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<原発事故とその影響> @ A B C D E <原発事故と今後の対応> @ A 今日は、只野靖さん(東京共同法律事務所)の特別講義を早稲田大学理工学部で行いました。 今回は、池田こみちさん(環境総合研究所顧問)、斉藤真実さん(環境総合研究所非常勤研究員、千葉商科大学講師)、それに市川夫妻(政策学校一新塾)らが聴講されました。 只野さんについては、すでに11月9日に行いました直撃インタビューでご存じのように、早稲田大学法学部を出たあと、一貫して公共事業関連訴訟、原発関連訴訟、それも勝訴率が低く、難しい行政訴訟や科学技術訴訟などを多く手がけてこられた気鋭の弁護士です。 ◆脱原発世論を訴訟と立法につなげる只野靖弁護士直撃インタビュー記 授業の冒頭で只野靖弁護士直撃インタビューの動画を紹介 ◆脱原発世論を訴訟と立法に 只野靖弁護士直撃インタビュー 只野靖弁護士を紹介する青山貞一(右) 撮影:池田こみち Nikon Coolpix S10 講義中の只野靖弁護士 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 以下に、11月12日(月)の講義で使われたレジメを掲載します。講義内容は、理工の学生にも分かりやすく、ポイントを突いたもので、学生や聴講者からたくさんの質問がでました。 早稲田大学(理工+政経)講義 「環境政策論」 2012年11月12日 弁護士 只 野 靖 1 自己紹介 2 原発訴訟 一般論 (1) 国を被告とする行政訴訟 全ての原子力発電所は、国の定めた安全設計指針及び安全評価指針のもとに安全審査がなされ、設置許可がなされている。その行政処分に違法があることを理由とする訴訟。 (2) 電力会社を被告とする民事訴訟 自然人の人格的利益のうち,生命,身体,名誉等の重大な保護法益が現に侵害され,又は将来侵害されようとしている場合には,これらの人格権に基づいて,その侵害の排除又は予防のために,当該侵害行為の差止を求めることができることを理由とする訴訟。 (3) 専門家との連携 地震学、変動地形学、地質、耐震設計、金属学、核物理、被害シミュレーション 3 原発訴訟 個別 (1) 浜岡原発訴訟 (2) 大間原発訴訟 (3) 上関原発公有水面埋立免許取消訴訟 4 原発訴訟(3.11後) (1) 脱原発弁護団全国連絡会 (2) 東海第二原発訴訟 (3) 東京電力を被告とする福島原発事故損害賠償請求(除染の現場) (4) 東京電力の歴代の取締役を被告とする東京電力株主代表訴訟 (5) 原発訴訟に対する裁判所の変化 4 2012年8月31日付けの共同通信配信記事 最高裁が開いた原発訴訟をめぐる裁判官の研究会で、国の手続きの適否を中心としてきた従来の審理にとどまらず、安全性をより本格的に審査しようという改革論が相次いでいたとされている。 最高裁は2012年1月26、27の両日、全国各地の裁判官35人を集めて特別研究会を開催。裁判官は自分で問題を設定して対応策を記した報告書を提出、議論のたたき台にした。 内部資料によると、ある裁判官は「放射能汚染の広がりや安全審査の想定事項など、福島事故を踏まえ、従来の判断枠組みを再検討する必要がある」と提案。安全性の審査・判断を大きく改めるべきだとの考えを示した。 別の裁判官は「原子炉の安全性を審理判断するに当たり、専門的・科学的知見をどのような方法で取り入れていくべきか」と問題設定した上で、証人調べは「一方に有利になることは避けられない」と指摘し、「複数の鑑定人による共同鑑定が望ましい」と述べたとされている。 講義では現地調査時の写真が多数使用された 講義では現地調査時の写真が多数使用された 5 日弁連災害対策本部原子力PTでの活動(2011年4月〜) ★2011年4月22日「福島県内の学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方について」に関する会長声明 「児童生徒等が学校等に通える地域においては、非常事態収束後の参考レベルの1〜20mSv/年を学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的な目安と」するとされており、従前の一般公衆の被ばく基準量(年間1mSv)を最大20倍まで許容するというものとなっていること対して、反対声明。 ★2011年7月15日原子力発電と核燃料サイクルからの撤退を求める意見書 1 我が国の原子力政策を抜本的に見直し、原子力発電と核燃料サイクル政策から撤退すること。その具体的な廃止にむけての道筋は以下のとおりである。 (1) 原子力発電所の新増設(計画中・建設中のものを全て含む。)を止め、再処理工場、高速増殖炉などの核燃料サイクル施設は直ちに廃止する。 (2) 既設の原子力発電所のうち、@福島第一及び第二原子力発電所、A敷地付近で大地震が発生することが予見されるもの、B運転開始後30年を経過したものは、直ちに廃止する。 (3) 上記以外の原子力発電所は、10年以内のできるだけ早い時期に全て廃止する。廃止するまでの間は、安全基準について国民的議論を尽くし、その安全基準に適合しない限り運転(停止中の原子力発電所の再起動を含む。)は認められない。 2 今後のエネルギー政策は、再生可能エネルギーの推進、省エネルギー及びエネルギー利用の効率化を政策の中核とすること。 ★2012年6月全政党の賛成で原発事故子ども被災者支援法 6 国会事故調査委員会での活動(2012年1月〜6月) 地震そのもので原子炉が損傷した可能性があることの6つの根拠 (1) 基準地震動に対するバックチェックと耐震補強がほとんど未了 (2) 配管の微小な貫通亀裂から冷却材が噴出する小規模のLOCAの場合、原子炉の水位、圧力の変化は、亀裂がない場合とほとんど変わらないが、10時間ほど放置すると数十トンの冷却材が喪失し、炉心損傷や炉心溶融に至る可能性がある。 (3) 事故の進展を決定的に悪化させた非常用交流電源の喪失について、他の報告書は「津波による浸水が原因」とし、津波第1波は15時27分ごろ、第2波は15時35分ごろとしている。しかしこれらの時刻は、沖合1.5kmに設置された波高計の記録上の第1波、第2波の時刻であり、原子力発電所への到着時刻ではない。少なくとも1号機A系の非常用交流電源喪失は、津波によるものではない可能性があると指摘している。 講義中の只野靖弁護士。早稲田大学理工学部にて 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 (4) 地震発生当時、1号機原子炉建屋4階で作業していた東京電力の協力企業社員数人が、地震直後に同階で起きた出水を目撃したことを国会事故調に対して証言している。この4階には非常用復水器ICの大型タンク2基が設置され、IC配管等が取り回されている箇所である。国会事故調は、出水が5階の使用済み燃料貯蔵プールの地震時のスロッシングによる溢水でないことをほぼ断定しているが、現場調査ができないため、出水元は不明であるとしている。 (5) 1号機のIC(A、B2系統)は、14時52分に自動起動したが、自動起動からわずか11分後、1号機の運転員はICを2系統とも手動で停止したが、東京電力は一貫して、操作手順書で定める原子炉冷却材温度変化率55℃/hを順守できないと判断したからと説明し、政府事故調の報告書も同様であった。国会事故調はICの手動停止に関わった複数の運転員から、原子炉圧力の降下が速いのでIC系配管や他の配管から冷却材が漏れていないかどうかを確認するためICを止めた、との説明を得た。そして運転員の説明は合理的で判断は適切であるのに対して、東京電力の説明は合理性を欠いていると判断した。 (6) 1号機の逃がし安全弁(SR弁)に関しては、事故時、必要なときにそれが実際に作動したことを裏づける弁開閉記録が存在しない(2、3号機には弁開閉記録が存在する)。さらに、2号機の場合は、中央制御室や現場でSR弁の作動音が頻繁に聞こえたが、1号機の運転員の中に1号機のSR弁の作動音を耳にした者は一人もいないことも分かったとしている。この点からも1号機では地震動による小規模のLOCAが起きていた可能性がある。 7 脱原発基本法の立法活動 脱原発基本法案 政策契約書 脱原発法制定全国ネットワーク |