メアリー・ステュアートの足跡を追って スコットランド2200km走破 風力以外の再生エネ開発 Renewable Enetry Development other than Wind Power Energy 青山貞一 Teiichi Aoyama 池田こみち Komichi Ikeda 2018年12月10日公開 独立系メディア E-Wave Tokyo 無断転載禁 |
スコットランド総目次へ* ホワイトリー風力発電 スコットランド再生エネ開発 風力以外の再生エネ計画 せっかくなので、以下に風力発電以外の再生エネルギー開発の状況について報告したい。 <水力発電> 現地調査で分かったこととして、スコットランド北部山岳地帯(ハイランダーという)には、中小水力はじめ水力発電の適地がいたるところにあると思えた。もちろん、景観重視のスコットランドを考慮してもである。 以下は、景観を考慮した比較的大規模な水力発電のイメージ図である。 http://www.reuk.co.uk/UK-Hydro-Power-Stations.htm 以下は今回の現地調査で確認した水力発電所の一部である。 スコットランド北部のハイランダー地域にあった水力発電所 撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S8 2012-7-22 <波力・潮力発電> 2020年までの将来計画でも、再生可能エネルギー、とりわけ自然エネルギーの中核はドイツ同様、風力発電にあるが、今後、スコットランドの海洋地形からみて、潮汐、潮流発電、波力発電も非常に有力であり、さまざまな意味で日本が参考にすべき地域(国)と言えそうだ。 スコットランドの地形。北東部の地形に着目 出典:グーグルマップ 潮力エネルギー実験施設の告知板 下の写真はスコットランド企業がポルトガル海域に設置している波力発電システムのファームである。 たくさんの鯨のように見える赤い装置が潮力発電システムであり、長いものでは180mもある。今後、これら波力発電システムが本格稼働を開始すれば、周辺を海で囲まれているスコットランドやUKで主要な電気エネルギーを供給することになるであろう。 記事によると、以下のシステムは将来、スコットランド全体の電力消費の10%をまかなう可能性があるとしている。 システムは波力だけなのか、上層潮流+風による波浪をエネルギー源としたものなのか以下の写真からだけでは分からない。 スコットランド企業がポルトガル海域に設置している波力発電システムScottish company Ocean Power Delivery is building the worlds first commercial wave farm off the northern coast of Portugal. Source:Tide Turns in Scotland、Maritime Journal スコットランド最初の波力発電ファーム Pelamis on site at EMEC, the planned location for Scotland's first wave farm. Source:https://wikimili.com/en/Pelamis_Wave_Energy_Converter#Pelamis_at_EMEC.jpg 下はスコットランドのオークニー島近くで稼働中の波力発電システムの動画である。 Source:E.ON Pelamis machine in Orkney, April 2012, YouTube
下はスコットランドの会社が開発している同じ潮力発電でも海の中に沈めるタイプの発電装置である。このシステムはスコットランドで商用第一号の潮力発電のようだ。 スコットランドの海の中に沈めるタイプの発電装置 Source:Scotland’s first commercial tidal power array given consent スコットランド政府の承認を得た10MW規模の潮流発電システム Source:10MW tidal power station gets Scottish government's approval 設置している場所は、グラスゴーの西にある「Sound of Islay」である。 設置している場所は、グラスゴーの西にある「Sound of Islay」 出典:グーグルマップ
下の写真はスコットランド製の設置前の潮流発電装置である。 Source: Scotland boosts tidal, cuts biomass <その他の自然エネルギー開発> 一方、下図はスコットランドの首都、エジンバラにおける季節毎の日照時間である。スコットランドの日照時間は雨、霧など天候不順が多く少ないが、太陽光発電ではなく、太陽熱利用は日本の太陽熱温水器に類する設備が使われている。 エジンバラにおける季節毎の日照時間 今回訪問したスコットランド議会の屋上にもスコットランド製の太陽熱温水器が設置されている。 スコットランド議事堂 撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 2012-7-24 一方、スコットランドにおける地熱利用は、地熱発電ではなく地熱そのものを利用するプロジェクトが稼働している。何でもかんでも電気エネルギーに変換するのではなく、熱をそのまま利用したり、ヒートポンプを利用することで有効利用するプロジェクトがある。 以下は、スコットランドのエネルギー産業図である。北部地域は北海油田関連、水力、波力、潮力、南部地域は主に風力発電関連産業が多いことがわかる。 スコットランドのエネルギー産業の概要、 ENERGY POLICY: AN OVERVIEW、Scotland’s Energy Industries Source: Scotland Government ひるがえって、日本では政官業学報がつくった「原発安全神話」のもと、危険きわまりない原発を狭い日本各地に立地してきた。 その結果、風力、波力、潮力、地熱などひとつひとつは小さくともまとまると原発を凌ぐ自然エネルギーや生ゴミ、下水汚泥から出るメタン発酵ガスによる発電などが、ことごとく軽視され、国の巨額の予算が原発分野ばかりに投入されてきた。 以下は、そのスコットランド、日本の北海道地方、日本の東北地方、私達がこの間、廃棄物資源化政策に関連し何度も行っているカナダのノバスコシア州(この州の名前は、ラテン語であり、英語ではニュースコットランド)の3地域の面積と人口を比較したものである。
見ておわかりのように、スコットランドは日本の北海道や東北に近い地域である。 今後、自然エネルギーの研究開発をして行く上で、大いに参考になる地域と言えよう。 さらに、今回は訪問しなかった、スコットランドとグリーンランドの中間にあるアイスランドは、日本同様、火山活動が活発な地域であり、地熱発電が非常に盛んだ。 私が理事をしている環境アセスメント学会の学会誌では、次号で、この地熱発電を大きく特集し、アイスランドにおける地熱発電も事例で取り上げる。また開発に際して必要となる自然環境、自然景観への配慮についても論文を掲載する予定である。 ところで私達は10年前から、廃棄物政策では、先進国で脱焼却、脱埋め立てをほぼ達成している上記のカナダ・ノバスコシア州の諸政策を日本や東北地方で生かすべくカナダ大使館、ノバスコシア州政府、ハリファックス広域市、地元NPO/NGO、企業、大学などの協力を得ながら、日本でのゼロ・ウェイストの実現に向けてその普及に努力してきた。 ノバスコシア州旗 スコットランドと白、青がひっくりかえっている がそっくりである カナダとノバスコシア州の位置(カナダの東端) 出典:Wikipedia 2003年2月、はじめてノバスコシア州に現地調査ででかけたときの一枚 左から池田こみち、青山貞一、広田次男(いわき市在住環境弁護士) 2月は厳寒でマイナス10-20度であった! 場所はノバスコシア州の世界遺産、ルーネンバーグの漁港 すでにスコットランドで実用化しているが有機廃棄物、下水汚泥を発酵させメタンガス化した上でガスを直接したり、発電タービンを回す方法もある。 今後は、自然エネルギー政策の促進について、スコットランド政府、エジンバラ、グラスゴー、インバネスなどの関連市町村と連携をとって行きたいと思う。 「アロウェーの公園」につづきます スコットランド総目次へ* |