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国民投票の基礎知識
(2)一度あった原案提出

青山貞一 Teiichi Aoyama
東京都市大学名誉教授(公共政策論)
掲載月日:2017年11月3日  
独立系メディア E−wave Tokyo


 @手続の概要  A一度あった原案提出  B改正案の落とし穴
 C同床異夢の2/3  D世論調査の行方  E脱原発条項を!
 F改憲・立憲トピックス

 ところで、憲法改正はステップ1の憲法原案の国会への提出からはじまる。

 この原案の提出は、上述のように衆院、参院のどちらから国会に提出してもよいことになっている。衆院の場合は、100人以上、参院の場合は50人以上の賛成が必要となる。

◆過去(2012年)にあった憲法改正原案の国会提出

 先に述べたように、憲法改正原案は、過去、衆院で一度、「一院制」についての憲法改正原案が提案者、賛成社あわせて130名で提出されたことがある。結果的にこの憲法改正原案は、会派・政党の正式な機関承認を得ていない」という理由で、衆議院(横路孝弘議長)に受理されなかった。これは大マスコミがあまり記事にしなかったので、多くの国民が知るところにはなっていなかった。

 このときは、以下のように自民、民主、みんな、新党大地、国民新党など、共産党と社民党以外の衆議院国会議員20名により提案され、別途120名の賛成者を得ている。すなわち、衆院での要件の100名をはるかに超えて提案されたのである。

・一院制を実現する憲法改正原案(2012年4月27日)の提出者

小沢鋭仁(民主)、高村正彦(自民)、内山晃(新党きづな)、渡辺喜美(みんな)、下地幹郎(国民新党)、松木けんこう(新党大地)、田中康夫(新党日本)、鳩山邦夫(無所属)、海江田万里(民主)、額賀福志郎(自民) (※カッコ内は当時の所属政党)

 参考のため、以下に賛成者120名の議員名を以下に列記する。参議院から衆議院に鞍替えした田中康夫(新党日本)は、衆議院議員になったら「一院制」に賛成し、賛成者に名を連ねていることが分かる! またこの時点から民主党(当時)のなかに、多くの賛成者がいることもわかる。


一院制実現のための憲法改正原案(2012年4月27日提出)の賛成者

 この憲法改正原案は、130名の提案者など、法律の要件を満たしていたにもかかわらず、「会派・政党の正式な機関承認を得ていない」という理由で、衆議院(横路孝弘議長)に受理されなかった。具体的には、「機関承認がない議案は受理しない」という衆議院独特の慣行が、この憲法改正原案にも適用された。この慣行(機関承認制度とも呼ばれる)は、知る人ぞ知る、「議員立法」を妨げる要因にもなってきたものだ。

 参考:幻の憲法改正原案 なぜ葬り去られたのか 〜シンポジウム
      「憲法論議におけるメディアの責務」から〜 ヤフーニュース



つづく