サンディエゴ湾現地視察 Cポイント・ロマ岬と市民公園 青山貞一 Teiichi Aoyama 掲載月日:2010年12月8日 独立系メディア「今日のコラム」 無断転載禁 |
@第3艦隊コロナド海軍基地 A米海軍(ミッドウェー)博物館 B航空母艦ミッドウェーの歴史 Cポイント・ロマ岬と市民公園 ■サンディエゴのポイント・ロマ岬と市民公園 第3艦隊があるコロナドの北側にはポイントロマ岬(Point Loma)がある。下図の手前の半島(岬)がポイント・ロマである。 グーグルアースで3次元展開したポイントロマ岬 Point Loma and Federal Lands 下図は真南からポイント・ロマ岬を見たもの。右に島のように見えるのがコロナド海軍基地である。 グーグルアースで3次元展開したポイント・ロマ岬 ポイント・ロマはもともと米海軍はじめ連邦政府の海岸線を含む土地、約700エーカーが海軍使用地として不要となったことから、公園・リクレーションを管理する公共機関(国立公園サービス局)に移管され、市民が誰でも秀逸な眺望が楽しめ憩える公園としたものである。入園料は一人当たり約5ドル(450円程度)である。 このポイント・ロマには下の写真にあるカブリロ国立記念碑(Cabrillo National Monument)がある。 記念碑にもなっているJuan Rodriguez Cabrillo は、1542年6月にメキシコを出発し、西欧人が最初に現在の米国の西海岸を探検し発見、その後の開発を導いたとされている。三ヶ月後、カブリオは現在のサンディエゴ湾に到着した。 カブリオはサン・サルバドールという名の帆船で、ポイントロマ岬の突端の東側で現在記念碑がある近くの地に停泊したとされている。カブリオは探検の最中に死亡するが、彼の帆船の乗組員は北部の米国に西海岸のオレゴンまで到達する。 その後、帆船は冬の北風でメキシコまで押し返されたという。そしてカブリオはその偉業により、1913年、カブリロ国立記念碑がたてられている。 逆説すればカブリオはカリフォルニアはじめ現在の米国西海岸に住んでいた原住民、インディアンから欧州人が「探検」の名の下に土地を収奪した最初の人物ということになるのだろう。 1542年といえば、すでにスペインがメキシコを侵略し、支配した後であるので、メキシコを侵略、支配した欧州人系の探検家がはじめて今の米国の西海岸を発見したということになるのかも知れない。カブリオはいわば西インド諸島を1492年に発見したコロンブスのカリフォルニア版とも言える。 ※Juan Rodriguez Cabrilloの詳細 ポイント・ロマにある国立ガブリオ記念碑(Cabrillo National Monument) 撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10 逆光モード望遠で撮影 2007.11.23 そのポイント・ロマは、現在、サンディエゴ市街を一望できる岬公園としてサンディエゴ市民や観光客のリクレーションの場となっている。下の写真は、ポイント・ロマからみたサンディエゴと米海軍第3艦隊の基地のコロナド(Coronado)である。 ポイントロマの国立ガブリオ記念碑近くからサンディエゴ市街を臨む 撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10 逆光モード望遠で撮影 2007.11.23 半島の突端にあるポイント・ロマ岬は上述のように現在は、米海軍からリクレーション用地として海岸線を含む地域一帯が開放され歴史自然公園となっており、市民や観光客は歴史自然公園にある約3.2kmのトレッキングコースをすばらしい眺望を堪能しながら歩くことができる。 トレッキングコースでは、眺望以外にもバードウォッチング、フィッシング、ハイキング、自然探索、野生動植物観察などが体験できる、まさに環境学習の場でもある。 カブリロ国立記念碑がたつ地点からは、東にサンディエゴ湾、西に太平洋、さらに南にメキシコとの国境がパノラマ状に一望でいる。この公園からの眺望は世界一と言われている。 ポイント・ロマを含むサンディエゴの地はもともと砂漠であった。下の写真はそれを彷彿とさせる。ポイント・ロマにはほとんど植生らしい植生は存在していないように見えるが、多様なサボテンが群生している。 ※Point Lomaの植生・自然 ポイント・ロマらメキシコ国境側を臨む。手前に野生のサボテンが生息していた 撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10 2007.11.23 以下の3枚の写真は半島から太平洋側を見下ろしたもの。すばらしい自然海浜、海岸線が続いている。実はこの場所に、今でも大砲が置かれている。その大砲は日本軍が真珠湾攻撃でハワイを奇襲した際、米国本土の西海岸まで来ることを想定し、設置したものである。 直下の写真の建物は、トレールの途中にあるトイレである。 ポイント・ロマから太平洋側を臨む 撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10 逆光モード望遠で撮影 2007.11.23 トレールの一角からカリフォルニア固有の地形と地質が見られる。トレールには何のフェンスもなく、ひとつ足を踏み外すと100m近い断崖絶壁から太平洋岸の海岸線まで落下することになり、非常に危険である。 ポイント・ロマから太平洋側を臨む 撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10 2007.11.23 トレールから直下の自然海浜の波打ち際が見える。太平洋岸の潮だまりには、さまざまな海洋生物が生息している。またこのPoint Loma沖には鯨が遊泳しており、冬場にはサンディエゴの港から観光用の鯨ウォッチングの船が毎日就航している。 ※潮だまりの海洋生物 ※鯨ウォッチング ポイント・ロマから太平洋側を臨む 撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10 逆光モード望遠で撮影 2007.11.23 この日は絶好の好天で、太平洋側の海はエメラルドグリーンとなっていた。写真では、岩から先が100m以上の崖(Clif)となっている。 ポイント・ロマから太平洋側を臨む 撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10 逆光モード望遠で撮影 2007.11.23 ポイント・ロマ岬の高台には灯台がある。 もともと1951年に帆船が就航している時代、灯油を使ったランプの灯台が建てられたが、カリフォルニアが合衆国に組み入れられた後、米国政府の沿岸調査によりポイント・ロマでもっとも高い現在の位置に沖を就航する船舶のための灯台が設置された。海水面からの高さは422フィートである。 ※Point Loma灯台の歴史 ポイント・ロマにある灯台 撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10 2007.11.23 ポイント・ロマにある灯台 撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10 2007.11.23 ポイント・ロマにて。筆者 撮影:天田芳穂氏 2007.11.23 以下はコロナド側から見たポイントロマ岬。崖の高さは100m以上ある。 コロナド側から見たPoint Loma 撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10 2007.11.23 <参考・引用論考> ◆米国カリフォルニア州サンディエゴ現地調査 2007年11月 ●米加州サンディエゴ現地調査報告(沿岸域管理) 青山貞一:サンディエゴ沿岸域管理@その法制度と理念・政策・計画 青山貞一:サンディエゴ沿岸域管理APendletonゾーン 青山貞一:サンディエゴ沿岸域管理BDel Marゾーン 青山貞一:サンディエゴ沿岸域管理CTorrrey Pines/La Jollaゾーン 青山貞一:サンディエゴ沿岸域管理DPoint Loma ゾーン 青山貞一:サンディエゴ沿岸域管理ESan Diego Bayfrontゾーン 青山貞一:サンディエゴ沿岸域管理FCoronado/Silver Strandゾーン |