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グアムの基礎知識


グアムの概要2

青山貞一 Teiichi Aoyama 池田こみち Komichi Ikeda
2019年1月24日公開
独立系メディア E-Wave Tokyo 
無断転載禁

グアム島全体目次

はじめに
グアム概要1  グアム概要2  グアム概要3   グアム概要4
グアムの都市と村

軍事

 アメリカが全面的に防衛権を持っています。そのため土地を収用することもできます。

 島の面積の1/3をアメリカ軍用地が占めています。

 グアム島は、日本列島および南西諸島、朝鮮半島、台湾、南沙諸島、フィリピン、インドネシア、オーストラリアとあらゆる場所に緊急展開できる戦略上の要地であり、アメリカ合衆国の準州でもあるので、西太平洋の礎石としてその価値を見出されてきました。

 しかし、冷戦終結に伴って在グアム米海軍基地整理縮小計画が立てられ、1990年頃には海軍航空隊の基地がグアム国際空港からアンダーセン空軍基地に移設され]、1997年9月には艦船修理施設(Ship Repair Facility)が海軍からグアム準州政府に移管されるなど1990年代は基地は縮小傾向にあります。

 2000年、ジョージ・W・ブッシュ政権に変わって以降は、地球規模の米軍再編の影響で、世界戦略を見据えたグアム島の軍事拠点化を進めることになり、兵力の増強が順次実施されてきました。

 2004年には、グアム島周辺を調査した中国人民解放軍海軍の漢級原子力潜水艦が行き帰りに日本の領海侵犯を行った漢級原子力潜水艦領海侵犯事件が発生しました。

 グアム島の北部には3,000m級の滑走路が2本あるアンダーセン空軍基地が存在します。ここには現在、常駐する戦闘機部隊は存在していませんが、しばしば他基地の機体が飛来します。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900   2018-4


アンダーセン空軍基地
Source:Wikimedia Commons

 以下は3000m級滑走路2本を持つアンダーセン空軍基地です。


出典:グーグルマップ

 おもにB-52やB-2といった戦略爆撃機が配備されており、極東有事の際には、アメリカ本土やハワイなどから前線派遣された航空部隊の重要な出撃拠点になります。

 グアム島の西部には、アメリカ海軍も使用しているアプラ港があり、ロサンゼルス級原子力潜水艦が事実上の母港としており、将来的にはオハイオ級原子力潜水艦も配備される予定である。これらは第7艦隊隷下にあります。


アプラ港南部にある米海軍港(US Naval Port)
出典:グーグルマップ


アプラ港内のアメリカ海軍潜水艦
Source:Wikimedia Commons

 在日米軍再編の影響により、沖縄本島に駐屯しているアメリカ海兵隊7,000人がグアムに移駐する予定であり、キャンプ・フォスターから司令部も移転する予定です。

 この部隊の受け入れのための費用を日本政府が59%負担することで日米両政府が合意しました。上記の基地移転には先住民の一部から反発が起きていますが、かつてアメリカ軍基地が縮小された事で経済的に大きな打撃を受けたため大半の住民は基地・観光による経済的観点から容認もしくは賛同しています。


経済

 グアムの通貨はアメリカ合衆国ドル(USドル)です。但し日用品や土産等の購入に関して少額(おおよそ100ドルを目途)の場合、主要顧客である日本人観光客に対する便宜として日本円を受け入れる店舗が多いようです。

 アメリカ軍の基地関連産業とアメリカ政府からの補助金、観光業、農業、漁業が主要な経済基盤で、1980年代前半までアメリカ軍への依存度が高かったのですが、冷戦終結によるアメリカ軍基地の縮小に伴い、近年は観光業が産業の大部分を占め、島民の約60%が観光業に従事しています。

 年間100万人以上の観光客が訪れますが、かつては観光収入の9割以上が日本からの観光客によるもので、日本への依存度が高かったのです。しかし1990年代以降の日本人旅行者の旅行先の多様化を受けて日本人が減少し、現在は中華民国と中華人民共和国、韓国からの観光客が急増しています。近年は特に和食料理店など、日本の外食企業の参入も多く見られる傾向にあります。


マグロ産業

 『ミクロネシア』1997年4月号によれば、ミクロネシアの要所であるグアムは1980年代以降はマグロの転載業でも知られています。

 ただし、グアム周辺水域においてマグロ資源に恵まれている訳ではなく、大消費地である日本、およびアメリカ本土への航空貨物直行便がありアクセスに恵まれていることや、漁船の修理施設、乗組員の休養施設、金融サービス機関が整っていることが挙げられます。

 従って他のミクロネシア水域で漁獲されたマグロ類はアプラ港で水揚げされ、主に日本本土に空輸されている。漁獲を実施しているのは1990年代においては台湾籍船が最も多く、次いで日本籍船でした。


アブラ港
Source:Wikimedia Commons

 問題はグアム周辺の排他的経済水域内の開発です。アメリカ本国は1978年4月にマグナソン漁業保存管理法によりアメリカの200海里水域内での他国漁船の操業を禁止しました。

 そのため、グアムはパラオやマーシャル諸島に比較し、資源開発で遅れをとりました。1980年初頭、グアム準州政府はグアム200海里を法制化する中、外国漁船に200海里水域内での操業許可を与えようとしましたが、実現しませんでしたた。

 その後本格化したコモンウェルス昇格運動の背景にも、200海里内における管轄権を本国政府から入手したいという意向があり、1988年に提出したコモンウェルス法案にも経済水域問題が重要事項として謳われています。

 その後、本国へのロビー活動などの結果、1996年10月11日にマグナソン法の改正案が公布(Public Law 104-297)されました。これは、国務省への申請、入漁料の徴収などを通じて他国漁船への漁業参加を認める内容でした。

 経済水域内の取り締まりは沿岸警備隊と商務省国家海洋漁業局(National Marine Fisheries Service)が実施しています。

 1997年に海軍は艦船修理施設をグアム準州政府に移管しましたが、この跡地を活用してアプラ港の総合開発計画が立てられ、漁業基地の強化を狙った内容となっていました。

 このような努力は周辺諸国も行っており、ミクロネシア水域のマグロ産業規模に比較して従来4〜5%程度しか得ることの出来なかった見返りを自主的に漁業を拡大することで移行を図る動きがあります。

 2000年代に入っても、中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)をグアムなどで開催し漁業資源の管理と多国間交渉に努力がなされています。


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