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実感!
<自律神経・免疫機能・内分泌機能>
ホメオスタシス三角バランスの大切さ!



青山貞一


24 May 2011


 この分野、ひさびさのブログです。

 昨年11月に自宅の階段から落下し、首の骨を折り、慈恵会付属大学病院に20日間入院した。

 これについては、以下に詳細を書いた。

青山貞一:九十九死に一生 @階段落下事故の現場について

 さらにUstreamの動画でも前編、後編にわたり話ししているので、ご関心がおありの方は、ぜひご覧頂きたい。

青山貞一:頸椎骨折〜事故発生から事後検査まで〜前編  Ch 10  
青山貞一:頸椎骨折〜事故発生から事後検査まで〜後編  Ch 10 

 さて、今日のブログは、その術後談である。

 昨年11月の慈恵医大付属入院では、頸椎骨折の大手術をしなければならないという至上命題もあり、私の持病、気管支喘息を徹底的に押さえ込まなければならなかった。

 脳神経外科の主治医とは別に、呼吸器系専門医の指示もあって入院中は毎日、プレドニン(ステロイド)を2週間以上にわたって6錠(毎日)摂取した。

 毎日6錠のプレドニンを飲んだ威力と連日の酸素吸入、気管支拡張吸入などの効果もあって、入院時酷かった気管支喘息は完全にコントロールされた。そして無事、発作を起こすことなく頸椎骨折の大手術に成功したのである!

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ベトナムホーチミン出張

 退院後の今年2月、ベトナムのホーチミン市に出張した。ホーチミンには昨年11月に行く予定で航空券まで購入し行くだけとなっていたが、何しろ首の骨を折ってしまい、まさに生死をさまようことになった。

 そんなことでホーチミン市行きは断念せざるを得なかった。

 ホーチミン市に行ってみて驚いたのは、その経済の成長、発展ぶりだ。

 同時にすごい大気汚染に閉口したが、何とか調査が終了した。


市内はバイクが川のような流れとなっている


ホーチミン市の戦争証跡博物館の庭にて

◆青山貞一・池田こみち:ベトナム・ホーチミン市短訪


●南イタリア出張

 ベトナムから帰国後、2011年3月に入り、今度は9日からイタリアに出張した。この出張も首を折る前から周到に準備してきたものだ。

 3月9日、成田からアリタリア航空でローマに入り、その日のうちにナポリ空港に入った。

 イタリアについては、数年前、ほぼ同じ時期に、同じ場所に行っているのだが、南イタリアの中心ナポリは思いの外寒かった。

 そして到着した日から風邪を引いてしまった。

 私の場合、風邪を引くと直ぐに持病の気管支喘息が一気に、そして極度に悪化する。

 ナポリ中央駅前に予約したホテルは、翌日以降の調査に備え、とりあえず泊まるトランジットホテルなので、なるべく便利な場所、そして安いホテルということで、中央駅前に予約していた。

 場所は世界遺産の歴史地区といえば聞こえはよいが、駅前の安ホテルである。

 古いビルの3階にホテルがあったが、3階とはいえ、日本的に見ると実質5階の高さがある。

 しかも、古いビルなのでエレベータがない。

 到着直後の深夜、15kg近い重い荷物を持ちながら実質5階まで上がる。それだけで、動悸、息切れが激しくなってしまった。

 このときすでにひどいゼイゼイ、ハーハーとなっていた。しかも、深夜なので寒い。

 翌日、ナポリをレンタカーで巡回したが、ナポリは坂の町、行く先々には坂や階段がある。

 一旦、喘息モードになると、どうしても気管支拡張剤を多用することになり、結果的に循環器に負担をかけることになった。これも動悸、息切れの原因のひとつである。

 ナポリ、ソレント、アマルフィ海岸、サレルノなど、南イタリに都合8日間滞在し現地調査したものの、風邪、喘息、動悸、息切れの症状は悪化の一途となった。平地を歩くことは出来たが、階段となると非常に厳しい。


南イタリアのサンタニェーロ近くにて  撮影:池田こみち


南イタリアのサンピエトロにて  撮影:池田こみち

 イタリア滞在中は2日ほど雨や嵐に見舞われたが、総じて天気は良かった。

 しかし、いかんせん気温が低く免疫機能が低下していた。

 しかも、イタリアは周知のように国民全体が反原発の法律を国民投票で通しているほどの国だから、ホテルを含め節電モード。アマルフィ海岸ではまともなホテルでも暖房が弱く、寒さから体の免疫機能は下がる一方だった。

 福島原発大事故の影響で3月18日、アリタリアの飛行機は、当初の成田着が11時間遅れ、最終的に大阪の関空に到着した。新幹線に乗り継ぎ、何とか品川駅からタクシーでやっとのことで自宅に戻った。

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沖縄現地調査

 大学の卒業式(3月19日の学位授与式)に間に合わせるため、何とかイタリアから帰国したが、これも当初からの予定で3月下旬に毎年行っている沖縄県に鷹取さんと出かけた。

 だが、ここでも風邪気味で、喘息、動悸、息切れの症状はまったく改善されない。
 
 思うように調査もできないくらいだ。持参したビデオカメラを鷹取さんに渡して撮影してもらうことが続いた。


沖縄県にて  撮影:鷹取敦


沖縄県にて  撮影:鷹取敦

 もちろん、この間、風邪を治す努力、喘息発作を直す努力をしたものの、従来の対応ではほとんど効果が無かった。

 そのうち動悸、息切れだけでなく、体重もどんどん減少しはじめた。

 慈恵医大病院に入院する前55キログラムあった体重は、退院時に52−53キログラムまで減っていたが、沖縄から帰った時点で、さらに50キログラムそこそことなってしまった。

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●福島いわき市現地調査

 4月中旬に入って、福島県いわき市在住の友人、広田弁護士からの依頼で、池田さん、鷹取さん、坂元弁護士等と福島県いわき市の津波被災地を2日間訪問した。

 風邪、喘息、動悸、息切れの症状は依然として改善しない。

 東京都市大学での授業終了後の金曜夜、横浜から東京、つくばと車で行った。つくば市在住の坂本博之弁護士と合流するためだ。

 つくばの東横イン(ホテル)に宿泊した翌日、車で常磐自動車道でiいわき市に向かった。

 福島での現地視察は、すべて車だったので、ほとんど歩くこともなく、何とか現地調査と弁護士相手の講演会の講演を終え、車で東帰京した。


小名浜港にて  左から長瀬弁護士、青山、池田さん 撮影:鷹取敦


なんとか講演は行った 撮影:鷹取敦


福島原発から東京に向かう放射線シミュレーション
青山貞一講演 撮影:鷹取敦

◆青山貞一:いわき市被災地視察+福島原発事故シンポ報告

◆池田こみち:福島県浜通り いわき市平薄磯地区 被害の実態 

◆鷹取 敦:いわき市被災地 現地視察


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●ゴールデンウィークの北軽井沢

 そうこうしているうちに、2011年のゴールデンウィークになった。

 毎年、私たちはGWに環境総合研究所(東京都目黒区)の北軽井沢別荘に一週間で欠けている。

 今回は、池田さんに車の運転をお願いし、青山研究室の学生2名を連れ北軽井沢の別荘にでかけた。

 これも昨年から計画していたものだった。いつも私の授業などを多面的にアシストしてくれている学生を連れて春の浅間山麓、白根山麓を歩き回ろうという計画であった。しかし、滞在中はものすごい黄砂、それに何しろ寒い。


民主党政権下なのに、こんなポスターがやんば館
(国土交通省広報センター)に堂々と張られていた!
民主党もなめられたものである
撮影:池田こみち

 現地では昼でさえ気温は高くても14度程度、早朝は5度前後とこの時期としては異常に寒かった。

 地元の人に聞いたら例年よりサクラの開花が2週間遅れているという。

 周知のように免疫機能は、体温が低下するとどんどん低下する。北軽井沢滞在中は、連日、温泉に入るも、どうしようもなく寒く、最後は何と100mも満足に歩けなくなってしまった!

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●今までに経験したことがない喘息、動悸、息切れ

 イタリア帰国時から、今までにない喘息、動悸、息切れの症状の原因は何なのか調べた、知人の医者にも聞いた。グーグルでも徹底的に調べた。

 そこで最初に考えたのは気管支拡張吸入剤の多用による心臓など循環器系への負担、また心臓そのものの疾患などである。

 もちろん、それらもあるかも知れない!  さらに肺炎や最悪肺ガンはじめガンについても疑った。

 もちろん、通常の医薬はすべて毎日摂取してのことである。

 途中からは循環器系の医薬も摂取した。

 そして、5月10日以降、喘息、動悸、息切れの症状は改善されなかった。


 以下は動悸、息切れの原因と思われる病気。ただし、黄色部分が自覚症状

●1 自律神経失調症の可能性
動悸などの症状は特に午前中が酷い。

全身のだるさや目眩もする。

●2 甲状腺機能亢進症などの可能性
動悸や疲労感がある。
甲状腺の腫れを感じる。
発汗、眼球突出、不眠。
心当たりのない体重の減少。


●3 貧血の可能性
運動したあとの動悸・息切れを感じる。
血色が悪い(顔色や爪等)。
立ちくらみがある。

●4 過換気症候群やパニック障害の可能性
突然息苦しくなる。
精神的に追い詰められると症状がでる。
心配事や緊張すると症状がでる。

●5 心不全の可能性
突然息苦しくなる。
横になると余計症状が酷くなる。

●6 慢性気管支炎・肺気腫(COPD)の可能性
運動後の動悸・息切れが気になる。
運動後の咳が長く続く。
全く吸わない!周囲にも吸ってる人が居なく動悸・息切れ
長い咳、痰の症状がある方は気管支炎や肺炎の可能性


●7 不整脈の可能性
運動後でなくても動悸や息切れが起きる。
脈の乱れを感じる。(欠けたり、遅くなった)

●8 更年期障害の可能性
40代以上。
動悸息切れの他、頭痛や肩凝り
目眩など様々な症状が伴う。

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●大きなヒント

 さらにグーグルである文献を見ていたら、ひょっとしたら私の症状が甲状腺のホルモン異常に似ていることが分かった。また自律神経失調症も関係ありそうだ。

 この症状は30−40歳台の女性に多い病気らしい。

 世に言ういわゆるバセドー病である。手術でなく投薬で2ヶ月ほどかけ直すとある。重篤になると死亡することもあるとある。 

 以下のような症状も見られると書いてある。

 すなわち少し歩くだけで動悸、息切れがあり、酷く発汗する。バスや電車の中で酷く発汗する。安静時でも脈拍が1分に100以上ある。動悸がある。
 
 専門的には低カリウム血症から低カリウム性周期性四肢麻痺になる。あらゆる臓器が常に全力疾走しているのと同じ状態になり大量のエネルギーを必要とする。

 心臓機能の亢進から収縮期高血圧と頻拍、時に心房細動を来たす。新陳代謝の活発化から発汗過多を来たす。内分泌のバランスが崩れて精神的に不安定になる。高熱、頻脈、嘔吐、下痢、意識障害などを来す。

 NHK総合の番組を見ていたら、まさに女性の甲状腺ホルモン異常問題を特集していて、やはり動悸、息切れ、発汗、激やせなどを症状としていた。

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 実はここに大きなヒントがあった。

 私の症状は、免疫機能の低下や循環器系への負担もあるだろうが、おそらく内分泌機能、さらに自律神経系に関係があるのではないかと言うことである。

 上に掲げたバセドー病は、症状は喘息、動悸、息切れとして表れるがその主たる原因は甲状腺ホルモンの分泌異常にある。そのホルモンの分泌を制御しているのは言うまでもなく、自律神経である。
 
 自律神経は、いうまでもなく内臓諸臓器の機能を調節する遠心性機序と内臓からの情報を中枢神経系に伝える求心性の機序という2つの系からなっている。

 「自律神経系」は循環、呼吸、消化、発汗・体温調節、内分泌機能、生殖機能および代謝のような不随意な機能を制御している。

 また自律神経系はホルモンによる調節機構である内分泌系と協調しながら、種々の生理的パラメータを調節しホメオスタシスの維持に貢献している。 近年では、自律神経系、内分泌系に免疫系を加え「ホメオスタシスの三角形」として扱われることもある。

 実は、私は有害物質、とくに重金属類の体内摂取に伴う疾病、たとえば、化学物質過敏症などを説明する際、自律神経系、内分泌系に免疫系を加え「ホメオスタシスの三角形」として扱われることをあちこちで話していたことを思い出したのである。

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●自律神経系、内分泌系に免疫系を加え「ホメオスタシスの三角形」

 
要約的に言えば、私の動悸、息切れ、発汗、激やせなどの症状の主因は、自律神経系、内分泌系、免疫機能系の3つにあるのではと考えた。

 免疫機能については、体温を上げる努力として入浴の方法を変え、友人からの薦めでニンジンュース(長女さんが臨床医)、また鉄分不足を起きなうためひじきなどを摂取するようにした。

 自律神経系は、交感神経と副交感神経の2つの神経系からなっており、双方がひとつの臓器を支配することも多く(二重支配)、また、ひとつの臓器に及ぼす両者の作用は一般に拮抗的に働く(相反支配)。

 第二頸椎を骨折したとき、慈恵医大の専門医は中枢神経系だけでなく脊髄もまったく損傷を受けていないと診断しており、首周辺の交感神経が少しでも損傷を受けたとは聞いていなかった。

 となると、最終的に残るのは内分泌、すなわちホルモン系である。

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 5月中旬、私は考え抜いた後、あることに気づいた。

 それは慈恵医大病院でプレドニンの錠剤を毎日6錠飲まされた。これは吸入ではなく、錠剤だから気管支喘息の消炎に大きな効果を発揮するとともに、内臓各所にステロイド剤(ホルモン剤)としてさまざま作用する。周知のように、ステロイドはプラスもあるが副作用も多い。

 入院時、錠剤のプレドニンで喘息が制御され、大手術が行えたのだが、20日間退院後、入院前に摂取していた錠剤のステロイド剤であるリンデロン錠をまち医者がくれ忘れていたことを思い出した。もちろん、気管支喘息用の吸入タイプのステロイド剤はもらっており、吸入していた。

 ひょっとすると、入院前、毎日0.25mgほど摂取していた経口薬のリンデロン(=ホルモン)の摂取を術後止めたことが、自律神経系、内分泌系に免疫系を加え「ホメオスタシスの三角形」を壊しているのではないかと考えた。

 とくに内分泌系についてである。


出典:青山貞一、有害物質と体内環境の安定より

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 そこでまち医者から昨年11月以前のように錠剤の経口リンデロンを処方してもらい、一回目、0.5mgの錠剤を2錠、連続して3日間摂取してみた。実はリンデロンの0.5mgはプレドニンの10錠分ほどの効能があるので、2錠はかなりの量となる。

 何と、2日目から、自宅の階段を1階から2階、2階から3階に上れるようになった。しかも、以前のように動悸、息切れ、発汗は大幅に減ったのである。

 3日目からは1日1錠に減らしたが、みるみる体調は改善し、自宅では1階から3階まで一気に上っても動悸、息切れがほとんど無くなった。夢のような話だが、事実である。

 ゴールデンウィーク以降、毎日、大学まで来るまで妻に送迎してもらっていたが、5月下旬からは自分で徒歩で4つの路線を使い自宅まで往復出来るようになった。この間節電であらゆるエスカレータが止まっているが、信じられないことに歩いて駅の階段も上れるようになったのである。

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 高齢で喘息になってこの方、自分にとって前代未聞の動悸、息切れ、発汗、激やせなどの症状だったが、何とその原因は内分泌系にあり、大手術以前に摂取していたリンデロンの経口剤がそれなりに「ホメオスタシスの三角形」を調整してくれていたことになる。

 たまたま術後、一切経口ステロイドを一切摂取しないことが「ホメオスタシスの三角形」のバランスを壊し、動悸、息切れ、発汗、激やせなどの深刻な症状をもたらしていたようだ。

 長くなったが、私の今回の経験は、自分自身、64年の人生で最も厳しく深刻なものだったし、症状からみると実に多くの原因が想定されるものであるが、その実、循環器系、呼吸器系というより「自律神経系、内分泌系に免疫系を加え「ホメオスタシスの三角形」のバランスの崩壊が原因であったと言えよう。