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   厳寒のロシア2大都市短訪

ウスペンスキー大聖堂

生神女就寝大聖堂


概要


青山貞一 Teiichi Aoyama  池田こみち Komichi Ikeda
掲載月日:2017年5月30日
独立系メディア E-wave Tokyo

無断転載禁
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 ・ウスペンスキー大聖堂
  概要    歴史    建築・外観1   建築・外観2
  内装    イコン1   イコン2


◆モスクワのクレムリン


モスクワ市の紋章

◆ウスペンスキー大聖堂 (生神女就寝大聖堂)Dormition Cathedral

 クレムリンの中にはロシア正教会の3つの大聖堂があります。ウスペンスキー大聖堂 (生神女就寝大聖堂)はそのうちのひとつです。

 モスクワのクレムリンの中にあるウスペンスキー大聖堂(生神女就寝大聖堂、Успенский Собор)は、かつてのモスクワ大公国の母教会です。同時に、ロシア正教会の著名な大聖堂でもあります。

 大聖堂はクレムリンの大聖堂広場に接しており、1475年から1479年にかけて、イタリア人建築家アリストーテリ・フィオラヴァンティによって建設されました。

 下はクレムリンの大聖堂広場なる3つの大聖堂です中央上にある4つの金色のドームをもつ大聖堂が、ウスペンスキー大聖堂(生神女就寝大聖堂)です。


クレムリンの大聖堂広場とウスペンスキー大聖堂(生神女就寝大聖堂)
出典:グーグルアースの3次元CGより

 下は別の角度から見たウスペンスキー大聖堂(生神女就寝大聖堂)です。

 なお、このクレムリンの大聖堂広場は、ロシアを代表する作曲家、ムソルグスキーのオペラ「ボリス・ゴドゥノフ」の有名な戴冠式の場面として設定されています。


別の角度から見たウスペンスキー大聖堂(生神女就寝大聖堂)
出典:グーグルアースの3次元CGより

 下はウスペンスキー大聖堂があるモスクワのクレムリンです。スペンスキー大聖堂は〇印のある位地にあります。


モスクワ・クレムリンの概要地図。 大聖堂の位置はマークされています。
Source:Wikimedia Commons
Автор: Kremlin.ru, CC BY 4.0, Ссылка


 ロシア語名 Успенский собор"(ウスペンスキー サボール)の前半部をそのまま転写してウスペンスキー大聖堂ともばれています。英語ではDormition Cathedralと言います。

 "Успенский"(ウスペンスキー)は、「眠り」「永眠」「生神女就寝祭」を表す"Успение"(ウスペニイェ)に由来しています。

 生神女(しょうしんじょ)とは正教会における聖母マリアを指す称号であり、日本正教会による訳語生神女就寝祭とは生神女の永眠を記憶する祭であり、これを記憶するのが生神女就寝聖堂です。したって日本語訳すると「生神女就寝大聖堂」となります。

 聖母被昇天の教義はカトリック教会のものであり、正教会では「被昇天」の語は用いずあくまで「就寝」との語を用いています。


2010年現在のクレムリン(モスクワ)のウスペンスキー大聖堂(生神女就寝大聖堂)
Source:Wikimedia Commons
Bin im Garten - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, リンクによる


 以下は現地で撮影したウスペンスキー大聖堂(生神女就寝大聖堂)です。


ウスペンスキー大聖堂(生神女就寝大聖堂)
撮影:池田こみち Nikon Coolpix S9900 2017-2


<用語解説>

◆生神女(しょうしんじょ、Богородица, Theotokos)とは


 生神女とは「神を生みし女」を意味します。ロシア正教会におけるイエスの母マリアに対する敬称でし。一般に言われる聖母マリアの事ですが、日本正教会では聖母という表現は用いられず専ら「生神女」「生神女マリヤ」「生神女マリア」との表現が用いられます。生神女マリアを単に聖母マリアという語に限定してしまうのは誤りであるとされています。正教会では生神女マリヤを神の母・第一の聖人として位置付けています。

ウラジーミルの生神女とは

 ウラジーミルの生神女は、正教会のイコンです。ロシア正教会で最も有名な生神女マリヤ(聖母マリア)のイコンのひとつであり、世界中の正教会で広く崇敬され模写され続けている代表的な生神女のイコンのひとつとなっています。西方教会でも用いられることがあります。

 このイコンは「ウラジーミルの聖母」とも呼ばれる事がありますが、正教会では聖母マリアの事を生神女マリヤもしくは生神女と呼ぶのが一般的であり、このイコンについても正教会では「ウラジーミルの生神女」(Theotokos of Vladimir)が正式な名です。

 正教会では特定のイコンを記憶して聖堂を建てその名称とすることがありますが、このイコンを記念して建設された聖堂(ウラジーミルの生神女聖堂)も存在します。


イコン『ウラジーミルの生神女』
Source:Wikimedia Commons
不明 - ГТГ, パブリック・ドメイン, リンクによる


◆生神女就寝とは

 生神女就寝は、イイスス・ハリストスの母である生神女マリヤ、マリヤの永眠を記念する正教会の祭日です。正教会の十二大祭の一つで毎年8月15日[5]に祝います。ここでは「就寝」はギリシア語Успение ギリシア語: Κο?μηση, 英語: Dormitionの訳語です。

 ローマ・カトリック教会の聖母被昇天の大祝日(8月15日)に対応するが、正教会ではローマ・カトリック教会のような聖母被昇天の教義はありません。


生神女就寝祭のモザイクイコン
Source:Wikimedia Commons
Autor: No machine-readable author provided. Marsyas assumed (based on copyright claims). – No machine-readable source provided. Own work assumed (based on copyright claims)., CC BY 2.5, Odkaz


生神女とは

 東方正教会での用語です。イエスの母マリヤの称号であり、ギリシア語「テオトコス」(Theotokos、 神を生む者)の訳でし。カトリック、東方正教会、コプト正教会などがこの教義を共有しています。

 テオトコスはエフェソス公会議でキリスト教教義として確立しました。マリヤはキリストの母(キリストスコス)ですが神の母ではないとしたネストリウス派は異端とされ、教会から分離されます。イランを拠点に東方へ進出し、中国で景教として知られました。

 ネストリウス派を除き、古代からの連続性をもつ伝統的キリスト教においては、神イエスへの強力な執り成し者として信仰の対象となり、その誕生、永眠(就寝と呼ぶ)などの生涯の出来事が祭として祝われています。

出典:コトバンク


◆ロシア正教会の他の生神女就寝の類似寺院

 実は、ウスペンスキー大聖堂(生神女就寝大聖堂)の類似のロシア正教会の協会には、以下のものがあります。

 このうち、ここで扱っているのは、生神女就寝大聖堂 (モスクワ) - モスクワのクレムリン(ロシア)にある大聖堂であり、クレムリンは世界遺産の一部となっています。

 ・生神女就寝大聖堂 (ウラジーミル) - ウラジーミル(ロシア)にある大聖堂。
   世界遺産「ウラジーミル とスーズダリの白亜の建造物群」の一部。

 ・生神女就寝大聖堂 (スモレンスク) - スモレンスク(ロシア)にある大聖堂。
 ・生神女就寝大聖堂 (モスクワ) - モスクワのクレムリン(ロシア)にある大聖堂。
   クレムリンは世界遺産。

 ・生神女就寝大聖堂 (トゥーラ) - トゥーラ (ロシア)にある大聖堂。

 ・生神女就寝大聖堂 (ドミトロフ) - ドミトロフ(ロシア)にある大聖堂。
 ・生神女就寝大聖堂 (プリョス) - プリョス(ロシア)にある大聖堂。
 ・至聖三者聖セルギイ大修道院 - 修道院内で最大の大聖堂が生神女就寝大聖堂。

 私たちは今回の旅行では、最終日に生神女就寝大聖堂 (スモレンスク) を訪問しています。以下はその生神女就寝大聖堂 (スモレンスク) の写真です。

 下は、生神女就寝大聖堂 (スモレンスク) の写真です。


 以下は、現在のノヴォデヴィチ女子修道院の敷地内にあるスモレンスクの生神女就寝大聖堂です。


ノヴォデヴィチ女子修道院にあるスモレンスクの生神女就寝大聖堂
Source:Wikimedia Commons
A.Savin (Wikimedia Commons · WikiPhotoSpace) - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, リンクによる


 なお、以下は、至聖三者聖セルギイ大修道院 - 修道院内で最大の大聖堂が生神女就寝大聖堂です。この大聖堂は「白亜の大聖堂」と呼ばれています。


ノヴォデヴィチ女子修道院のの生神女大聖堂(左)
Source:Wikimedia Commons 
By Sergei Prokudin-Gorskii - This image is available from the United States Library of Congress's Prints and Photographs divisionunder the digital ID prok.00028.This tag does not indicate the copyright status of the attached work. A normal copyright tag is still required. See Commons:Licensing for more information., Public Domain, Link


 下は、至聖三者聖セルギイ大修道院内、生神女就寝大聖堂の夜景


至聖三者聖セルギイ大修道院内、生神女就寝大聖堂の夜景
Source:Wikimedeia Commons
Kliment A. K. S. - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, リンクによる


 私たちは、2009年、デンマーク、バルト三国(リトアニア、ラトヴィア、エストニア)経由でフィンランドに行ったとき、以下のウスペンスキー大聖堂を視察しています。このときも真冬、風が非常に強く体感温度は低く、閉口しました(笑)。


黄昏時のヘルシンキの生神女就寝大聖堂(フィンランド正教会)
Source:Wikimedeia Commons
Jrielaecher - http://en.wikipedia.org/wiki/Image:UspenskiAtNight.jpg, パブリック・ドメイン, リンクによる


つづく