メアリー・ステュアートの足跡を追って スコットランド2200km走破 グラスゴー大学 青山貞一 Teiichi Aoyama 池田こみち Komichi Ikeda 2018年8月公開予定 独立系メディア E-Wave Tokyo 無断転載禁 |
スコットランド総目次へ ペイズリー グラスゴー グラスゴー大学 ハンター博物館 グラスゴー大聖堂 聖コロンバ・カソリック教会 ケルヴィン・グローブ美術・博物館1 ケルヴィン・グローブ美術・博物館2 ストリート・スクール・オブ・グラスゴー博物館 ジョージ広場1 ジョージ広場2 ホワイトリー風力発電 スコットランド再生エネ開発 風力以外の再生エネ計画 グラスゴーと言えば偉人をたくさん輩出したグラスゴー大学が有名です。以下グラスゴー大学について全体を紹介します。 ◆グラスゴー大学の概要 出典:グーグルマップ 出典:グーグルマップ 出典:グーグルマップ 1650年のキャンパス Source:Wikimedia Commons グラスゴー大学(The University of Glasgow)は、スコットランドのグラスゴー市に本部を置くイギリスの大学です。1451年に設置されました。500年以上の歴史を有する英語圏最古の大学の一つであり、オックスフォード大学、ケンブリッジ大学と並ぶアンシャン・ユニヴァシティー(古代の大学)に属する大学です。 中世から高位聖職者を輩出し、近世では、蒸気機関の発明や電力単位のワット(W)で知られるジェームズ・ワット、経済学の祖であり国富論を著したアダム・スミス、物理学者のウィリアム・トムソン(ケルヴィン卿)など歴史上の重要人物も多く輩出しています。 また、日本の産業発展に貢献すべく創設された工部大学校(東京大学工学部の前身)で教鞭を執ったヘンリー・ダイアーも本学の出身です。近代に入ると、世界各国からエリート層が留学して来るようになり、母国で政治家や科学者となって国家に貢献した卒業生も多いといいます。 日本からの留学生も帰国後に名声を得たものが多く、著名人としては化学者の高峰譲吉、ニッカの竹鶴政孝(ドラマ「マッサン」モデル)、男爵いもの川田龍吉男爵、三菱財閥の岩崎隆弥、物理学者の田中舘愛橘が挙げられます。 大学は英国のアイビー・リーグとも言われているラッセル・グループの一員で、また国際的に重要な大学から組織されているウニベルジタツ21の創立メンバーの一員でもあります。 医学、歯学、獣医学の分野では、英国最高峰に位置し、特に医学部はGlasgow Coma Scaleの研究で世界に知られています。また、工学部は英国で最初に設置された工学部(1840年)であり、産業革命で大きな役割を果たしました。2007年現在、同大学に関係するノーベル賞受賞者は7名に上っています。 出典:グーグルマップ 模型図 Source:Wikimedia Commons 沿革 1451年にローマ教皇ニコラウス5世の認可状により、神学の大学として設立されました。当時は独立国であったスコットランドの国王ジェームズ2世が、隣国イングランドで既に創設されていたオックスフォード大学とケンブリッジ大学に対抗できる大学の設置を希望したことが創立の発端です。 また、ウィリアム・ターンブル司教により創立されたとも言われています。大学はこれにより、スコットランドでは二番目に古い大学となりました。 設立時、大学はグラスゴー大聖堂に隣接して存在していましたが、9年後の1460年にそこから南側に600m程離れたハイ・ストリート沿いに移転しました。当時のハイ・ストリートはグラスゴー随一の繁華街であり、中世期に形成された街並みを有していましたが、産業革命以降スラム化が進行しました。 このため410年後の1870年、都市計画によるスラムクリアランスとグラスゴー市街地の西側への伸展とともに、ウエストエンドの丘陵地であった現在の敷地に大学は再度移転しました。 現キャンパスにおける最古の建造物は東側通用門のゲートハウスであり、これはハイ・ストリート沿いにあった大学の17世紀建造の旧玄関部分を移築し再利用したものです。また、高い塔がそびえるゴシック様式の現在の大学校舎は、この時新しく建設されたものです。 近年、旧大学跡地は国鉄が走るだけの建物も無い更地となっており、そこにあるハイ・ストリート駅の近くに大学の旧玄関部分が位置していたといいます。 スコットランド最古の大学は、ここよりわずか40年ほど古いセント・アンドルーズ大学です。グラスゴー大学はグレートブリテン島全体では4番目に古い大学ということになります。スコットランドでは、グラスゴー大学、セント・アンドルーズ大学、アバディーン大学が教会によって創立された大学で、エディンバラ大学だけが町によって創立された大学です。 古代の大学(Ancient University)各校の創立年。 黄色がスコットランドの大学。 オックスフォード大学 (1249年) ケンブリッジ大学 (1284年) セント・アンドルーズ大学 (1411年) グラスゴー大学 (1451年) アバディーン大学 (1494年) エディンバラ大学 (1582年) トリニティ・カレッジ (ダブリン大学) (1592年) キャンパス グラスゴー市内を見渡す高台にゴシック様式の美しい校舎を持ち、スコットランドの観光名所となっています。また校内の博物館、美術館は一般に公開されているほか、建築家チャールズ・レニー・マッキントッシュゆかりのマッキントッシュハウスがあります。 付近は高級住宅街でありながら学生向けの酒場、商店が集まる学生街でもあり、地下鉄が最寄のHillhead駅から市中心部へ通じています。 同大学の運動場は本校舎から離れたグラスゴー郊外にあり、シャトルバスが大学、各学生寮、運動場を連絡しています。グラスゴーは欧州のポップカルチャーを代表する街であり、繁華街は夜遅くまで学生と若者で賑わっています。 組織 本館東の建物 Source:Wikimedia Commons 2010年8月より組織改編により以下のように構成されるようになりました。 人文学カレッジ 文学部(4学科) 文化創造学部(3学科) 人類学部(7学科) 現代言語文化学部(6学科) グラスゴー人文研究所 大学院人文学研究科 (および1大学院研究科、1研究センター) 医学・獣医学・生命科学カレッジ 生命科学部(4学科) 医学部(9学科) 獣医学部(1学科) (および1大学院研究科、6研究センター 理工学カレッジ(7学部11学科、1研究科、1研究センター) 化学部(1学科) 計算機科学部(1学科) 工学部(4学科) 地球科学部(1学科) 数学・統計学部(2学科) 物理学・天文学部(1学科) 心理学部(5学科) (および1大学院研究科、1研究センター) 社会科学カレッジ(5学部14学科、1研究科、1研究センター) 政治学部(5学科) 教育学部(4学科) (学際)教養学部(1学科) 法学部(1学科) (および1大学院研究科、1研究センター、1ビジネススクール) 獣医学部は世界的に高名、歯学、医学部はイギリスで最高位に評価されていま。 なおそれまでは下記9学部 から構成されていました。 人文科学部 生物医学部、生命科学部 教育学部 (en:St Andrews College of Educationとの統合により形成) 工学部 情報数理科学(Information and Mathematical Sciences)部 法学、ビジネス学、社会科学部 医学部 (歯学と看護学部を含む) 物理科学部 獣医学部 かつて「社会主義理論運動研究センター(Centre for the Study of Socialist Theory and Movements)」が存在していまたが、現在は廃止されています。 以上の学部の他、2つの連合校があります。 グラスゴー美術学校 グラスゴー美術学校・グラスゴー大学 マッキントッシュ・スクール・オブ・アーキテクチャー スコティッシュ農業カレッジ グラスゴー美術学校を卒業または修了するとグラスゴー大学から学士、修士、博士等の学位が授与される仕組みになっています。グラスゴー美術学校は建築家チャールズ・レニー・マッキントッシュの出身校であり、その校舎は彼の代表作品です。 学生 学生会の建物 Source:Wikimedia Commons 学生数は、16,190人(学部全学年)、4,555人(大学院全学年)です(2012年時点)。学部では、英国出身学生の比率は87.8%、欧州留学生は8.0%、その他の留学生は4.2%です。大学院では、英国出身学生の比率は56.1%、欧州留学生は8.5%、その他の留学生は35.4%です。 学部学生の出身高校は、87.9%が公立高卒であり、12.1%が私立高卒となっていす (2009年時点)。また、学費に関しては、英国人であってもイングランド出身者は有料です(スコットランド出身者は無料)。 主な出身者 アダム・スミス(経済学者・哲学者) ウィリアム・トムソン(物理学者、通称ケルヴィン卿) ジェームズ・ワット(発明家) ジョン・ノックス(改革派神学者、長老派教会の創立者) デイヴィッド・リヴィングストン(宣教師・探検家) チャールズ・レニー・マッキントッシュ(建築家・グラスゴー美術学校出身) ジェームズ・フレイザー(社会人類学者、『金枝篇』(The Golden Bough, 1890年 - 1936年)の著者) ヘンリー・ダイアー(工学者) 高峰譲吉(薬学者) ジョゼフ・リスター(医学者) アンドルー・ボナー・ロー(政治家・イギリス首相) ジョゼフ・ブラック(物理学者) 岩崎隆弥(実業家、元三菱製紙会長) 荘田泰蔵(実業家、三菱重工業常務・新三菱重工業副社長・日本航空機製造社長等を歴任) ヘンリー・キャンベル=バナマン(政治家・イギリス首相) ジョン・ワトソン(哲学者) ジェイムズ・ボズウェル(作家) ジョン・ケアード(哲学者) カジミェシュ・クラトフスキ(数学者) ジョン・カー(物理学者) ウィリアム・カレン(化学者) 竹鶴政孝(ニッカウヰスキー創業者・サントリーウイスキー開発者) ロバート・ブルーム(古人類学者) 川田龍吉(男爵、実業家、男爵いも導入者) スティーヴン・ウルマン(一般言語学者) 志田林三郎(物理学者) ジョセフ・ダルトン・フッカー(植物学者) チャールズ・ケネディ(政治家) ジョスリン・ベル・バーネル(天文学者) 範多龍太郎(実業家・造船技術者) 田中舘愛橘(物理学者) 水田洋(社会思想史研究者) ジェラルド・バトラー(俳優) つづく スコットランド総目次へ |