現地調査報告 Coastal Zone Management in San Diego,CA
Coastal Zone Management in San Diego, CA
サンディエゴ沿岸域管理③
Del Marゾーン


青山貞一
(Teiichi Aoyama)
Prpf. Tokyo City University
Environmental Research Institute
東京都市大学環境情報学部教授、
環境総合研究所長
2008.1.1

           
  
 図4は先に紹介したカリフォルニア州沿岸計画のサンディエゴ地域ブロック図である。

 沿岸管理計画ではサンディエゴの沿岸域を、①(原発や海兵隊基地があるペンデルトン)から⑫(メキシコ国境のインペリアルビーチ・ティファナ川渓谷)までを12の地区に分けている。今回の現地視察では、それらのほぼ全域を現地踏査したが、以下ではそのうち主な地域について現地で撮影した写真を元に報告している。


図6 カリフォルニア州南部の「サンディエゴ沿岸地域」
    本章の対象となるDel Mar地域は上図の

    出典:カリフォルニア沿岸計画 


図12 カリフォルニア沿岸管理計画の第5地域<Del Mar
      出典:カリフォルニア沿岸計画

 
図8は、図12の凡例である。上から農耕地、森林資源、開発地/市街地、汽水域/沿岸に近い河川、沿岸道路を示す。凡例では、さらに下の2つの大きな凡例で沿岸域の気候ゾーン、流域ゾーン、沿岸域そのもの、資源管理ゾーンを示している。
 

図8 カリフォルニア沿岸計画における管理対象地図の凡例
    出典:カリフォルニア沿岸計画(California Coastal Plan)
  

■サンディエゴ 第5地域
(Del Mar)

 図13はグーグルマップにより Del Mar地域⑤の北部から中央部 をみたものである。



図13 グーグルマップからみたDel Mar海岸

 また図14はグーグルアースにより Del Mar地域⑤全体を3次元立体展開したものである。


図14 グーグルアースで3次元展開したDel Mar海岸。すべて自然海浜

 
Del Mar地域は全地域が自然海浜であり、沿岸域への近接容易性も高く、実際パブリックビーチとして海水浴場などとして利用されている。Del Mar地域⑤の北部とTorrey Pinesとの境界に一部のラグーン(湿原や湿地)が自然のまま残されているが、周辺に住宅が迫ってきている。また海と接する汽水域、潮だまりではさまざまな生物の生息域やハビタットの価値を強化するための土地利用、資源保全が必要となる。

 
写真12はDel Mar地域の典型的な景観。海岸線に沿って走る道路の車寄せから容易に自然海浜に行ける。下の写真から⑥地域のLa Jolla半島が見えている。


写真12 Del Mar 海岸にて。サンディエゴ市中心市街地近くの
      良好な砂浜がある海水浴場

        撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10  逆光モードで撮影 2007.11.25

  サンディエゴ市中心市街地近くの良好な砂浜がある海水浴場でもある。


写真13 Del Marの自然海岸にて、筆者。
 
      撮影:天田芳穂 デジカメ Nikon CoolPix S10 逆光モード 2007.11.25

 現地調査当日は、曇天だったが、写真14のように市民が家族づれで楽しんでいた。ここにもカモメがだくさんいた。子供たちがエサをもってきてあげているからだろう。

 

写真14 Del Mar 海岸にて。
      サンディエゴ市中心市街地近くの良好な砂浜でもある

       撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10  逆光モードで撮影 2007.11.25

 
元々砂漠地帯だったサンディエゴでは、川、湖、湿地はなかなか見れないが。写真15は、Del MarからTorrey Pinesに向かう途中の湿地、湿原。


写真15 Del Malに残る湿地、湿原
        撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10

 ここでは、カリフォルニア沿岸計画の内容を筆者の現地視察及び資料調査から評価してみたい。

 総じて、Del Mar地域 以下のリストとの関連で沿岸域の土地利用・資源管理、環境配慮の観点から評価すると、次のことが指摘できる。

 Del Mar地域は自然海浜で残されており、しかも沿岸への接近容易性は高い。沿岸における野生生物生息域確保や湿地保全もなされているものの、それだけでは不十分であり、公的な土地取得により生態系の保存や生物生息地の保全が重要となっている。

 
カリフォルニア沿岸計画では、1000エーカーの土地を取得するなかで、生態系保存と地域公園とすることがうたわれている。具体的な土地の取得地としては、Snake Wall, Crest Canyon, Del Mar Bluffs, Anderson Triangle and Canyon, Torrey Pines Reserve Sxtension , Bald and Adjacent Propertiesが含まれる。

 たとえば、Del Mar地域の湿地の生態系保全事業としては、San Dieguito Lagoon Wetland Restoration Project などがある。またDel Marにおける各種環境保全に活動する環境アドボカシー団体もある。

 海岸線浸食については今回の調査だけでは分からなかった。この地域では、夏に各種スポーツ、イベントが行われている。州際道路5号線はDel Marでは山側を走っており、幹線道路による地域分断は少ない(以下の図15
参照)。



図15 海岸線と州際道路5号線(右端、ジャンクションがある)
  • Coastal Access  沿岸への接近容易性
  • Coastal Habitat/Wetlands  沿岸における野生生物生息域確保・湿地保全
  • Economics 経済学的要素
  • Geographic Information Systems 地理情報システム(GIS)
  • Infrastructure 基盤整備
  • Marine Life/Fisheries 海洋生活・漁業
  • Ocean and Coastal Planning/Management 海洋及び沿岸域計画・管理
  • Offshore Oil and Gas 海岸での石油・ガス発掘
  • Research 研究
  • Shoreline Erosion 海岸線浸食
  • Watersheds/Water Quality 流域・水の流れ・水質
  • State CIAP Administration 関連行政
 総じて、 Del Mar地域は土地利用・資源管理、環境配慮の各観点から高く評価される。

 つづく