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A Field Trip to Republic of Seychelles, Indian Ocean (1) (2) (3) (4) ◆セーシェルの地形と気候 セーシェル共和国の本島、マヘ島は、南北が27km、東西は8kmの小さな島だが、標高900mの山がある。 全体として北部を中心に100m〜500mの山が海に迫り出している。 Source: English Wikipedia セーシェルには平地は少ない。道路も首都ビクトリア以外は起伏、勾配が激しい。さらに、地形に併せて曲がりくねっているから、運転はかなり難しい。現地のひとは、その道をかなりのスピードで運転するからびっくりだ。 セーシェル・マヘ島の地形 google map セーシェル本島では下の写真のように山が海に絶壁となって落ちる険しい地形が多い。 セーシェルでは山が海に絶壁となって落ちる険しい地形が多い マヘ島の山 Source: English Wikipedia 他の島々は、大部分が熱帯雨林と珊瑚礁から出来ている。下はグランアンス島。バレ・ドゥ・メ自然保護区(Vallee de Mai Nature Reserve)がある。 グランアンス島 google map バード島。サンゴ環礁から出来ている鳥類の楽園 google map シルエット島 google map アルダブラ島 Source:Google Map マヘ島以外の他の島々はプラルン島(人口5000人)など一部をのぞき地形は平坦である。 気候は、熱帯性気候で気温は統計によると最低が24.4度、最高が29.8度と赤道直下の割には低い。平均湿度は79.7%、12月から2月が雨期となっている。一方、最も雨の少ないのは7月である。 訪れた1992年の10月下旬は、雨期以前であったが、毎日シャワーと呼ばれる豪雨が明け方に降っていた。ただその後は、快晴となることが多かった。熱帯性ハリケーンや台風もない。また、マラリアはなく過ごしやすい。 下の表はセーシェル本島の年間最低・最高気温である。24〜30℃で四季はない。 セーシェル本島の年間気温
◆ふたつの自然系世界遺産 セーシェル諸島には、ふたつの自然系の世界遺産がある。アルダブラ環礁(Aldabra Atoll)とバレ・ドゥ・メ自然保護区(Vallee de Mai Nature Reserve)である。いずれも首都があるマエ島から離れた孤島である。 ■アルダブラ環礁(Aldabra Atoll) 自然遺産 位置:セイシェル、アルダブラ環礁(S9 25 E46 25) アルダブラ島 Source:Google Map 世界遺産登録:1982年 概要 アフリカ東海岸から640km離れたサンゴ礁。4つのサンゴ島からなり総面積は155平方km。世界最大の陸ガメ、アルダブラゾウガメの棲息地としては世界一である。絶滅危惧種のタイマンやアオウミガメの産卵地でもある。生物相は多彩で、固有種のクロトキやグンカンドリなど鳥類の種類も多く、180種以上の魚類や1000種以上の昆虫類が生息し、植物では約270種のシダ類などを確認。 アクセス セーシェル諸島南西部、首都ビクトリアのあるマヘ島からチャーターした船で行く。 ■バレ・ドゥ・メ自然保護区(Vallee de Mai Nature Reserve) 位置: セイシェル、プラスリン島(S4 19 45 E55 44 15) グランアンス島 Source:Google Map 世界遺産登録:1983年 概要 セイシェル諸島のプラスリン島には「ヤシの女王」と呼ばれるフタゴヤシの原生林など樹齢100年を越える巨大な木々が繁茂する。世界中のフタゴヤシの25%がこの地に生育し、植物進化の初期段階を示す「生きた博物館」とされる。フタゴヤシは高さ30m、実が生育するのに10年かかり、直径40cm以上、重さ20kgの世界最大の実となる。またクロインコを始め、セイシェル・タイヨウチョウ、セイシェル・ルリバトなどの固有種や珍しい鳥が多く棲息。 アクセス セーシェル諸島北東部、首都ヴィクトリア(シンガポール、モーリシャスなどから空路)のあるマヘ島の北のプラスリン島(フェリーで約3時間) 「ヴァレ・ド・メ自然保護区」をーグルマップで見る(現地動画もあり!) 出典:セーシェル共和国 | 世界遺産への行き方 ◆セーシェル諸島は「多様な生物の宝庫」 ところで、セーシェル共和国には、「危機に瀕する種の保護」の対象となっているめずらしい鳥類はじめ数多くの鳥類、珊瑚、植物が多数生息している。まさに生物多様性国家である! 2010年は生物の多様性に関する条約(Convention on Biological Diversity; CBD)の締結国会議が愛知県で開催される。 生物多様性国際条約は、生物の多様性を「生態系」「種」「遺伝子」の3つのレベルでとらえ、生物多様性の保全、生物多様性の構成要素の持続可能な利用、遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分を目的とする国際条例であり、生物多様性条約と略称されている。 ところで本島のマヘ島は、首都ビクトリアを中心にかなり開発が進んでいる。 しかし、アルダブラ群島、デスロチェス島、バード島はじめ本島から離れた孤島には、世界で25匹しか発見されていない鳥など生物、生態系の宝庫となっている。 現在、アルダブラ島へは政府環境保護局の許可がないと上陸さえできない。 Source: Air Seychelles 本島でも環境保護はかなり徹底している。 港湾、空港、競技場などごく一部の公共施設建設のための埋立、それも珊瑚礁の生息地を避けた立地以外は、殆ど埋立は認められておらず、高層建築物もまったく許可されていない。 見たところ、ビルも大部分が3階建て程度、民家は平屋が圧倒的である。聞くところによると、椰子の木以上の高層建築物は認められないとか。とはいえ、国際協力事業団の研修で日本にこられた現地の電気事業関係の技術者に聞いたところ、火力発電施設が首都、ビクトリアの中心地にあり煙突も低く、周囲に大気汚染の影響を与えているとのことだった。 またセーシェルには「象亀」と呼ばれる貴重な亀が生息している。象亀は、本島では、植物園の一角に飼われているが、他の島では自然に生息している。 日本の川崎市は、ビクトリア市と姉妹都市を結んでおり、夢見ケ崎動物公園にこの象亀がいる。また、写真のようなセーシェル海亀(象亀)やアルダブラ象亀など非常に貴重な海亀も生息している。 セーシェルの希少生物「象亀」 セーシェルの希少生物「象亀」 ◆地質学的観点と生物の多様性について 地質学的にはセーシェル諸島はマダガスカル島やインド亜大陸と共に中生代にアフリカ大陸のソマリアから分離し、その後インド亜大陸が分離していったため、島の基盤岩はこれらと共通な花崗岩である。一方、インド亜大陸の分離を生じたプレートテクトニクスで、火山岩が噴出し、セーシェル諸島から南東に伸びる海嶺に位置するマスカリン海台の南ではモーリシャス島やレユニオン島などが玄武岩で出来ている。 ところで、本論考を読んでいただいている坂本博之弁護士(つくば市)から、以下のご意見をいただいた。それはセーシェル諸島がなぜ、生物多様性に関連し宝庫であるかについての理由である。 最近読んだ「マダガスカル」(東海大学出版会)という本によると、セイシェル諸島は、ゴンドワナ大陸起源(マダガスカル+セイシェル+インドがアフリカ等から分裂したあと、まずマダガスカルが分かれ、それからセイシェルがインドと分かれ、その後にインドがアジアに激突したということのようです)で、海洋島としては起源が非常に古いので、それだけ固有の貴重な生態系がある、ということでした。セイシェルには、海洋島には珍しく、貴重な両生類(カエル)がいるそうです。 坂本博之さんのコメント Source:http://www.arkive.org/seychelles-frog/sooglossus-sechellensis/?displayMode=factsheet ◆アルダブラ環礁(自然世界遺産) 以下はWikipediaからの解説。 マヘ島から南西に1150km行ったところに、セーシェル群島の一部としてアルダブラ環礁がある。このアルダブラ環礁はサンゴ礁が隆起して出来たインド洋に浮かぶセーシェルの環礁で、人の手がほとんど入っていない状況の中、アルダブラゾウガメをはじめとする独特の動物相と植物相が保たれている地域である。 インド洋におけるアルダブラ環礁の位置 Source: Wikipedia ゾウガメの生息地としては世界最大級で、15万2000頭が生息している。ゾウガメのほかにもアオウミガメ、タイマイなどが生息し、また多くの鳥類も観測される。 アルダブラ環礁の概要 Source: English Wikipedia 下のYou Tube映像は、このビデオはフランス・パリの国立歴史博物館で見れるもので、内容はアルダブラ島のウミガメが木の葉を食べているところのものである。 Video as shown on exposition in Museum national d'Histoire - Paris. Du 22 Mai 2008 au 15 Janvier 2009 ALDABRA, UN ATOLL POUR L'HUMANITE アルダブラ象亀 Source: English Wikipedia 下は同じインド洋でもモリシャス島に生息するウミガメ。 Source:Green Diary |
※セーシェル環境省のアルダブラWeb 環礁は南緯9度24分、東経46度22分に位置し、セーシェルのthe Outer Islandsのうちのアルダブラ群島に含まれている。 環礁はマダガスカルの北端からは約430km北西で、セーシェルの中心島マヘ (Mahe) からは南西1150kmのところにある。またコモロはアルダブラの南西約350kmにあたる。 アルダブラ環礁は、デロッシュ島 (Desroches)、ファーカー諸島 (en:Farquhar Group)などとともに、1965年からセーシェルが独立する1976年まで、イギリス領インド洋地域に属していた。 この環礁は、キリスィマスィ島に次いで面積世界第2位である。長さ34km、幅14.5km、海面からの標高は8m、陸上の面積155.4km2、ラグーンは224 km2になり、干潮時と満潮時の間にはその約3分の2が乾いている。 環礁は4つの島々が円環を形成している。それは左回りに @South Island (Grand Terre, 116.1 km2) AMalabar もしくは Middle Island (26.8 km2) BPolymnieli もしくは Polymnie (4.75 km2) CPicard もしくは West Island (9.4 km2) となる。 アルダブラには1511年にポルトガルの船乗りがヨーロッパ人としての上陸を果たしたが、すでにアラブ人たちには知られていた。 「アルダブラ」の名も彼らによってつけられたものである。 18世紀にはフランス領レユニオンの保護下にあり、ゾウガメを捕獲するための探検隊はレユニオンを起点としていた。1810年には、モーリシャス、レユニオン、セーシェルなどとともにイギリス領となった。 West islandの南西の端にあった遺棄されていた施設「ピカール」(Picard) は、現在では自然保護スタッフの駐在所となっており、定住者は彼ら以外にいない。現在の島はセーシェル島基金 (the Seychelles Island Foundation) によって管理されている。 (3)につづく |