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◆特集:住民無視で暴走する岡山市北区の火葬場建設問題
火葬場では、上述したように有害化学物質の法規制が実質適用除外となっている。かつ計画、立地に際しての情報公開や環境配慮の手続が存在しないことから、当然、施設立地予定地域周辺の住民の不安や懸念が高まることになる。 火葬に際しては、お棺、人体、副葬品などが焼却されるが、副葬品にはプラスチック製品が含まれることが多い。 図2は東京都環境保全研究所が行い大気環境学会で発表した「焼却物中のPVC(塩ビ)混入率と排ガス及び灰中ダイオキシン類濃度」についてのデータである。 図は無漂白段ボール中にごくわずかの塩ビやその化合物質が含まれているだけで、それを焼却すると排ガス及び焼却灰に著しいダイオキシン類が含まれることを示している。ちなみに、排ガス中のダイオキシン類の国際的基準値は、0.1-ng-TEQ/m3Nである。 図2 焼却物中のPVC(塩ビ)混入率と排ガス及び灰中ダイオキシン類濃度 東京都環境保全研究所、大気環境学会で発表 プラスチック製品のうち有機塩素系化合物である塩化ビニールなどが含まれれば、焼却により非意図的に猛毒のダイオキシン類(PCDD,PCDF,Co-PCB)が発生する。火葬では火の立ち上げ、燃焼、立ち下げそれぞれの時間配分、燃焼温度にかかわるデータがほとんど公開されていないが、「焼却のし過ぎ」となれば骨壺に入れる人骨が粉となり残らないことから燃焼温度を低くするためにダイオキシン類が発生しやすくなる可能性もある。 一方、厚生労働省は、元京都大学教授らに調査委託し調査した結果、4つの火葬場すべての灰から高濃度の六価クロムが検出されており、国の基準の1200倍という灰もあったとされている。六価クロムが検出された原因としては、大半の火葬場で使用されている、ひつぎを載せるステンレス製台が発生源とみられている。 これについては、以下の読売新聞記事を参照のこと。
なお、六価クロムの毒性だが、六価クロムは強い酸化作用をもち、皮膚や粘膜に付着した状態を放置すると、皮膚炎や腫瘍の原因になる。 特徴的な上気道炎の症状として、クロム酸工場の労働者に鼻中隔穿孔が多発したことが知られている。これは飛散した酸化剤や顔料などの六価クロムの粉末を、長期間に亘って鼻腔から吸収し続けて、鼻中隔に慢性的な潰瘍が継続した結果と考えられる。 また、六価クロムは発癌性物質としても扱われている。多量に肺に吸入すれば呼吸機能を阻害し、長期的には肺癌に繋がる。消化器系にも影響するとされ、長期間の摂取は肝臓障害・貧血・大腸癌・胃癌などの原因になりうる。 六価クロムを粉末状で取り扱う職場は周囲への飛散を防いだ上に、目・鼻・口に入らないよう厳重に管理し、皮膚や衣服にも付着したままで置かないように厳重管理することが必要である、とされている。 以上、Wikipediaから引用。 次に、火葬場から発生する水銀だが、その原因は人体の歯に詰められたアマルガム状の水銀にあると推察されている。英国では、火葬場から発生する水銀を半減させるためのガイダンスを発表しているが、英国政府によれば水銀は大気中、水中に蓄積し,脳,腎臓,神経系統や胎児に害を及ぼすおそれがあるとしている。 英国政府の法定ガイダンスは、2012年までに、水銀発生を半減させる設備を取り付けるよう求めるものであり、オーストリア,ベルギー,ドイツ,オランダ,ノルウェー,スェ−デン,スイスなどの諸国は火葬からの水銀を規制する対策を既に講じているという。 なお、イギリスは,重金属(カドミウム・鉛・水銀)の排出制限に関する国際的な条約、オーフス議定書(UN Protocol on Heavy Metals)にも署名しており、その公約の一つに水銀に関するものがあり、1990年以下のレベルまで排出を削減するという責務は果たしているという。 以下に英国政府が公表している火葬場から発生する火葬場からの水銀汚染発生とそれへの対応についての情報である。
以上は、火葬場から排出されるダイオキシン類、六価クロム、水銀についてのものだが、実際には副葬品などの種類いかんで他の汚染物質が発生する可能性も十分ありうる。 国内外の調査によりこれらの事実が明らかになっているにも関わらず、厚生労働省(日本政府)は、法的規制及び法的手続の義務付けをしていない。 冒頭で述べたように、今後、先進諸国随一の高齢化社会を迎え、火葬需要が伸びることが明白ななか、自治体任せ、業者任せにするのではなく、国が自治体や事業者に対し、厳しい規制と環境影響評価手続を法的に義務付けるべきである。 つづく |