鷹取 敦 |
●特集:チェ・ゲバラ&フィデル・カストロ 青山貞一:ゲバラの生涯を4時間超で映画化「チェ」鑑賞記 青山貞一:革命家・チェゲバラ Che Guevara's Speech At the United Nations(English) 青山貞一:米国の経済封鎖、オバマ大統領は封鎖解除を! 青山貞一:革命家 フィデル・カストロ 青山貞一:チェ・ゲバラの世界観、国際主義と国連演説 革命家 チェゲバラ 新作映画2本 鷹取敦:「チェ」2部作鑑賞記 週末を利用して、ラテンアメリカの革命家チェ・ゲバラの2つの異なる時期を描いた映画「チェ 28歳の革命」(Che The Argentine、Che Part One)、「チェ 39歳 別れの手紙」(Che Guerrilla、Che Part Two)を見に行った。 昨年、フィデル・カストロのキューバ国家評議会議長と軍最高司令官引退がニュースになったのとは異なり、チェ・ゲバラが死んだ年に生まれた私にとってゲバラは同時代に生きることのなかった歴史上の人物であり、これまで強い関心を持ったことはなかった。そのため、彼の人となりも生き方についての認識もなく、Tシャツ等に描かれるイラストに象徴される漠然としたイメージを持っていただけだった。 今回の映画はそのような人物が(映画とは言え)「生きている」姿を見ることが出来る絶好の機会であり、また、世界中に経済的にも軍事的にも政治的にも影響を与えつづけている米国に対峙するラテンアメリカの人々の生き様を見るべし、と思ったのが今回の一番の切っ掛けである。 前編である「28歳の革命」は、有楽町のTOHOシネマズシャンテで見た。この映画館はそれほど大きくないが、事前にインターネットでチケットを座席指定で購入出来るため、安心して出かけ快適な席で見ることが出来た。土曜日の15:25からの回で上映開始までに席は一杯になっていた。 後編である「39歳 別れの手紙」は翌日に渋東シネタワーで見た。こちらは14:00の回で前日のことを考えて早めに行ったが、渋谷という場所柄のせいか、比較的大きな劇場であるためか、かなり入りは少なめでやや寂しかった。 3月にキューバに視察に出かけるという友人が、神奈川県内で「28歳の革命」を見た時には30前後の若い人で満席だったそうだ。関心の高さは年代によって大きく違うのかもしれない。自分が生きているこの瞬間とつながっているという実感を持てるかどうか、によっても関心の持ち方は違うだろう。 「同時代を生きることのなかった」と上記には書いたが、依然として同じ問題を抱えつづけている、この同じひとつながりの時代を生きる1人として、希有な人物であるゲバラの対照的な2つの時期を描いたこの2本の映画に、私はとても大きな期待を持った。そして期待以上に多くの刺激を受け、感銘を受けた。 チェ・ゲバラの重い喘息をかかえながらも自分を厳しく律し、部下には厳しいながらも愛を持って接し、正義と信じるものに献身的に生きた個人としての生き方はもちろんのこと、個人と集団の関わり方、国民と国家の関係のあり方、大国(この映画では超大国である米国)と周辺の国の関わり方、国際社会のあり方など、幅の広い示唆を受ける映画であった。 特に印象的なのは対照的な前編と後編の違いであった。そもそもこの映画は後編から企画され後編だけでは分かりにくいので前編が作られたという。まさに前編をみたからこそ、後編の経過とその背景、そして結末が際だっていた。私が2日連続で映画館に足を運びたいと思ったのはこのためであった。 自分の生きているこの時代・社会、そして自分の生き方についてあらためて考えるきっかけを与えられた作品だった。 この映画は、予めキューバ革命の経緯を知っている必要があると言われたが、私もその通りだと思う。私はこの映画に関心を持つそもそものきっかけとなった青山貞一氏の以下の一連のコラムを予め読んでおり、とても参考になった。映画を見に行こうという方にもそうでない方にもご一読をお薦めしたい。 革命家・チェゲバラ再考 http://eritokyo.jp/independent/aoyama-col13905.htm チェゲバラの世界観国際主義と国連演説 http://eritokyo.jp/independent/aoyama-col13906.htm 革命家 フィデル・カストロ http://eritokyo.jp/independent/aoyama-col13907.htm 革命家 チェ・ゲバラ新作映画2題 http://eritokyo.jp/independent/aoyama-col13996.htm ゲバラの生涯を4時間超で映画化チェ鑑賞記 http://eritokyo.jp/independent/aoyama-col13999.htm |