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◆はじめに 本論考は、2010年11月9日未明に自宅で起きた頸椎骨折事故とその後の検査、入院、手術、退院までの詳細を記述したものである。論考では、いわゆるInformed Consentに留意した。 この手の事故が起きるリスクは日常空間至る所にあるといってよい。頸椎が骨折するような場合には、死亡、全身麻痺、下半身麻痺のいずれかになることが圧倒的である。 私の事故では、九死に一生どころか九十九死に一生の幸運で中枢神経、脊髄、主要な末梢神経、動脈などへの損傷が免れた。しかし、頭を支える第2頸椎が骨折したことで、大手術をすることになった。 ぜひ、読者の皆さんも本論考をお読みになり、同じような事故に遭遇しないよう十分お気をつけいただきたい。 ◆階段落下の事故現場について ひょんなことから東京都港区芝の御成門にある東京慈恵会医科大学付属病院の脳神経外科で頸椎(第2頸椎)の大手術を受けることになった。 2010年11月9日深夜、自宅3階の書斎・寝室から2階のトイレに行く途中、階段を数段踏み外し、フローリングの板に頭と首を強打、首の骨を折ってしまった。自宅の階段は建築以来、何万回と上下しているのだが。
★自宅書斎兼寝室見取り図解説 しかも、落ちたのはわずか数段(おそらく3段)。 その後、診察に当たった慈恵医大の2人の専門医師は、私を診断後、「青山さんは、まったく手足などでの受け身したあとがない」と指摘された。 となると、数段の階段を踏み外したあと、私の後頭部と首が直接フローリングの床に激突したことになる。 私は一切飲酒はしない。数段とはいえ、頭からフローリングの床にダイビングしていたことになる。 下は自宅のその階段の写真である。ただし、この写真は2階から1階に向かう途中のものだが、ほぼ同じ階段が3階から2階に向かう途中にあり、その下から数段から踊り場のフローリングに落下したことになる。 この写真は以前、95歳になる実母が同じ自宅の階段(2階から1階に降りるとき)で足を折ったときに医者から頼まれ自宅のバリアフリー状況調査をした時、撮影したものだ。このとき骨折した母は東京都品川区五反田にあるNTT病院(旧関東逓信病院)で手術を受けた。恥ずかしながら親子それぞれ骨折したわけだ。 落下した階段と類似の写真。これは2階から1階を見た場合 出典:バリアフリー調査時に青山貞一が自宅で撮影 東京都品川区小山にある自宅は、鉄骨3階建ての店舗併用住宅、私自身が概略設計し競争入札で建築してもらった。 写真のように要所に手すりを付けていたが、階段が右側にL字型に折れる部分には構造上手すりを付けるのが難しく、手すりを付けていなかった。 そこで落下している。 下の写真は3階から2階につながるフローリング床の踊り場である。写真奥左に2階のトイレがある。光っている部分のフローリング床に頭から落下し、後頭と頸椎を強打したことになる。 落下した2階の踊り場(フローリング) 奥左に2階のトイレがある 出典:バリアフリー調査時に青山貞一が自宅で撮影 以下が退院後の12月3日に青山が撮影した3階から2階に降りる事故現場である。 右に回る部分には手すりがないことが分かる。事故は深夜2−3時に起きているので照明は暗かった。なお、落下時は就寝中にコンタクトレンズを外しており、2階トイレに行く際もはずしている。靴下やスリッパは未着用だった。 3階から2階に降りる階段の落下部分の写真 出典:青山貞一、Nikon Cool Pix S8 2010.12.3 下は反対の角度から見た落下現場。写真右が3階から2階に降りてくる階段である。右端から左のフローリング床に頭から落下したことになる。 右側階段の下から3−4段上から左側フローリングに落下したと推定 出典:バリアフリー調査時に青山貞一が自宅で撮影 深夜、落下した後、妻と息子が音で気づき、「お父さん」「お父さん」と私を呼んでいることで、おそらく落下から1分後だろう。呼びかけで自分がどうなっているかが分かった。 激烈な痛さの中で私がすぐさましていたのは、「手足のしびれ」の有無、「手足の骨折・ねんざ」の有無、「記憶の有無」などだった。専門的に言えば、中枢神経系、末梢神経系の損傷を自己診断していた。 痛さの中での自己判断では、しびれはなく、手足、指の骨折もなく、記憶も問題なかった。だが、後頭部の末梢神経系がおかしい。それよりなにより首を動かすと激痛が走していた。 なお、激突した自宅のフローリング床材の硬度だが、下の表にあるように広葉樹のピンカド・タガヤサンは桐を1とすると6と最硬度に近く非常に堅いことも分かった。フローリング床とはいえコンクリート床に近い硬さがある。
◆第二頸椎の骨折・陥没 翌日朝、妻に付き添われて自宅近くにある旗の台脳神経外科に朝一番行った。品川区や大田区など城南の住民がこの種の怪我などで、最初に検査を受けに行く病院だ。 金曜日午前の宿直医師の指示で、すぐにCT検査を行った結果、最初は「青山さんとくに問題はないようです」と医師が話した直後、医師が再度コンピュータモニター画面をクリックし、何10枚ある断層写真を食い入るように見た結果、 第二頸椎(だいにけいつい、英語でSecond Cervical Spine、医学分野では通称C2と読んでいる)が折れていることが分かった。階段からの落下により首、正確には第二頸椎を折っていたのである。 医師は確認のためMRI検査を指示した。検査画像は明らかに第二頸椎が折れていることを示していた。 私の第二頸椎は折れただけでなく陥没してしまった。第二頸椎の一部は通称のど仏と言われている。まさに一生に一度の大不覚である! 当直の若い脳神経外科の医師は、東京都港区にある慈恵医科大学付属病院の脳神経外科に所属していた。医師は診察後、すぐに大学の同僚医師に電話連絡し、明日朝一番、私が慈恵医大に外来で行くことを伝え、紹介状を書いてくれた。その手際の良さには感服した。手術を含め2〜4週間の入院が必要だと言われた。 ◆第二頸椎とは 下は頸椎の位置や形状を示す模型である。通常、人間などほ乳類には7つの頸椎があるそうだ。頸椎は上部から下部にかけ第一頸椎(C1)、第二頸椎(c2)....と命名されている。 第二頸椎 第二頸椎 第一頸椎と第二頸椎 出典:http://www.sougi.com/infomation/knowledge/adsapple/apple.html 頸椎の役目は、重い頭を支え、首を動かすための身体のバックボーンである。当然のこととして体にとって、また脳など中枢神経にとってきわめて大切なものであり、同時に非常に壊れやすい「脊髄」を保護する役目ももっている。 より具体的な頸椎の機能として、上位頸椎(第一頸椎、第二頸椎)は頭の左右への回旋運動を行っている。第一頸椎(環椎)はリングのような形をしており、頭蓋骨をのせている頸椎でもある。 頸椎。人間は7つある 出典:http://www.orihime.ne.jp/~one-/tekious.htm 下は別の角度から3次元立体図で見た頸椎である。 上述したように上から第一頸椎(C1)、第二頸椎(C2)、.....第七頸椎(C7)と呼ばれている。事故で骨折、陥没したのはC2の第二頸椎である。C1とC2は他の頸椎と異なり、非常に複雑な形態、構造をしていることが分かる。 出典:http://video.about.com/backandneck/Cervical-Spine-Anatomy.htm ★勤務先、知人、友人らへの第一報 つづく |