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メアリー・ステュアートの足跡を追って
スコットランド
2200km走破


セラフィールド核廃棄物再処理工場1

Sellafield Nuclear fuel reprocessing facility 1

青山貞一 Teiichi Aoyama  池田こみち Komichi Ikeda
2018年12月10日公開
独立系メディア E-Wave Tokyo 無断転載禁


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セラフィールド核廃棄物再処理工場1 
セラフィールド核廃棄物再処理工場2
セラフィールド核廃棄物再処理工場3

出典、翻訳等について

 本稿では、現地調査時に入手した資料、撮影した写真以外に、概要、歴史などでは日本語、英語のWikipediaを、また写真についてはWikimedia Commonsを、さらに地図についてはグーグルマップ、ストリートビューを使用しています。その以外については逐次出典を付けています。さらに、Wikipedia の英文版など外国語版などについては、逐次池田、青山が日本語訳しています。

 今回のスコットランド及び北イングランド現地調査のひとつの目的は、同地域における原子力関連施設の状況を調査することにありました。

 コッカーマスに宿泊した翌日、私たちはコッカーマスを南下し、世界的に有名な核燃料廃棄物処理施設を視察し、その後、これも世界的に有名な湖水地方を通ります。

 現地調査の実質最終日、イングランド北西部の沿岸にある有名な核燃料再処理工場であるセラフィールド工場を現地視察しました。


<湖水地方にセラフィールド工場が..>

 調査の対象地域は、英国のいわゆる湖水地方にあり、湖水地方はピーターラビットの作者ビアトリクス・ポターが愛した非常にすばらしい自然景観がある地域でもあります。

 実際、工場周辺地域は、広域にわたり秀逸な自然、自然景観が存在する地域でしたた。

 なお、湖水地方については別途以下を執筆しています。

  湖水地方1  湖水地方2  ワーズワース・ロマン派詩人


写真:英国北西部の湖水地方のイメージ
撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S8


写真:英国北西部の湖水地方のイメージ
撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S8


写真:英国北西部の湖水地方のイメージ
撮影:池田こみち、Nikon CoolPix S10

 その湖水地域の一角に、有名な核燃料再処理工場であるセラフィールド工場があります。

<セラフィールド工場の位置>

 まず、下図で大まかな位置が分かるでしょう。セラフィールド工場は、宿泊先からA595を南に行ったアイリッシュ海に面するシースケールという町の近くです。

英国におけるセラフィールド工場の位置

 現地調査の実質最終日となる2012年7月25日、私達は宿泊先であるイングランド・カンブリア州カーライルから30kmほど南に下ったコッカーマスを出発し、A595を南西に向かいました。

 下の地図は、コッカーマスからシースケール近くにあるセラフィールドまでの道順を示しています。


撮影:青山貞一 カシオ EXIMIL


出典:グーグルマップ

 下のグーグル地図(衛星画像)はA595とセラフィールド工場の位置関係を示しています。セラフィールドは巨大な施設であり、エグルメントを過ぎベッカーメットに入るやいなや視界に飛び込んできました。


出典:グーグルマップ

<セラフィールド核燃料再処理工場とは>

 英国北西部の一角に位置してアイリッシュ海に臨む核燃料再処理工場群からなるこの施設は、その操業開始からというもの、北欧にまで至る広域的な海洋汚染や幾度もの事故を背景とした周辺住民らへの深刻な健康被害などから論争を引き起こしてきました。

 20世紀後半頃からは受け入れ使用済み核燃料の全収容量の4分の1近くが日本からのものと想定されていたほど日本との関わりが深く、2010年からは中部電力との独占契約状態にありました。その中部電力の管理下にある浜岡原発の2011年における全面停止に伴い存続の危機が指摘されていまっす。

 なお、以下は技術面から見たセラフィールド工場についての説明です。

①セラフィールド第1工場

 セラフィールド工場は、イングランドの北西部カンブリア州のアイリッシュ海に面する海浜に位置する。英国の再処理技術の開発は、第二次大戦の終わり頃に始まった、フランス、カナダとの協力によるプルトニウム回収に端を発する。

 当時、既に溶媒抽出法の研究が進められ、英国は、溶媒にジブチルカルビトール(通称「ブテックス」)を使用するブテックス法(Butex)を開発した。ウインズケール(後にセラフィールドと改名)第1工場(B204:処理能力 天然ウラン500トン/年)は、ウインズケール・プルトニウム生産炉(黒鉛ガス炉、GCR)の照射済燃料要素を処理するため、建設された。

 使用済燃料(長さ約300mm、直径25mmの棒状金属ウラン)のアルミ被覆は、ダイスを貫通させることにより取り除かれ、金属ウラン燃料部分は硝酸により連続的に溶解される。溶解液中のプルトニウムは、スルファミン酸第1鉄溶液により原子価3価に還元し、ウランと分離した。プルトニウムの精製には、リン酸トリブチル(TBP)回分式溶媒抽出法、キレート(ベンゼンを希釈剤としたテノイルトリフルオロアセトン(TTA)溶媒を使用)回分式溶媒抽出法が採用されたが、後にTBP連続式溶媒抽出法(ミキサーセトラー抽出器)となった。

 一方、ウラン精製には、ミキサーセトラによるブッテクス法が採用された。本工場は、1952年から運転を行ってきたが、安全性の観点から1964年に運転を停止した。


写真:セラフィールド工場全景

②セラフィールド第2工場

 1955年、英国の原子力発電計画がマグノックス炉(コルダーホール型:ガス炉)を使用することで発足し、これに対応する再処理工場の新設が必要とされた。マグノックス燃料の被覆(マグネシウム合金)は、貯蔵プールの水中で短期間に腐食するので早期の再処理が求められた。

 このため第2工場(B205:処理能力 天然ウラン1500トン/年)が建設され、1964年から稼働した。これまで改良、補強を加えて操業を続けており、累計約30,000トンの使用済燃料を処理している。

 本工場は、機械的脱被覆、改良型連続溶解、TBP-ケロシンを使用する3サイクルの溶媒抽出によるウラン、プルトニウム分離精製が主プロセスとして採用された。使用済燃料の脱被覆は、燃料棒の曲がりを考慮して単純なダイス式から3個の回転刃(そろばんの珠状)を持つバナナの皮剥きのような機構に変更された)。

 1985年から、POND-5と呼ばれる新しい燃料受入れ・貯蔵(850トン)・脱被覆施設が旧施設に代わって稼働している。

表 セラフィールド使用済核燃料再処理工場

出典:AEA


<セラフィールド工場の変遷>

 ここで撮影したセラフィールド核燃料再処理工場の写真と動画を示しましょう。

 以下は今回撮影したセラフィールド工場の遠景です。



 一方、下の写真は相当以前に撮影したセラフィールド工場の写真です。両者を見比べると明らかに異なる点があることが分かります。もちろん、撮影した角度が異なることを差し引いてです。

 何かと言えば、今回撮影したセラフィールド工場には、以前あった3~4つの原子炉が存在しないことです。


http://www.visitcumbria.com/wc/sellafield-nuclear-reprocessing-facility.htm


http://www.visitcumbria.com/wc/sellafield-nuclear-reprocessing-facility.htm


http://www.visitcumbria.com/wc/sellafield-nuclear-reprocessing-facility.htm


http://www.visitcumbria.com/wc/sellafield-nuclear-reprocessing-facility.htm


<セラフィールド工場の近景>

 私達は、この後、A595からさらにセラフィールド工場近くに向かいまし。以下は、撮影した動画を静止画化したセラフィールドの施設の写真です。


撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S8


撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S8


撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S8


撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S8


撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S8


撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S8

 以下は上記のもととなっている動画です。


動画撮影:青山貞一 Yashika HD 2012-7-25

 以下はアイリッシュ海に撮っとも近いセラフィールド工場の壁にある看板です。


撮影:青山貞一 カシオ EXIMIL

 下の写真の緑の先はアイリッシュ海です。


撮影:青山貞一 カシオ EXIMIL


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