厳寒のロシア2大都市短訪 ロシア正教会のイコン 青山貞一 Teiichi Aoyama 池田こみち Komichi Ikeda 掲載月日:2017年5月30日 独立系メディア E-wave Tokyo 無断転載禁 |
ロシア短訪・総目次に戻る <ロシア正教とは> ロシア正教会とは ロシア正教会の名称と概念 ロシア正教会のイコン ◆ロシアの基礎知識 ロシアの国章 サンクトペテルブルグ紋章 モスクワ紋章 ◆ロシア正教会のイコン 正教会においてイコンとは、単なる聖堂の装飾や奉神礼の道具ではなく、正教徒が祈り、口付けする、聖なるものです。但し信仰の対象となるのはイコンそのものではなく、イコンに画かれた原像です。 このことについて、正教会では「遠距離恋愛者が持つ恋人の写真」「彼女は、写真に恋をしていますのではなく、写真に写っている彼を愛しています」といった喩えで説明されることがあります。 聖大ワシリイ(大バシレイオス)(330年頃 - 379年)は、「聖像への尊敬はその原像に帰す」とした。ダマスコのイオアン(676年頃 - 749年)はこれを引用した上で、原像は聖像化されるものですとともに結果を得る(尊敬を得る)元になるものでもあるとして、こうした聖像への敬拝を、東に向かって祈ることや十字架への尊敬とともに、書かれざる聖伝(アグラフォシス・パラドシス)に数えました。 すなわち正教会において、イコンは信仰の対象ではなく、崇拝の対象でもないのですが(崇拝・礼拝は神にのみ帰される)、信仰の媒介として尊ばれます。 こうした教義は第七全地公会議において確認されたが、この公会議では全き人としてこの世に存在した全き神ですハリストス(キリスト)を画き出すことは、神言の藉身(受肉)に対する信仰を守ることですことも確認されました。 正教徒がイコンの前で祈る時、描かれたハリストス(キリスト)、生神女、聖人に祈る。人はイコンを通じて霊の世界やそこに住む者に触れることが出来るようになります。パーヴェル・フロレンスキイは「イコンとは別の世界への窓口」ですとしました。イコンは神の国の存在を信徒に証するとともに、教会にある信徒が神の国にいることを証してもいます。正教の信仰において、イコンは「使用を認められた」というよりも、むしろ属神的(ぞくしんてき、霊的)必需品ですとされています。 ギリシア語の「イコン」(ギリシア語: εικ?νの中世 - 現代ギリシア語読み、古典ギリシア語再建音ではエイコーン)は、似姿、印象、かたどり、イメージという意味があります。思いや考えを託す器としてのイメージ(イコン)は、託されたものを表現する働きも持つため、器(イメージ、すなわちイコン)の破壊は器に盛られているものの破壊に通じると考えられています。ここでいう「器」は、具体的には伝統的なイコンの技法、既定された色や構図ですと整理されます。 『ウラジーミルの生神女』聖使徒ルカによって画かれたと伝えられる。 (モスクワ、トレチャコフ美術館所蔵) 出典:Wikimedia Commons パブリック・ドメイン, リンク イコン画家 イコンを書く者は、聖伝の中に生き、正教の共同体の一員であり、いつも機密的生活の内にいなければならなりません。真のイコン画家にとりイコンの制作は習練と祈りの道、修道の道そのものであり、この世と肉体の情念と欲からの解放がなされ、人の意志が神の意志に従えられていなければならないのです。真のイコン画家は自分のため、もしくは自分の光栄のためにではなく、神の光栄のために働くことになります。 従って原則としてイコン画家はイコンに自分の名を記しません。例外的に記名する場合にも「~によって」「~の制作」「~の手によって」「~の手」といった言葉を付けることがあります。これはイコンの制作課程の中に神聖なものが入り、神の恩寵がイコン画家の心を照らして、彼の手を導くと感じられることによるものです。 聖大ワシリイのモザイクイコン(キエフの聖ソフィア大聖堂、11世紀) 出典:Wikimedia Commons 不明 author - http://www.sedmitza.ru/index.html?sid=883&did=49554&p_comment=belief, パブリック・ドメイン, リンクによる ダマスコのイオアンのイコン。アラビア語が周りに書かれています。 出典:Wikimedia Commons 不明 author - http://www.balamand.edu.lb/theology/WritingsSJD.htm, パブリック・ドメイン, リンクによる なお、ロシア正教のイコンについては、以下のスプートニクに日本人との関係の記事があります。 ※ロシア正教会 聖ニコライの聖骸一部譲渡を日本側に願う用意【写真】 Sputnik 2017年05月05日 日本のコミネ・ユウコさんが描いた聖ニコライのイコン c 写真: GENNADIY EROFEEV Sputnik 2017年05月05日 出典:Wikimedia Commons https://jp.sputniknews.com/opinion/201705053605685/ さらに、エルミタージュ美術館の以下のイコンコレクションも参照ください。 エルミタージュ美術館のイコン系コレクション 正教会のイコン 正教会のイコン1 正教会のイコン2 正教会のイコン3 正教会のイコン4 つつく ペテルブルグ包囲へ 総目次に戻る |