A Field Trip on Environmental Mission, Strategy and Policy
in State, Cities and NPO/NGOs in California, March 2008

3日目:サンフランシスコ市役所
青山貞一 Teiichi Aoyama  池田こみち Komichi Ikeda
March 2008 転載禁
カリフォルニア環境紀行:3日目:サンフランシスコ市役所 全体概要  初日;SanFrancisco
2日目:SanFrancisco(Greenaction) 2日目:Oakland City-Berkeley(GAIA) 2日目:SFO Down Town
3日目:SFO Golden Gate Park  3日目:City of SFO  3日目;Berkeley(Urban Ore, GCM)
4日目:San Pablo Bay  4日目: Sacramento(State EPA, State Assembly, State University)
 5日目:LakeTahoe South  5日目:LakeTahoe North   5日目:Sacramento Old Town
 6日目:Altamont Path(Wind Farm)  6日目:SantaCruz & Half Moon Bay
 番外;Flower

◆2008年3月26日(水)

 翌水曜も朝10時にサンフランシスコのダウンタウンにあるグリーンアクションのオフィスに出かけた。

 少し早めに出たので、まずは、前日に行こうとして行けなかったゴールデンゲート公園に向う(これについては SFO Golden Gate Park をご覧頂きたい)。

 ところが、道が難しくて結構時間がかる。高台にある公園は緑が多く、市民の憩いの場となっている。

 朝は、お年寄りの散歩やジョギングの人も多い。桜やいろいろな花が咲き出していてとてもきれいだ。小鳥の声もいろいろ聞こえて、バードウオッチングにも最適。そこを一回りして、シビックセンターに向った。

 水曜日は毎週、シビックセンターの周辺の広場で、市場が開かれ、周辺の農家などから新鮮な野菜や果物、加工食品などが持ち込まれ、テントで店を出している。この周辺にはこうした店がないため、住民にとっても便利な市場となっているという。値段も手ごろだ。


シビックセンターの国連広場で毎週水曜日に開かれるマーケット
撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S108 at SFO


シビックセンターの国連広場で毎週水曜日に開かれるマーケット
撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S108 at SFO

 10時にオフィスに行くと、事務所は週末に行うコミュニティ健康調査の準備で大忙し、アンドレアの準備ができるまで少し待っている。

 アンドレアが私たちをサンフランシスコ市の廃棄物担当者のところに連れて行ってくれる。

 シビックセンター広場の朝の市場を一巡し、Green Actionのオフィスに戻るとアンドレアの準備が整ったようだ。一緒に、すぐ近くのサンフランシスコ市役所環境担当のオフィスにでかけた。シビックセンターは議事堂があることもあり、役所のオフィスが集中している場所だ。

 グリーンアクションの事務所からわずか2ブロックほど歩いて着いた環境部リサイクル担当のオフィスは、外観はまるでNGOのオフィスのような佇まい。


SFO環境部リサイクル担当のオフィス。アンドレアと
Photo: Komichi in Recycle Plaza of San Francisco City Office
撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S108 at SFO Environmental Divison office in San Francisco, California

 受付のホールには女性が一人いるだけで、壁にはたくさんの関連パンフレットや資料が並べられ、またごみを再利用してつくった「ドレス」が展示されていた。まるで、子供部屋のような明るく楽しいエントランスである。


サンフランシスコ市のリサイクル展示上にて。アンドレアと
Photo: Komichi in Recycle Plaza of San Francisco City Office 
撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S108 at SFO Environmental Divison office in San Francisco, California

 しばらく待つと、恰幅のよいおじさん、Kevin Drew氏(Residential and Spacial Project Recycling Coordinator)が忙しげに現れた。一緒に二階のオフィスへ。ちょうど留守だった局長室を使わせてもらうことに。


Kevin Drew氏(Residential and Spacial Project
Recycling Coordinator)
撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S108 at SFO Environmental Divison office in San Francisco, California

 「何を飲む?サンフランシスコは国立公園からのおいしい水が自慢なんだ。水はどう?」と言うと、大きなジャーに水を入れ、透明プラスチックのコップとともに、テーブルにおいた。


トウモロコシでつくったCompostable Plasticコップ
Photo: Komichi with SFO staff in San Francisco City Offide
撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S108 at SFO Environmental Divison office in San Francisco, California

「このジャーは我々の新しい商品なんだ」と「I Love(ハート)SF」のマークが入ったガラスのジャーと、堆肥化が可能なプラスチック(トウモロコシでつくったCompostable Plastic)製のコップを指さした。「このごろはみんなペットボトルで水を買うが、地元にはおいしい水道水があるのになぜなんだろう。無駄だね。」と話が弾む。「生分解性プラスチック?」と聞くと、「いや、BiodegradableではなくCompostableなんだ」とだんだん話に熱が入っていく。


サンフランシスコ市の廃棄物政策担当者と。市役所にて
Photo: Komichi with SFO staff in San Francisco City Office
撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S108 at SFO Environmental Divison office in San Francisco, California

 サンフランシスコ市はベイエリアでももっとも早くゼロ・ウェイストに向けた取り組みを始めたリーダー格である。人口およそ80万人、まさに大都市である。カリフォルニア州法が定めた目標(リサイクル率50%達成)を実現するため、いち早く条例を制定し、2010年までに75%のリサイクルを実現することを義務づけ着実な取り組みをスタートさせた。

 すでに事業系一般ごみについては、その目標を達しているという。埋め立てをなくし、資源をリサイクル・リユースするための仕掛けを怒濤のようにまくし立てるKevinさん。彼は民間の環境NGOの出身で、今は市役所の職員だが、カナダでもこうした人材の流動性が硬直化した役所の体質を変え、ごみ問題のように市民に密着した政策を進める上でとても大きな役割を果たしているという。

 もっとも印象的かつ衝撃的なエピソードは、レジ袋廃止に向けた取り組みである。ノバスコシアでは飲料容器のデポジット制導入をめぐり、大手飲料メーカーが州政府を訴え、最高裁で州政府が勝利したという快挙があったが、ここでは、レジ袋メーカーが市を訴えるという事態に発展した。

 結局、市は大手スーパーでのプラスチック製レジ袋の使用を禁止する条例を可決し、大論争となったが、この春3月27日に条例が可決され、ようやく決着したようだ。レジ袋禁止条例は、サンフランシスコからはじまり、ボストンやポートランド、フェニックスなど米国各地にも広がり、今やパリやロンドンからもノウハウを求めにくるほど世界的な広がりを見せているという。

 そして、なによりもごみの半分近くを占めていた生ごみ(有機物)を分別し、堆肥化を進めたことだ。ノバスコシア同様に、生ごみはグリーンカート、資源物はブルーカート、埋め立てごみはブラックカートの3分別を徹底し、成功に結びつけている。市役所は仕組みを作り、市民や事業者に徹底して情報提供、教育を行い、実際の事業は民間が行うというノバスコシア同様のシステムが機能している。

 我々は焼却に依存する日本の実態を説明し議論した。Kevin氏は「こんなに燃やしている日本はもうどうしようもない!」と頭を抱えて下を向いてしまった。サンフランシスコ市に「焼却処理」という選択肢は全くなかったのかを尋ねると、彼ははっきり次のように答えた。

「将来、焼却処理という選択肢は残されている。しかし、それは最後の選択であり、それを選ぶ前にやること、やれることがたくさんある。今まで埋め立ててきたごみを分別し徹底的に資源化を減らし、処理しにくい物を減らすことで、埋め立て量を圧倒的に減らすことができ、コストも削減できる。」と。

   ●訪問先:サンフランシスコ市(City of San Francisco)
     議論相手:環境・廃棄物・リサイクル・ゼロウエイスト部門者
     議論及び情報収集内容:
     (1)サンフランシスコ市の廃棄物・リサイクル政策、施策の歴史
     (2)サンフランシスコ市のゼロウエイスト政策と具体的実践
     (3)脱焼却、脱埋め立ての経緯
     (4)生ゴミ、有機物の堆肥化、各種容器デポジット化、ポリ袋禁止政策
     (5)ゼロウエイスト政策と市民活動支援
     (6)議論

 インタビューを終えて、広場に戻ると、お昼時でもありお馴染みのファストフードの店には列ができ、みなお昼時には外でランチを楽しんでいた。お花屋さんもありにぎやかだ。


シビックセンターの国連広場で毎週水曜日に開かれるマーケット
撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S108 at SFO


シビックセンターの国連広場で毎週水曜日に開かれるマーケット
撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S108 at SFO

 午後1時前、アンドレアと一緒に再び、バークレイに向う。今回は車だ。ベイ・ブリッジを渡る。行き先は、アーバン・オール(都会の鉱山)。自動車以外のあらゆる物をリユースしている民間業者を訪ねる。

 約束の時間より少し早くついたので、同じエリアにあるチョコレート製造工場を覗いてみた。甘いチョコレートの香りが漂う工場だが、見学する時間はなく、売店でお土産を少し買った。空港でも売っている著名なチョコレート屋の製品を少しだけ安く買えて得した気分。

 そして、アーバン・オールへ。


サンフランシスコ・ベイエリア周辺地図

 つづく

カリフォルニア環境紀行:全体概要  初日;SanFrancisco
2日目:SanFrancisco(Greenaction) 2日目:Oakland City-Berkeley(GAIA) 2日目:SFO Down Town
3日目:SFO Golden Gate Park  3日目:City of SFO  3日目;Berkeley(Urban Ore, GCM)
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