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ゼロウエイスト政策の
核心としての堆肥化
世界の実情(2)米国

青山貞一
20  July 2010
独立系メディア「今日のコラム」
無断転載禁


◆米国カリフォルニア州サンフランシスコ市

 北米では、ゼロウエイスト政策を実施しつつあるアメリカ合衆国、米国のサンフランシスコ市でも、郊外に生ごみ堆肥化センターを立地している。


サンフランシスコ市のゼロウエイスト政策担当者と議論する池田さん。
市役所にて

Photo: Komichi with SFO staff in San Francisco City Office
撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S10 at SFO Environmental Divison office in San Francisco, California

 サンフランシスコでも、ハリファックスと類似したバックヤード・コンポスティング(庭先コンポスト)が実施されている。


サンフランシスコ市のコンポスティング

<参考>
◆青山貞一・池田こみち: E3日目:サンフランシスコ市役所
◆池田こみち・青山貞一:米カリフォルニア州サンフランシスコ湾岸地域のゼロウエイスト動向〜現地視察及び情報交流を通じて〜
環境行政改革フォーラム論文集 Vol.1、No.2

◆米国カリフォルニア州

 実は米国におけるこの種の試みは、何もサンフランシスコ市だけではない。サンフランシスコ市の隣のオークランド市も現在、ゼロウエイスト政策進行中である。さらにロサンゼルスの南にあるサンディエゴでも3Rの一環として生ごみの堆肥化が行われている。このようにカリフォルニア州全体でゼロウエイスト政策が進行中なのである。

カリフォルニア州統合廃棄物管理法
 カリフォルニア州では1989年に制定された州法(The California Integrated Waste Management Act)、Assembly Bill 939により、1995年から2000年の間に最低でも郡市町村毎に廃棄物の50%以上を資源に転換(Divert)することが義務づけられている。
 その方法は、いわゆる3R、すなわち@発生抑制、A再利用、B再資源化のいずれかによってである。これらの目的を達成するため、州、市町村は廃棄物の資源化を民間企業などとパートナーを組み実施する。そして現在、すべての市町村や郡は、2006年を初年度として新たな削減目標を義務づけられている。

●ゼロ・ウエイスト・カリフォルニア(Zero Waste California)
 カリフォルニア州では、州内の各市町村、郡などの基礎自治体に対し、ゼロ・ウエイストを理念とし、それを具体化するために廃棄物の発生抑制、3Rなどの政策を推奨している。同時に上述のカリフォルニア州統合廃棄物管理法を州法として制定し、それを根拠に具体的な廃棄物削減目標を示すなど、世界的に見ても先進的な環境政策を実践している。


 ※カリフォルニア州のゼロウエイスト

◆米国カリフォルニア州オークランド市

 サンフランシスコやバークレイには若干後れを取ったが、オークランド市はこれからゼロ・ウェイスト計画の実現に向けて取り組んで行くとのことだ。

 現地調査で会ったオークランド市の担当者は、持参した2006年11月28日につくったゼロウエイスト戦略計画をもとに説明してくれた。

 計画によれば商業・業務・物流・業務などの産業廃棄物と家庭系廃棄物を合わせ1990年当時58万トンあった年間のゴミ処理量は2005年(現状)で40万トン、2010年で30万トン、2015年で15万トン、2020年に4万トンに削減させる計画になっている。

 人口約40万人の米国を代表する都市としては、非常に大胆な計画である。ちなみに2005年では、上記の廃棄物総量のうち家庭系廃棄物の割合は33%である。家庭系ゴミのうちシングルファミリーは23%、マルチファミリーの割合が10%となっている。

 ゼロウエイスト計画では、ゴミの排出削減とリサイクル、3R市場の創造、中小企業リサイクルとそれへの技術支援、廃棄物削減のためのパートナーシップの確立、環境ビジネスの創造、有機物市場の創造などがある。施策としては、補助金をゴミ削減のためのインセンティブにシフトさせること、製造過程の改善による廃棄物発生の削減、環境ビジネスの持続的育成、小売業者・消費者への情報提供、ゴミ問題・環境問題に強い消費者づくり、製造者責任の強化、資源回収のための土地利用、資源再利用分野での雇用創出などがあり、いずれも工業、物流、業務、商業などをまきこんだ廃棄物政策となっているのが特徴だ。

 そのオークランド市は、現在、生ゴミや調理済みの有機物を堆肥化し農家などに提供する堆肥化事業を市内、2,3ヶ所で試験的に行いだしているという。


オークランド市政策担当者、グリーンアクション代表と。オークランドにて
Photo: Komichi and Teiichi with city staff in Oakland
撮影:Nikon CoolPix S10 in Oakland, California



オークランド市政策担当者、GAIAのスタッフと。オークランドにて
Photo:Komichi and Teiichi with city staff in Oakland
撮影:Nikon CoolPix S10 in Oakland, California

<参考>
◆青山貞一・池田こみち: B2日目:オークランド市役所・バークレーNPO
◆青山貞一・池田こみち: F3日目:バークレー環境NPOs


◆米国カリフォルニア州サンディエゴ市

 以下は、筆者のサンディエゴ現地報告である。

 まず、サンディエゴ市民が持参した不要な庭木や葉をグリーン有機物のコーナーに下ろす。多くの市民がそれぞれ来ている。


市民は持参した庭木や葉をグリーン有機物を下ろす
撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10


有機物を車から下ろし終わったところ
撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10


多くの市民が庭木、間伐材などを下ろしているところ
撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10


建設廃材のチップ化施設
撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10

 集められた樹木、破砕、木くづなどの有機物は、広大な敷地の一角を使って野天でコンポスト化される。なにしろ広大なのと、いわゆる家庭用に生ゴミではないので悪臭問題はそれほど問題ないようだ。区画を決め、順次、重機を使いかき混ぜ、温度、湿度管理をすることにより露天で堆肥化している。


露天で堆肥化
撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10

 コンポストコーナーに行く。そこに市の係員がいて、先ほど貰った伝票をチェックする。チェック完了後、持参したプラスチックの大きなバケツに自分のスコップでコンポストを入れる。これは庭木などを持参した市民は無料だが、何も有機物を持参せずコンポストをもってゆく場合は有料となる。これについては先に示した料金表を参照のこと。

 また、もしゲートでチェックを受けず、伝票をもっていない場合は、コンポストは有料になるとのことだ。簡単に言えばコンポストの原料を持参した人は、できあがったコンポストが貰える仕組み、ギブアンドテイクとなっているわけである。



コンポストコーナー
撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10


別のコンポストコーナー
撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10


持参したスコップでバケツに家庭園芸用にコンポスト
を入れているところ

撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10

<参考>
◆青山貞一:サンディエゴ市の循環型社会づくり@
◆青山貞一:サンディエゴ市の循環型社会づくりA

つづく