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就任以来、数ヶ月で露呈した菅総理と菅政権の無能ぶりについて、以下に羅列してみた。 もっぱら、このことは、自民党の政権末期から毎年のように代わってきた日本の総理のすべてに言えることかも知れない! ◆リーダーシップ・ガバナンス・危機管理能力のなさ 就任前後から尖閣列島問題、次いで北方領土問題、閣僚失言問題などで自民党参議院が政策、予算議論そっちのけでネチネチかつ激しく責め立てたこともあるが、菅総理はおよそ一国の代表にあるまじき総合的な能力、資質のなさが顕著となっている。 さらに総理にとって絶対不可欠なリーダーシップとガバナンス、さらに危機管理能力のなさも次々に露わになっている。 もっぱら上述のようにこれは菅総理だけの問題ではなく、自民党末期の3総理や鳩山首相にも妥当する重要課題であるだろう。 またあらかじめ分かっていたこれらの事実に目をつむり、代表選挙時に徹底して菅氏をサポートした大メディアの責任、さらに言えばそれらの影響を受け、菅氏に投票した地方議員票、サポーター票にも致命的な課題が残る。 地方議員が統一地方選挙を見越した自己保身で菅氏に投票したとしたら、それだけで議員になる資格はないだろう。 菅総理のリーダーシップとガバナンス、さらに危機管理能力のなさが国会、予算委員会、法務委員会、国連、EPPなどの場で次々露わになるに及んで、大メディアによって演出、誘導された菅政権の当初支持率は、11月中旬時点で半分以下の30%を切る危険ラインに突入している。事実、12月には20%台に落ちている。 ※青山貞一:日本の恥さらし、菅総理の国連演説 ◆あらゆる場面で「政治とカネ」問題を利用した保身的な政権維持 これは大メディアそして自民党にも大きな責任があるが、上述したようにあらゆる面で無能、資質を問われることを知りながら、反小沢、脱小沢の一点でまともなビジョンも政策もない菅総理が政権を維持しようとしてきたことはきわめて遺憾である。 一方、代表戦で敗れた小沢氏は、その後も「政治とカネ」問題などで大マスコミと自民党を中心とした野党に針小棒大に悪者扱いされ続ける。 しかも、憲法違反の可能性が大きな検察審査会制度の改悪と運用により、今や日本が生んだ希有の政治家を政治の場から葬り去ろうとしている。これほどばかばかしいことはないだろう。 もちろん、理念も実務能力もない菅政権の化けの皮がはがれるのは時間の問題である。 実際、次々に化けの皮がはがれてきた。 それでも大メディア、自民党だけでなく、民主党内の約半分の議員は、ろくに何が個別具体に違法であり、問題であるかについて学習することもなく、何かといえば「政治とカネ」問題を振りかざしている。 立法府にいる議員やそれを監視すべき立場にある大メディアが、法律、法理をろくに勉強もせず、ことあるたびに「政治とカネ」問題で政策より政局づくりをしてきたことは、国民にとってこれ以上不幸なことはないだろう。 菅総理は「石にしがみついてでも...」と述べたが、以下にこれに関連したツィッター情報を紹介する。 「石にしがみついてでも」って菅首相自ら言ってるように、菅政権の連中の頭の中は「何が何でもこの地位に!」だけなんだよなあ。ご要望次第でどこにでも、御用聞き政権。ただし、御用聞きに行くところは決まっております。 またある市民団体のリーダーは 「菅という男は思想のない、理念のない、単に世俗的な出世欲が強いだけのきわめて低俗な男であることがはっきりした」と述べていた。まさにその通りだろう。 <参考> 青山貞一:崖っぷちの民主党に提言する@ 青山貞一:崖っぷちの民主党に提言するA 青山貞一:崖っぷちの民主党に提言するB ◆米国追随以外の新たな国家・外交ビジョンがまったく見えない もとより、菅政権は一国の総理としての国家ビジョン、国のかたち、国のあり方とそれに関連する政策が不明朗であり、見えない。 自民党との本質的な違いが見えない! 菅総理には外交面、防衛面で日本をどういう国にしたいのか? 米国一辺倒、米国盲従路線を変えるのか? 政権交代前、国民が民主党政権に大きく期待したものの中には、米国一辺倒路線からの脱出があったはずだ。 ※ カレル・ヴァン・ウォルフレン:アメリカとともに沈みゆく自由世界 EU諸国やアジア諸国との関係、台頭が著しい中国やアジア諸国との関係をどうしようとしているのか? 安い労働賃金や単なる経済的市場としてだけみるのか? 小沢氏が中国、鳩山氏がロシアとの間に築いてきた関係を生かすことなく、逆に尖閣列島問題、北方領土への大統領視察に見られるように、関係は改善されるどころか悪化している。しかも、明確な対応、リーダーシップがとれていない。 ◆ベトナム戦争以上の泥沼に落ち込む米国に追随する愚 そもそも米国は経済、財政で死に体状態にある。オバマ政権は誕生直後からイラク問題、アフガン問題で致命的な失政を行ったと言える。 もともとジョージW.ブッシュ大統領によるテロを利用した中東地域へのエネルギー収奪を軸とした新植民地主義に関わる本質的問題を理解せず、イラクからアフガンに数万の米軍を移させる政策をとった。 ※ 青山貞一:アフガン戦争とエネルギー権益 岩波書店「世界」 菅総理、菅政権がもつ不可解さは、沖縄県普天間基地の代替施設問題に象徴的に現れている。 上述したように国民の多くが民主党を中心とした政権交代に大きな期待を持ったのは、日本の米国盲従政策からの脱出にあったはずだ。誰の目にも明らかな米国経済や財政の死に体化、すでに米ドルは基軸通貨でなくならざるを得ないのが今の時代である。 米国を邪険にする必要はないものの、日米安保50周年の年に、こともあろうか冷戦構造時代に類する米国追随政策の延長で同盟関係を強化するなどと公言するのは明らかに間違いである。 この点については、官僚らの前に力及ばずとなったが、鳩山総理はそれなりの理念、ビジョンをもっていたと思える。防衛論での小沢氏の国連中心主義やこれからは米第七艦隊で十分論もその一環といえる。 世界情勢が変化し、米国の世界戦略が再編される中で、米国盲従と利権に満ちた自民党案(名護市辺野古案)を根底から変えると小沢氏、鳩山氏が会見などで明言していたではないか? ◆矛盾に充ち満ちた沖縄政策 だがどうだろう。 鳩山氏が普天間基地問題で総理を辞任するや、菅氏は日米同盟の強化、普天間飛行場代替施設の名護市辺野古への移設という自民党時代の利権以外のなにものでもない案を実質追認したのである。 だが、地元名護市では移設反対派の市長が誕生し、市議会議員選挙でも反対派が多数を占めている。さらに来週行われる沖縄知事選挙では、どの候補も県外、海外移設を明言している。 公有水面埋め立て事業は知事が承諾しない限り不可能である。自分が総理になるために、菅氏は不可能なことをリップサービス的に米側に伝えた。これほど沖縄県人をバカにした話しはないだろう! 仲井間前知事の言動は当てにならないが、もし、伊波全宜野湾市長が沖縄県知事に当選したら菅総理はどうするのだろうか? 伊波全宜野湾市長は、菅氏同様、大学時代理系を専攻していた。伊波氏のこの問題に寄せる社会的使命感、情熱、行動力はただものではない。しかも、菅氏と異なりしゃっきり、すっきり頭脳明晰である。米国の地球規模での軍事再編を英文で読み解き、航空部隊を含む海兵隊のグアム移転を米国の国家環境政策法の法理と実務(戦略的アセスメント、立地環境影響評価など)などからしっかりと解析している。これほどの人材は今の日本の市町村長にはいないと思えるほどだ。 しかし、その伊波氏が2009年晩秋に民主党政権に説明に来たとき、岡田、北澤両大臣は伊波氏をまともにとりあわず、米国べったりの長島政務官らも鳩山総理にとりつぐどころか足蹴(あしげ)にしていたのである。 ※ 伊波洋一(宜野湾市長):普天間基地のグアム移転の可能性について ※ 普天間基地のグアム移転の可能性について(パワーポイント版) もはや北部経済開発など、カネで沖縄県のほっぺたをたたくような政策は不可能である! つづく |