がある。大谷戸湿地と西久保湿地では谷戸地形の谷戸頭から谷戸尻までの距離が長く、特に湿性植物群落が分布している。湿地の植生ではミゾソバ群落、ヨシ群落、ミヤマシラスゲ群落が分布している。湿地のうち、水田して活用しているのは西久保湿地と八幡湿地の谷戸尻部分である。 博物館内の植物の種類は、埼玉県による調査報告書(1998年)によれば、123科696種が記録されている。哺乳類はアズマモグラ、アブラコウモリ、ヤマコウモリ、ノウサギなど8科11種、鳥類は32科123種、両生類はヤマアカガエルやニホンアカガエルなど6科8種、爬虫類はニホントカゲやカナヘビ、ジムグリなど5科8種、魚類は5科12種、水生昆虫は22科31種が記録されている。 出典:Wikipedia 写真17 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 生き物湿地。水鳥の楽園とある。 写真18 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 写真19 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 写真20 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 写真21 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 以下は、湿地を雰囲気を伝える渾身の一枚。 写真22 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 写真23 撮影:池田こみち Nikon Coolpix S6400 写真24 撮影:池田こみち Nikon Coolpix S6400 地域は結構起伏がある。右側のフェンスより右は早稲田大学の敷地。 写真25 撮影:池田こみち Nikon Coolpix S6400 おそらく下の写真より奥の地域が墓地計画用地と思われるが、この時点では正確に予定地を把握しておらずまだ不明であった。。 写真26 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 以下は、湿地帯へのアプローチの入り口にある産廃業者の施設。 写真27 産廃事業者敷地の入り口 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 写真5再掲 巨大墓地予定地のすぐ南にある産廃施設 出典:グーグルマップ衛星画像 湿地帯の北側には、早稲田大学所沢キャンパス(大学院の人間科学学術院とスポーツ科学学術院がある)がある。そもそも、この巨大開発を開発許可したことが今回の巨大墓地開発計画の布石となっていると思われる。大学の敷地は、365,668u(約12万坪)と巨大である。 市街化調整区域でも水源に近い地域は、巨大開発の例外を一度でも認めると、次々に開発計画が立てられる可能性が高くなる。 これは埼玉県が全く無思慮に埼玉県の農地に産業廃棄物処理施設の設置許可を次々に出し、気づいてみたら産廃銀座となり、1999年のダイオキシン騒動、事件まで何らまともな対応をとらなかったこととも共通する。 仮に制度的に開発が可能な場所であっても、計画段階の協議で埼玉県が事情をしっかり説明し、お引き取り願うのが当然のことと思える。これは公共施設であれ大学であれ同じである。大学や高等学校でも開発時点だけでなく、その後もさまざまな環境負荷を地域の自然環境に及ぼすことは間違いないからである。 所沢キャンパスにはA地区と、研究棟と湿地からなるB地区に分かれるとある。どうせなら、早稲田大学は湿地帯全部を買収し、すべて保存緑地、湿地とすべきであった。これは今からでも遅くはないだろう。この地域はいわゆるビオトープ、エコアップ研究にとってももってこいの場所であるはずだ。 件(くだん)の早稲田大学所沢キャンパスだが、聞いたところでは、知人が早稲田の学生だった頃、所沢キャンパスの話があって、別にもう一カ所、候補地があったようだが、学内の派閥、利権争いが激しく、噂では、西武の堤氏のプッシュがあり、そちらの派が最終的に巻き返して所沢になったという話があった。 早稲田大学は質的向上ではなく、量的拡大をめざし、本庄早稲田キャンパスでも広大な土地を買収している。大学キャンパスの立地なら、もっと環境面からの見識を持って対応すべきである。困ったものである。 ありそうな話である。 ※ ちなみに青山は、早稲田大学の教育学部、理工学部で環境関連の非常勤講義を 永年してきた。学生、とくに建築学科の学生にはこの種の問題に関心を持つものも 結構いたことを覚えている。 写真28 早稲田大学所沢キャンパスにある大学院 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8
永年、東京都新宿区の超狭小な早稲田大学のキャンパスを見てきたものには、広大でゆったりとしたキャンパスであるが、さりとて衛星画像で見るまでもなく、東京都民の水源地でありトトロの森を大規模伐採してキャンパスをつくったことに違いはない。 さらに近くには、埼玉県立芸術総合高等学校がある。 写真31 埼玉県立芸術総合高等学校 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 以下は、狭山丘陵に見る開発と保全の現代史 である。読めばトラスト基金が保全したトラスト地は、約4万m2 とのことである。これ自体、すばらしいことではあるが、早稲田大学所沢キャンパスひとつの敷地面積が 36万j5,668m2におよんでいることから明らかなように、ひとたび分野を問わず、開発を許すと、トラスト運動にとっても壊滅的な影響がでることになる。
つづく |