① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ 図6は先に紹介したカリフォルニア州沿岸計画のサンディエゴ地域ブロック図である。 沿岸管理計画ではサンディエゴの沿岸域を、①(原発や海兵隊基地があるペンデルトン)から⑫(メキシコ国境のインペリアルビーチ・ティファナ川渓谷)までを12の地区に分けている。今回の現地視察では、それらのほぼ全域を現地踏査したが、以下ではそのうち主な地域について現地で撮影した写真を元に報告したい。 図6 カリフォルニア州南部の「サンディエゴ沿岸地域」 本章の対象となるPendleton地域は上図の1 出典:カリフォルニア沿岸計画 以下は ロサンゼルスから南に10kmほど下ったTorrance近くの半島、Rancho Palos Verdesの写真である。Rancho Palos Verdesからロサンゼルス方面を見た海岸線である。図3のオレンジ郡よりさらに北の海岸線であり、本論からすると番外編となる。 写真1 ロサンゼルスから南に10kmほど下ったTorrance近くの半島 Rancho Palos Verdes よりロサンゼルス方面を臨む 撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10 2007.11.22 ロサンゼルス南のRancho Palos Verdes地区は有名な高級住宅地。下の写真は半島にある小さな公園に住んでいる猫である。野良にしては毛並みがいい。どうしても猫を見ると写真を撮りたくなる!このRancho Palos Verdesにはロス、サンディエゴ北部地域に住む日本人子女のための高等学校があり、そこの知人のご子息が通っていた。 写真2 Rancho Palos Verdes の公園にいたネコ 撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10 2007.11.22 写真3 Rancho Palos Verdes の公園にいたネコ 撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10 2007.11.22 写真4 Rancho Palos Verdes 海岸にあるホテル 撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10 2007.11.22 ■サンディエゴ沿岸i域管理: ①Pendleton Coast地域 以下は、図4の地図にある①ゾーン及び図5の上半分の沿岸域管理マップである。このゾーンの北端はカリフォルニア州のオレンジ郡とサンディエゴ郡の境界線となる。 図7 カリフォルニア沿岸管理計画の第1地域<Pendleton Coast> 出典:カリフォルニア沿岸計画(California Coastal Plan) 図8は、図7の凡例である。上から農耕地、森林資源、開発地/市街地、汽水域/沿岸に近い河川、沿岸道路を示す。凡例では、さらに下の2つの大きな凡例で沿岸域の気候ゾーン、流域ゾーン、沿岸域そのもの、資源管理ゾーンを示している。 図8 カリフォルニア沿岸計画における管理対象地図の凡例 出典:カリフォルニア沿岸計画(California Coastal Plan) 図9は、グーグルアースにより Pendleton Coast地域① を南側からみたものである。サンオノフレ原発立地域など一部地域を除き自然海浜が続いていることがよく分かる。東側は海兵隊の基地、南側の海岸は海兵隊の演習場として利用されている。 図9 グーグルアースで3次元展開した第1-3地域の海岸線と沿岸 図10は、同地域の沿岸域を走る州際道路5号線とサンオノフレと海兵隊Camp Prendletonの位置関係を示している。南東に広がるグレーの地域が海兵隊のPrendleton基地。 この①ゾーン<Prendleton Coast>では、圧倒的大部分の海岸線は図9に見るように自然海浜である。 環境保全、土地利用、エネルギー資源開発利用上の課題は、次のように要約できる。すなわち、北部の沿岸に立地されている<サンオノフレ原発>、ゾーンの北部から南部まで広大な敷地に立地している<海兵隊の基地及び演習場>それに今回はからずも顕在化した<山林火災問題>などがある。 海兵隊は海域から陸域に装甲車など各種の軍事設備を移動させることに伴う自然生態系や環境破壊の問題がある。また州道1号線と州際道路5号線が南北を貫いていることによる沿岸域における東西の地域分断も課題のひとつと言えよう。いずれにしても①ゾーンに残された課題の多くは、カリフォルニア州だけで解決できる問題ではなく、原発施設、軍事施設、州際道路はいずれも連邦政府が大きな権限を有していると言える。 図10 サンオノフレと海兵隊Camp Prendletonと州際道路5号線との位置関係 図11 2007年10月23日時点の同地域におけるサンディエゴ山林火災の状況 出典:カリフォルニア大学サンディエゴ校他 写真5はオレンジ郡から サンディエゴ郡に入って州際道路5号線を数10分行ったOceanside北の海岸線である。山側には海兵隊のPendleton基地がある。またこの地域にはサンオノフレ原子力発電所が臨海立地されている。下の写真h遙か遠方に2基の軽水炉原発が見える。 写真5 サンディエゴ郡に入って州際道路5号線を数10分行った Oceanside北の海岸線。山側には海兵隊のPendleton基地 がある。遠くにサン・オノフレ原発が見える。 撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10 2007.11.22 この地域には海兵隊の大きなPendleton基地と演習場があり、至る所に写真6のような海兵隊保有地、立ち入り禁止の標識がある。 写真6 海兵隊演習場立ち入り禁止の標識 写真7は海岸線から海兵隊Pendleton基地に上陸する演習場を写したものである。 写真7の右側が海兵隊の装甲車などの上陸用の演習場。車寄せのミニ展望台にはカモメが沢山いた。カモメは沿岸域にどこでもいるトリだが、結構凶暴。私たちがよく現地調査ででかけるカナダのノバスコシア州やセントジョーンズでは、カモメがパフィンという可愛い海鳥の雛を襲うことで知られている。 写真7 サンディエゴ郡に入って州際道路5号線を 数10分行ったOceanside北の海岸線。 撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10 2007.11.22 写真8 ミニ展望台で楽しむ市民、観光客 撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10 2007.11.22 このミニ展望台には、野生の大きなリスが沢山いて、人間に寄ってくる。おそらくエサをもらっているのだろう。やたら太って、しっぽも立派。グーグルを検索したら結構、ロスからサンディエゴに行くこの州際道路際のミニ展望台で人なつこいリスに出会ったとある。ここのリス君は結構有名なんだ! 写真9 ミニ展望台にいたリス 撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10 2007.11.22 写真10 ミニ展望台にいたリス 撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10 2007.11.22 写真11 ミニ展望台にいたリス 撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10 2007.11.22 ここでは、カリフォルニア沿岸計画の内容を筆者の現地視察及び資料調査から評価してみたい。 総じて、①Pendleton Coast地域 を以下のリストとの関連で沿岸域の土地利用・資源管理、環境配慮の観点から評価すると、次のことが指摘できる。 まず原発立地、海兵隊基地・演習施設、山林火災、地域分断などが課題としてあげられる。さらにサンディエゴのこの地域は、もともと砂漠地帯に導水し人間が居住可能な地域とした歴史的経緯がある。その観点からは、野生生物の生息や人間居住を<Watersheds/Water Quality 流域・水の流れ・水質>が絶えず大きな課題となっているものと思える。 カリフォルニア沿岸計画では、San Mateo Marsh について沿岸域の飲料水資源を確保するために保全すること、San Onofreでは、景勝、景観を保全するため7マイルにわたり州所有の海岸線をリクレーション地に編入するとしている。 海兵隊のPendleton基地の海浜部を低密度のリクレーション地として市民に開放するここと、Las Frores Marsh を沿岸の飲料水資源確保のため保全すること、Santa Margarita Marsh and Riverの生物、生態を保全すること、さらに北部沿岸の農地を住宅開発から保全すべきことが記されている。
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